前へ戻る
その頃、ガーディアンとワルキューレの壮絶(?)な戦いの残り物と言うべき煙幕の煙が晴れ始めると、
そこには後に残された、深山や七瀬達が「きょとん・・・」と言う言葉が似合うように佇んでいた。
みさき先輩だけが「何?何があったのかな?」と言いながら、きょろきょろと当たりを見回して(?)いたのだが。
七瀬「けほっ、けほっ! いったい何があって何がどうなってるのよぉ?」
茜「・・・詩子は、どっかに行ってしまいました」
椎名「うぐ・・・詩子のせいで泥だらけになったもん!」
口々に呟く中、ほけぇ〜・・としている深山のそでを引っ張るものがあった。
それに気づいた雪見は視線を下げるとそこには澪が掲げたスケッチブックが目に入った。
そこには・・・
澪『詩子さんたち、いっちゃったの』
ぺらっと1枚めくると、
澪『向こうから、たくさん何かが飛んでくるの』
スケッチに書かれた文字を読むと澪の指差す方向を見やる・・・
深山「・・・げげっ!?あれは空対地ミサイルじゃないの!」
ワルキューレとガーディアンとの戦いの前、詩子とワルキューレが追いかけてきたAH−1コブラ2機は、
ビルの屋上に駐機し様子を伺っていたのだった。
その後、同じく屋上の上から見つめるドッペル琴音と芹香は、ガーディアンが退散した様子を見やると、お互い頷き合い、
コブラの自動操縦&攻撃システムを起動し、その場から消え去る。
それが深山達に向かう2機から発射されたATM-4空対地ミサイル8発だった。
深山「みんなぁ!ほうけている場合じゃないわよ!逃げて逃げて!!」
仲間に向って、大声で声をかけるが、一連の流れの中でマトモに行動する者は居なかった・・・
椎名「みゅ〜♪ みゅ〜♪」
七瀬「いたたたた!おさげを引っ張るなぁ〜!」
みさき「わぁ〜! 何だ、みんなで遊んでたんだね。私も仲間に入れてよぉ♪」
七瀬「みさき先輩、違うって!早く逃げないと! 茜も、ほらっ!」
茜「・・・・嫌です」
七瀬「はぁ・・?」
茜「どうして私を置いて行くんですか?・・・私を1人にしないで・・・」
七瀬「あぁ!?現実逃避モードに入ってるわぁ!!」
深山「上月さん!ドラゴンの盾で防げないの?」
澪『あんなにはムリなの』
深山「くっ!私でも、みんなを抱えて高速移動するには人数が多すぎるわ・・・どうしたら?って、もうそこまでミサイルがぁ!?」
ATM−4ミサイルは、もぅそこまで迫ってきていた。
「「もぅダメぇぇぇ〜〜〜!!」」
迫るミサイル! 走馬灯が流れ始める瞬間、深山の瞳に白く光るものが映った。
??「正義の味方っ! 参上ぉ!!」
深山たちと、向かってくるミサイルの間に人型のロボットが降り立つと右手に装備したMALを前方に構える。
??「CYPHER!ライト・ターボショットREADY!! フォトンレーザー発射ぁ!!」
??「了解しました、マスター」
バシュゥゥーー!!
発射体勢に構えたMAL(マルチプル・アームド・ランチャー)から一筋のレーザーを発射!
向かうATM−4を消滅させると最終誘導のためにホバリングしていたコブラに直撃、爆砕させた。
「「・・・・・・」」
みさき「んっ? 何かあったの?」
皆が何が起こったのか理解できてない中、相変わらずみさきだけはマイペースのままだった。
今まさにミサイルによりやられてしまう直前、目の前に突如現われた人型のロボット・・・
細身のスタイルには、ショルダーアーム、胸部に配置されたビーム砲、腰背部にマウントした主翼
そして右手に装備した特徴的な大型のランチャーが装備され迫力をかもし出すも、
全体を白く光るボディに鮮やかな蒼のラインが走るそのデザインとカラーリングは破壊者と言うより
天翔ける蒼き衝撃波・・・ブルーインパルスを連想させた。
深山「・・・た、助かったみたいね」
七瀬「う、うん・・・でも、あのロボットって・・・・味方だよね?」
もしも敵だとしたら、とうてい自分たちには勝ち目は無い・・・それほどの威圧感を見せていた。
突如、フォトンレーザーの発射体勢を解くいたそのロボットは深山達の方に向き直ると
頭部にある双眼のカメラアイを赤く発光させ見下ろした。
ゴクッ・・・
緊張した表情のまま見上げ、生唾を飲み込む七瀬達・・・そこに、そのロボットから声が響いてきた。
??「あ〜あ〜・・・えっとぉ、聞こえてるかな? みなさぁ〜ん、大丈夫ですかぁ?」
コケッ☆
精悍なデザインのロボットには似合わない幼い能天気な声が流れ、下にいたみんなは一斉にコケた。
??「あれ?どうしたんですかぁ、みなさん?」
??「あんたの声でそんな風に言われりゃ誰だってコケルわよ」
??「え〜!晴香さん、ひどいですよぉ!それってイジメです!」
いつの間にか側に来ていた89式装甲戦闘車両の運転席のドアを開け2人の女の子が降り立った。
??「大丈夫?ごめんね、驚かしちゃったかしら?」
背中越しまで伸びた藍色の髪をした彼女は、やさしくも凛とした声で深山達に話しかけた。
深山「えっ? えぇ、ありがとう。・・・・ところで、あなた達は?」
郁未「あ、ごめんなさい。私は天沢郁未(あまさわ いくみ)。隣にいる彼女は巳間晴香(みま はるか)、そしてあのロボットに乗ってるのが・・・」
晴香「童顔で貧乳の名倉由依(なくら ゆい)よ!」
ロボットに親指で指差しながら晴香が紹介した。
由衣「あぁ!晴香さん、またぁ! わたし貧乳じゃありませんよ!」
コックピットから降り立ったボブカットの前髪を大きなリボンで留めた可愛らしい少女(それでも高校生だが)が、
毛先にウェーブの掛かった髪をする晴香と呼ばれた少女に、ふくれっ面で文句を言う。
晴香「あんたが貧乳じゃなかったら、私のなんて巨乳の3乗よ!」
由衣「うぅ・・・私のはまだ発展途上なんですから。 いつか晴香さんなんて抜いちゃうもん!」
晴香「はいはい。 まぁクマさんのパンツを履いてる間はまだ無理みたいだけどねぇ」
由衣「うくくくく・・・」
いつまでも続く2人の言い合いに、「いつもの事よ」と苦笑しながら郁未は説明した。
郁未「で、もぅ1人が・・・・あれ?葉子さん、いつのまに車から降りたの?」
茜「・・・・はい?」
郁未は茜に向い声をかけた。
深山「え?里村さんって、葉子って名前だっけ?」
茜「・・・違います」
郁未「あれ?」
深山「あれ?」
深山と郁未は2人で首をかしげる。 すると・・
葉子「私は、ここにいます・・・」
装甲戦闘車の後部ハッチから出てきた金色の長い髪の物静かな女の人が呟いた。
郁未「あ、葉子さん。ってことは・・・」
茜「・・・私は、里村茜と言います」
郁未「あ!ごめんねぇ! なんだか似てたもので・・・あははっ」
深山「そ、そうよねぇ・・・ははっ、あはははは」
2人のの乾いた笑い声が響く中、葉子と茜はお互いを見ると「くすっ」と周りに分からないぐらいに微笑みあった。
〜続く〜