第74号:2002年10月5日(土)

画期的な意見書が

10月1日、市議会9月定例会が終わりました。
一般質問の様子は前号でお伝えしましたが、今回は決算審議や
意見書採択についてのお知らせです。
実は、画期的な意見書が採択されたのです。



画期的意見書 その@

中部電力浜岡原子力発電所の抜本的安全対策を求める意見書

浜岡原子力発電所は、マグニチュード8クラスの大地震が予測される「東海地震」の想定震源域の真中に建設されている。運転中の原発がマグニチュード8クラスの大地震を直下で受けた事例は史上一度もなく、重大な事故の発生が危惧されている。
 昨年の11月には1号機非常用炉心冷却装置配管の破断や炉心圧力容器の漏水事故が発生し、また本年5月には2号機が再稼働直後の配管水漏れにより緊急停止するという事故が発生した。通常運転時に想定外の事故が相次いでいる原発が大地震で想定外の事故が起こらないといえるのか、「原発事故」についての市民の不安は大きく広がっている。チェルノブイリ以上の出力をもつ浜岡原子力発電所で大事故が発生した場合、大量の放射性物質拡散による放射能被害の範囲は、全県下のみならず偏西風の影響により伊豆半島を横断して首都圏にも及び、その規模はチェルノブイリを大きく上回るといわれている。また、相次ぐ電力会社の原発トラブル隠しは、原発に対する信頼を大きく失墜させた。
 よって国においては、市民の生命財産を守り、安心して生活できる環境を構築するために、原子力発電の抜本的な安全対策を講ずるとともに、国も参加して細部まで徹底した事故原因の究明を行い、一層の情報公開を行うとともに、下記事項を早急に対応されるよう強く要望する。
              記
1 地震による原子力発電所の事故発生を想定した防災計画を緊急に策定し、地方自治体に示すこと。
2 東海地震対策として、不安視されている1号機、2号機の廃炉を検討すること。
3 今後のエネルギー政策を、原子力発電推進から風力発電、太陽電池、燃料電池、地熱発電の可能性など新エネルギー開発推進に転換すること。  
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。       
 
 平成14年10月1日
  三  島  市  議  会  

内閣総理大臣 小 泉 純一郎 様
文部科学大臣 遠 山 敦 子 様
経済産業大臣 平 沼 赳 夫  様
資源エネルギー庁長官 岡 本 巌 様  


画期的意見書 そのA

定住外国人の国民年金の完全実施と福祉的対応を求める意見書

 在日外国人の間に無年金者が存在するという問題は、日本人の間に無年金者が存在する問題とは異なり、在日外国人が年金法の「国籍条項」によって日本の年金制度から除外されてきた「仕組み」に起因する問題である。
 1982年1月1日の「国籍条項」の撤廃により在日外国人も年金制度に加入することになったものの、この時点以前に20歳を迎えた在日外国人障害者については、いまなお障害基礎年金が支給されていない。同様に、1986年4月1日現在で60歳以上であった高齢者も無年金の状態に置かれている。
 三島市にも該当者が存在し、障害基礎年金は支給されていない。それゆえ、極めて不安定な生活を余儀なくされている。
 ところで、1994年の年金制度改正の際、「無年金障害者問題」について、福祉的な措置を含めた速やかな検討を求める衆参両院の付帯決議がなされた。また、1995年12月、障害者対策推進本部によって策定された「障害者プラン〜ノーマライゼーション7カ年戦略」においては、無年金障害者の所得保障として「年金制度の在り方全体をにらみながら、年金制度の中で対応するか福祉的措置で対応するかを含め、幅広い観点から検討する」とされている。
 このように、問題の早期解決に向かうべき考え方が示されているにもかかわらず、具体的な対応はなんらなされないまま現在に至っている。
 よって国においては、このような定住外国人の国民年金の完全実施を求めると同時に、それが実施されるまでの間は福祉的な措置を講じるなど、国の責任のもとに早急に対応されるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。    
 
 平成14年10月1日
  三  島  市  議  会  

内閣総理大臣 小 泉 純一郎 様
厚生労働大臣 坂 口   力  様


なお、@については市民ネットワークを含む複数会派から同時に提案がされました。
Aについては、当該の市民からの提案です。

その他、以下の意見書が採択されました。

道路整備予算の確保に関する意見書
NPO法人優遇税制の拡充を求める意見書
安全で快適な学校をめざし施設改善を求める意見書
奨学金制度の拡充を求める意見書
介護保険制度の改革を求める意見書
地方税源の充実確保に関する意見書
雇用・失業情勢の深刻化に対応するための労働行政の充実・強化を求める意見書
「義務教育国庫負担制度」の堅持を求める意見書



決算審査より
(福祉厚生委員会)

私は次のことについて質疑をし、意見を述べました
◎福祉予算の中で「不用額」がたくさん生じている。これはおかしいので改善を。
◎障害者の就労支援では、全国的にも効果をあげている「トライアル雇用」を推し進めるべきだ。
◎生活訓練ホームなどの利用状況については定員が大きく割れている。理由を分析すべきだ。
◎保育園の利用がますます高まっている。これまで各園の「定員」を縮小してきた経緯があるが、拡大すべきではないか。
◎ダイオキシン恒久対策で焼却炉の大改造を行ったが、ダイオキシン値が「保障値」である1ナノグラムを越えている実態もある(B系炉)。どうなっているのか。
◎ゴミ量が前年に比べ、少し減った。事業系の不燃ゴミの減りが顕著。家電リサイクル法の施行の好影響か。逆に不法投棄などが増えていないか。
◎市内の河川の水質汚濁の状況はおよそ「横ばい」状態だが、「環境基準をクリア」しているが、そもそも環境基準の設定が不自然。基準の設定を見直すべきである。
◎河川から環境ホルモンが検出されていることが報告された。どのように受け止めたらよいか。もっと広い範囲で調査する必要性はないのか。
◎自然環境基礎調査を業者委託しているが、単に業者委託するよりも在野の研究者や関心や知識を持つ市民が調査に参加する方法をとれないのか。
◎予防接種について、接種後の体調変化などについて記録されているか。
◎住民票の大量閲覧が増え続けている。H9年には約10000件だったのがH13では約17000件となっている。プライバシー保護上、営業目的の閲覧を規制を強めるべきだ。
◎老人保健特別会計では、財源の不足額が毎年生じている。この財源不足を埋める方法として翌年度の財源を繰り替え運用しているが、この方法は正しいのか。
◎国民健康保険特別会計では、介護保険2号被保険者の保険料が上乗せされたことについての収納率への影響は。
◎介護保険特別会計では、予定された事業量に対する実績は約80%と低い。どのように受け止めているか。国は、次期事業計画をつくるについて、過大な設定を自治体に押しつけてきてはいまいか。




介護保険特別会計について次の討論をしました(本会議)

決算年度、2001年度は、介護保険が始まってから2年目にあたります。
 介護保険制度は、当初からサービス基盤整備の遅れや、サービスの質の確保についての仕組み、苦情処理への対応や権利擁護など、諸々、未成熟な形でスタートをしたのでありますが、決算年度2001年のサービス給付の実績と、これに対し、被保険者が支払った保険料との関係について、考えてみたいと思います。

 全体として、サービスの給付実績からすると「延び」が示されております。介護保険初年度の執行率は概ね70%。対して、決算年度2001年度は概ね80%。でありました。しかしながら、このように、サービスの利用実績は延びているものの、それでも、事業計画で予定されていた事業量には遠く及びません。結果的には、事業計画の設定が実際の需要よりも大きく設定されていた・・ということになります。
 このことは、事業に対する保険料の負担ということからすると、保険料が必要以上に多く支払われてきたということに他なりません。言うならば、保険料の過払い(払いすぎ)が生じていることとなります。この点、第1号被保険者については、その保険料負担が「円滑導入」という手だての中で、当初は「四分の一」決算年度2001年度は「四分の三」と減額をされてきましたが、この点を考慮できる部分があるとしても、第2号被保険者については、明らかに保険料の「払いすぎ」(過払い)が生じています。
 したがって、何らか、この「過払い分」は被保険者に還元されるべきであると、敢えて申し上げたいと思います。
 
 また、この、事業計画と利用実績との関係においては、計画された介護認定の件数の違いを始め、サービスの利用実績は予定事業量に満たないのでありますが、その内容は、多く利用されたサービス、あまり利用されなかったサービス、様々でありました。たとえば、居宅サービスの最も中心的なサービスである、ホームヘルパーの派遣でありますが、福祉系は50%。医療系は約42%程度に留まっています。対して、訪問入浴や、デイサービスについては100%を上回る利用であります。
 現在の介護保険事業計画は、概ね、国が示した「参酌標準」をもとに策定されたものでありますが、その結果はこのように、実績との間に大きな乖離をもたらしています。

 今回の決算承認議案に対する福祉厚生委員会での審査の中でも、時期介護保険計画の策定に関し、国が示しているシュミレーシュンについては、これが大きな事業量を想定するものであり、同時に被保険者に大きな保険料負担を強いる構造であることは明らかになっております。このような背景の中で、三島市としては国のシュミレーションを鵜呑みにすることなく、あくまでもこれは参考に留め、市独自の判断と選択をしていくべきことを申し上げて反対の討論と致します。