フェルメール展
――15年ぶりの大阪へ――
どうしても見たかった、フェルメールの絵。
6月13日、その前の日曜の代休でおとうさんが家にいたので、朝、まだ寝ていたところへ「今日、絵を見に行ってくるからね。」「・…・。」「2時半ごろこうちゃんが帰ってくるから、その時間には家にいてよ!」「…どこへ見に行くの?」「大阪。」「…○△★!!」――やっとおとうさん、目を覚ます。「じゃ、行ってきます!!」
大阪は遠い。
9:51発の「ひかり」に乗って約2時間。東京へはその半分だもん、大阪は遠い。旅費もかかる。やはり、そうそうは行けない。
でも、ずっと行きたいって思ってた。2、3日ゆっくり食べ歩きなどしながらね。
しかし。美術館に着いたのが12:20頃、そして美術館の中へはいれたのは、さらにその1時間半後だったのだ!(「ここから90分待ち」という札を持って立っている人がいる)
もちろん日帰り、フェルメール展を見たあと心斎橋をぶらぶらして梅田へ戻り、さらに阪急電車に乗って懐かしの母校へ行ってみようという計画はボツ。
美術館へはいるのに1時間半も並んだなんて、初めてのことだった。遠くからやってきてこんな時間のロスをしなきゃならないなんて、来ない方がよかったのか?と、ちょっぴり後悔までしてしまった。この様子じゃ、中へはいってもフェルメールの絵は近くで見ることなどできないだろうと思ったし。
――なんせ7年前、横浜へルーブル美術館展を見に行ったときはすごい人ごみで(その日が近くのランドマークタワーのオープンの日だなんて、知らずに行ったんだもの)、近くで見ることなどできなかった。当時10ヶ月のあかんぼだったこうへいをおんぶしていたので、無理するとおしつぶされそうだったし。
本当に、ぴったし1時間半待って、やっと入館。あれあれ、中はすいてるじゃん?と思いきや、目当てのフェルメールの作品が展示されてる部屋の前にはまた行列! 係りのおにーさんがそれでもにこやかに、「たいへん長らくお待たせしました。どうぞごゆっくり!」とひとりひとりに声をかけていたのはエライ、と思った。(しかし、中で「立ち止まらないでください!」と言い続けていたおにーさんはうるさかったゾ!)
…ま、それでも今回はひとりなので、思う存分とはいかないまでも、間近で見られた。
フェルメールの作品を見たのはもう17、8年も前だろうか。オランダの「マウリッツハイス美術館展」が開かれた時、「真珠の耳飾りの少女」(「青いターバンの少女」と今回はタイトルがついていた)が展示されていて、すいこまれるようなその少女の視線にくぎ付けになった人は多いと思う。私もこの絵を見て、フェルメールが好きになった。
フェルメールの作品はそれ自体が少ないし、あちこち散らばって所蔵されている。だから今回のように油絵が5点もやってくるのはもう当分ないだろう、と展覧会はかなり前から話題になっていたのだ。私は絶対、無理しても行こうと思ってた。
同時代の画家の作品もたくさん展示されていて、それぞれにすばらしいのだが、フェルメールの絵ってやっぱり独特の雰囲気を放っていて、自然なテーマで、しかも計算されたように無駄がなく、静かなのにダイナミックで、見ていると本当にすいこまれていきそうな気分になる。17世紀ネーデルランドの絵画は好きだけど、その中でも異質。
いつもなら一通り見たあと、もう一度戻ってゆっくり見るのに、フェルメール展はそれが禁止されていた。あともどりできないのだ。外では相変わらず1時間半の行列が続いているわけだから、無理もないが…。
美術館へはいる頃ポツポツと落ちてきた雨は、美術館を出る時にはしとしと降る雨になっていた。
美術館をあとにし、地下鉄の駅へ向かって歩いていく間、これから美術館へ行こうとする人たちとたくさんすれ違った。中には車椅子の人も…。すでに3時をまわっていたから、これから1時間半も待つんじゃかわいそうに。思わず声をかけたくなっちゃった。
美術館は無理して朝いちで行くのが一番。待たずにゆっくり見られるから。…そう思いながら、毎度同じことの繰り返しなんだけどね。
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