土つくり 耕楽園 いちじくの志田ファーム
土つくり耕楽園 | ひゃくしょう |
土つくり耕楽園 小さな農場からの情報 |
米、900kg/10aを獲った人
米、900kg/10aを1haで獲った人の圃場を見てきた人たちの話。 見てきた人は富山の人でJAの組合長をしたことがある滝脇さんと横井さん。 もう一組、千葉の佐野さんグループ5名。 見学地・生産者は山形県のY氏。宮城の法人のM生産者グループ。 見てきた二組の話と生産者二組の共通点だけまとめます。 両者とも寶酒造のPSBを利用している研究会グループの会員。本人の詳しい情報は伏せるという条件で 公表させてもらう。 (見学者、問い合わせが多くて仕事にならないらしい) 生産者本人たちの夢は1000kg/10a獲り。 8俵10俵しか獲れないのは栄養不足だそうです。 生産者本人たちは米作りをしているつもりはなく、土作りをしている、という。 |
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米、1000kg/10a 獲りを指導している研究グループに西出会の『一の字農法』がある。 この研究会も現場サイドで科学的に土つくりを指導し収穫量は無限であると説いている。 公式記録で米、1000kg/10aは新潟県魚沼にある。 |
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水面は見え穂は止葉の中、穂の垂れ下がるイメージ | ||||||||||
今年は冷夏でいもち病が大発生。登熟せず実が入らない。大凶作である。 プロの米農家は口をそろえて言うのは、「不作の原因は天災で無く人災だ」である。 いもち病はイネの糖尿病。贅沢病である。増収させるつもりで、養分の偏りにはしり、密植して風通し、 陽当たりを悪くして病害を多発させている。これは、増収型ではなく病気増殖減収型である。 今までの農業は、記録と分析の世界ではなく、記憶と例年同作業の世界である。 記録は過去から学ぶことが出来る。そこ(記録)には、冷夏には肥料を減らすとあった。肥料を減らせない時、 減らせたくない時はケイさんを多投する、とある。 田んぼ一枚一枚のクセが違う。田んぼのクセをつかんだ一枚ごとの管理。 もう一度田一枚ごとのデーターを見直してみた。 そして、デンプンの中にタンパク質が多いとボソボソなる。タンパク質を減らすとおいしくなる。その対策もとる。 |
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耕転 | : | 秋耕(生有機物が隠れる程度浅耕) ワラの一部は圃場から出して他で使う。変わりにモミガラを入れる。 ワラは春まで分解、モミガラは春まで8割方分解させるようにして残り2割から出るガスは稲の生長にCO2として利用。 |
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土壌診断 | : | 14年、稲刈り終了後速やかに精密な土壌診断をする。 | ||||||||
施肥 |
: | 15年度の場合はCEC25、腐植5%なので、有機質肥料500kg、有機肥料200kg。窒素成分にして68kgを投入。炭素、水素、酸素を充分にし、チッ素投入量に比例して、リン酸、カリ、マグネシウム、カルシウム、硫黄、などの大量要素中量要素を投入(塩基飽和度60%で5:2:1を厳守)。勿論、微量要素の鉄、マンガン、ホウ素、亜鉛、銅、塩素も気にかけ 投入する。(参照 肥料成分の働きと過不足症状) 本人意見:チッソ過剰では倒伏しない。倒伏するのは窒素過剰ではなく、塩基バランスが悪く微量要素が不足気味であるからだ。ケイ酸不足で軟弱。 収量が少ない(8俵10俵しか獲れない)のは肥料不足で、田にチッソ固定菌、PSB(光合成細菌)、乳酸菌などが少なすぎるから(田の土着菌の種類と菌体数が少ない)。 無機質はゼオライトを毎年300〜500kg程度入れ(土の仮比重調整)、木炭を4年ごとに200kg投入。 (※参考意見:チッソ過剰では倒伏しない、と申されているようですが、窒素成分にして68kgは入れすぎではないか。CEC25からみれば窒素成分70kgまで投入できる。しかし、窒素成分2kgで米100kg獲れると思う。1000kg獲りでも窒素成分20kgで充分と思うのだが。) |
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苗と田植え | : | 最も神経を使うのが育苗。種まきから田植えまでが勝負。ここで今年の収量は決まる。 種籾使用量は70g/1箱、1000g強/10a。通常の4分の1。 公的指導機関の育苗法通りにすると不思議と8俵10俵しか獲れない。 薄播きと踏圧などで、太くてガンコな稚苗を4.5葉で田植え。 普通の田植え機だと葉が絡み植えにくく欠株がでるので メーカーオプションで対応してある。 1本植えで40株/坪。12000株/10a。 |
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水管理 | : | 深水で管理。中干しは陸稲では無く水稲なので原則としてしない。 | ||||||||
病害 | : | 一切無い。健康な土壌・生体には病気は付かない。 | ||||||||
姿 | : | ひと言で言うと、稲というよりススキでもなくカヤである。 小さいカヤの群生が1haの田を覆いつくしている異様な眺めである。 茎の直径0.9cm以上。節間9cm。葉数15枚。止葉70cm以上。下葉でもほとんど赤くならずきれいな緑で、葉色5で維持。分けつは20〜22本ぐらい。 菊の3ほんしたてのように直立を維持し、葉は四方に大きくなびいているので真上から見ると水面が見えるかのよう。 普通、穂をつけると根元からたなびき、下側(下葉)には光が当らなくなる。だが隅々まで陽が当っている。むらなく葉という葉全てが同化作用に参加している そして、穂だけが止葉の中に隠れてしまうほど垂れ下がって畦畔から見ることが出来ない。 第1葉は第4葉をつくる。第2葉は第5葉をつくる。第3葉は第6葉をつくる。第4葉は第7葉をつくる。 これを3回繰り返して15葉目に止葉を作る、という。 止葉は穂をつくり登熟を促進させる。単純に40cmの止葉は8〜9俵の実をつくる。80cmの葉を作れば16俵〜18俵、950〜1000kgが獲れるのではないかと思って止葉つくりに気を使っている。 1穂に付いている実数を計量してみたら3g以上4g近くあった。
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地温 | : | 他の水田より2度程度高く水温も上がっている。これは、田の土着菌の種類と菌体数が多いことを自慢しているようだから、有機物が乳酸菌など20数種類の嫌気性菌によって発酵し続けている(土中堆肥化ではないか)のではなかろうか。 ガス湧きが無いのはPSBなど細菌によって押さえられ、CO2に変えられているとおもう。 土は腐植で真黒いものの、PSBで赤く染まっている。 ちなみに地温1℃は気温3度に相当する。地温2℃高いということは気温6℃の違いになる。 |
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根の色 | : | 昨今根の色についていろいろいわれているが白くても黒くても関係ない。白くしたければ硝酸石灰を撒けばいい。黒くしたければ鉄分が含まれているものを大量に撒けはいい。 |
上記の通りにしても、誰でもが米900kgを獲ることはできない。見えない部分の工夫、努力が相当あると思う。 地面の下と上を考える。見えるのは表作業と上だけ。真似するのは表作業と上だけで、本当の真似はできない。 問題は地面の下の中身内容と裏作業だ。 でも、地面の下の改革を『やれば出来る』という想い、考えを感知し、意識革命にお役に立てば幸いです。 あと(リスクを負ってそれ以上のリターンに挑戦)は皆さんの考え次第です。 それにしても、Y氏と法人Mさんには見た目の公表だけではなく、「記録と分析」、栽培記録も公表してほしい。 情報公開は農業文化を高める。単なる実績の功績ではなく、農業文化向上のためにも名跡を残していただきたい。 |
賢い農民とは |
@自分のリスク(リターン)を認識できる |
を決められる農民をいう | |
偉大な農民は | 賢い農民を育てる | ||
偉大な指導者は | 偉大な後継者を育てる |