第61号:2001年10月13日(土)


2000年度決算の反対討論

9月定例会が終了しました。
最終日に決算承認の討論と採決が行われました。
私は下の討論をしたうえ、承認には反対しました。

会派
市民ネット
共産党
公明
連合・新未来21
緑水会
賛否
反対
反対
賛成
賛成
賛成


概要はこちら(市議会の公式ホームページにリンク)


私の討論


市民ネットワークを代表しまして、2000年度三島市一般会計決算認定に対しまして反対の立場で討論を行います。

 小池市長が就任して2年目にあたるこの年度は「重要課題対応型予算」とされ、就任直後は比較的小さな予算規模であったものが、最終予算額約356億円となり、前年に比べ7%増という大きな予算規模となりました。「緊急課題対応」ということのその内容の主なものはダイオキシン恒久対策、また、錦田小学校の移転改築事業といういずれも三島市としては避けて通れないものでありました。
 このため、市債は35億8980万円に及びその残高は約332億に達し、前年度末の残高約325億円から約7億円増える形となっております。
 当年度において、繰り上げ償還に努力をしてきたことについては評価に値することではありますが、しかしこの残高は当面、ほぼ後ずさりしていくのみで、将来の納税者である子どもたちの肩にも既に重くのしかかっているという現実にあります。

 さて、さっそくですがこの年度の財政の状況について着目してみたいと思います。一般的に「財政の指標」とされております、公債費比率は前年度と同じ14.9%、経常収支比率は74.7%で前年度に比べ1.8ポイントの減少となりました。公債費比率は横ばい、経常収支比率は下降、というこれらの推移から、一見、あたかも財政状況の好転であるかのように見受けられます。
 しかし、実際はそうではありません。端的に言って、こうした公債費比率や経常収支比率の「下降」やあるいは「横ばい」は、とりもなおさず地方交付税(普通地方交付税)の交付額が大きくなっていることによってもたらせれています。この点を最初に踏まえたいと思います。
 歳入の中心である市税は減少傾向にありますが、一方、普通地方交付税は、年々、増額となり、いまから5年前の97年では約15億円であったものが、この決算年度に至っては約29億円、実に倍額に及んでいます。このことによって一般財源の総額としては増加をもたらし、結果として公債費比率や経常収支比率の「下降」や「横ばい」として表れているという形となっております。
 ここで、見過ごせないのは、国の交付税特別会計における借入金の状況であります。これらの交付額を確保するために、国は交付税特別会計の大きな借金を重ねてきたことについては既にこの議場でも何度か発言をしてきました。そして、さらに、その借り入れ金については、制度上、この半分以上が自治体が債務を負うことになっております。
 財政課から提供していただいた資料によれば、この決算年度における国の交付税特別会計の借入金残高は実に38兆1318億円、そのうちの69%にあたる26兆2633億円は自治体が負担する分であります。当然、三島市もこの一部を債務として負っています。
 このように、こうした多額の交付額は同時に自治体自らの債務を大きくしながら成り立っているのであり、今日の自治体の財政難、即ち、税収は減る、一方、借金返済額は大きくなる、しかし、それは交付税という一般財源の増加によって救われてはいるが、実これは自治体が自らの首を絞めながらでないと維持できない。という状況に他なりません。三島市もその例外ではなく、また同様であります。あらためてこの姿、言うならば歪んだ姿に注目をしなければなりません。

 同時にこれは「交付税措置のある起債の活用」という三島市がとってきた対応の結果でもあります。一面に於いて、国が自治体に単独公共事業に取り組ませるため投資的経費の設定を大きくする、言うならば誘導策でもありました。こうした国の誘導策は、尚も続いています。
 歳出を、税収などの本来の実力以上に大きく設定する、これが地方財政計画であって、当然のこととして生じる財源不足をどのように埋め合わせるかということが「地方財政対策」に盛り込まれます。そのひとつとして起債の充当率の上乗せ、という「財源対策債」の許可枠が設けられますが、三島市に於いても、こうした国の政策に呼応し、当年度の借入額35億8900万円のうち、「財源対策債」は2億8630万円が含まれております。その分、借金の上積みとなり、予算規模を大きくしていることに注目したいと思います。

 たとえば、これは今回の決算認定において文教委員会で山中城趾の史跡整備事業の妥当性が議論を呼びました。その財源構成を見ると、決算額2317万円。うち、市債は1940万円ですが、この中に430万円の「財源対策債」、言うならば正規の充当率に上乗せした分が含まれております。

 事業そのものの妥当性は別として、その財源構成として起債の充当率をどのように設定するかということも、借金をできるだけ少なくする立場からすれば十分な検討が必要である筈です。
 ここで、再び冒頭の議論に戻りますが、当年度は「緊急課題対応型予算」ということで約35億円もの市債。そのうち「財源対策」は2億8630万円。この「財源対策債」の充当分は本来、一般財源で賄うべきものであります。
 もし、一般財源で賄うとすれば、結果として、その分の支出を抑えなければならない、事業の取捨選択をより厳しく行わねばならないということにならざるを得ませんが、それこそが今日、求められる財政運営であると考えます。

 交付税特別会計をめぐる借金の状況、また、過大な歳出総額の設定やその財源対策債などこうした国の無責任なあり方に翻弄されることなく、三島市の自主的・自立的な財政運営を求めるものであります。もとより、国と自治体との税財源の配分のあり方など抜本的に正されることが待たれるとしても、市民に、より責任をもった、子どもたちにも、より責任をもった堅実な財政運営を、あらためて求めるものであります。

 同時にまた、この20世紀の最終年度、三島市の将来を懸念してばかりはいられません。三島がより住みよい町になっていくことによって、人は三島に集う、住むようになるのは当然であります。もともとの、この過ごしやすい気候に加え、東京へのアクセスの良さなど、そうした可能性は潜在しているのでありますから、三島のもつ「水」の魅力や、また福祉や医療の充実によって「暮らしやすい」町、「安心して暮らせる」町であれば、その潜在する可能性が花開く、こんな21世紀を展望しなければなりません。

 最後に、2つの点について指摘をさせていただきますが、さらに改善を求めたいと思います。
 まずひとつは、補助金交付金の適正化に向けた取り組をさらに進めるべきであるということであります。
 全体的には補助金等交付の適正化は少しずつ進んでいると受け止められます。当年度は補助金・交付金の件数は217件、金額にして約7億8000万円でありました。前年と比較すると件数にして7件の減少、金額にして約7億4000万円の減額となっております。金額に於いて実に大幅な減額をもたらしていますが、これは前年度に行われた地域振興券交付金約5億1000万円をはじめとして少子化対策臨時特例交付や、JR三島駅バリアフリー施設緊急整備補助、などの大口の補助金が無くなったことによるものであり、したがって、必ずしも補助金等交付の適正化による減額とは言えません。
 全体的には、各種団体への運営費補助金の10%削減が適応されたものがいくつか見られますが、まだまだ適正化を進められる余地を残していると思われます。
 また、監査委員による決算の審査意見書にも指摘されていますが、補助金交付要綱の整備、言うならば「ルールに基づく公正な補助金の交付」という点ではまだまだ課題を残していると思いますのでこの点も含めさらに前進を求めたいと思います。

 もう一点ですが、既に施行された行政手続条例への対応の遅れという点であります。
これは、行政の意志決定において、その公正さを確保し、透明性を高めるため、行政手続きをルール化したものであります。このため、許可や認可を求める申請に対しその基準を定め、基準に照らした適正な対応がされなければなりません。
 たとえば今回の決算審査で指摘された点でありますが、一般廃棄物の収集運搬業者の許可を求める申請に対し、これを受理しないという対応があったことが明らかとなりました。こうした対応は不適切でありましたが、許可の基準が未整備であったことも起因していると思われます。市政の全般にわたり、こうした許可基準の整備状況を点検し、善処していくことを求めたいと思います。

以上申し上げ、反対の討論と致します。