桑高先生のご冥福を祈る

 去年の7月から、焼津市立図書館で月一回、文章講座を受けていた。
 その講師であった桑高文彦先生が、脳梗塞のために亡くなられてしまったのである。突然のことで、ショックだった。

 桑高先生は夫の中学時代の恩師で、同窓会にはよく出席されていたという話を聞いていた。7年前、市内の中学の校長先生だったときに、夫は講演を依頼され、生徒・保護者の前で何やらしゃべってきたのである。(ノストラダムスの大予言のことだとか言ってたが) 3年ほど前に定年退職された時には、その記念パーティーにも夫は出席した。

 そんなことがあって桑高先生のお名前はよく耳にしていたので、『広報やいづ』に桑高先生の文章講座の募集が載っていたとき、私は迷わず申し込んだのである。
 ひげをもじゃもじゃにのばしたその風貌もユニークだったが、講義もとてもおもしろく、5回の予定だったのを引き続きお願いして、月1回やっていただくことにしていたのだ。
 講座に出席してくる人たちは皆とても熱心で、濃厚な雰囲気だった。へたな文章でもとにかくほめてくださって、ちょっと直せばすぐにでも『文藝やいづ』に応募できる、とおっしゃるのだった。

 今年の3月に、信州へあんずの花を見に行くという、なんとも文学的、情緒的で風情のある日帰りツアーが計画された。
 とても私は行けないなあと思っていたところへ、講座が終わって帰るとき「Yoshikoさん!来なさいよ!」と桑高先生が声をかけてくださった。そう言われて、春休みの間だったら1日くらい留守にしても大丈夫かなと思い直したのだが、その日帰りツアーは4月14日になってしまい、私はどうしても参加することができなかった。今でも残念に思う。

 「Yoshikoさん! 来なさいよ!」というのが、私にとって桑高先生の最後の言葉になってしまった。そのときの先生の姿が今でも鮮やかに浮かぶ。おしゃれな先生だった。もっともっとたくさん、いろんなことを教えていただきたかった。
 

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