| 「政令市構想」と合併問題について |
栗原の質問 |
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「政令市構想」と聞いて驚いている。「まさか」と思う。小池市長はどちらかというと慎重な方だと思っていたがそれは間違いか。しかも、4市7町1村(三島市・沼津市・裾野市・御殿場市・長泉町・清水町・函南町・小山町・韮山町・伊豆長岡町・大仁町・戸田村・・順不同)で10年後に政令市を目指す合意をしたという。 この「合意」は市民不在だ。市民の意志をどのように反映しているのか。 また、政令市の指定要件はどのように考えていかに整合させようというのか。 |
小池市長の答弁 |
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「政令市構想がいままでの経過からして腑に落ちない」という話だが。私が政令指定都市しかないと考えたのは国の動向。これから同時に国をたよりにしない地方分権の時代。これを確かなものにしていくためには足腰を強くしていかねばならない。住民へのサービスを決めていかねばならない。こう考えたからだ。 特に、三位一体の改革、国の危機的財政のツケを地方に回すものだ。国の補助金・負担金、18年度までに4兆円減らす。さらに地方交付税も縮減。これに見合う税源を地方に委譲するのが三位一体の改革だが税源委譲が見えてこない。税源を委譲しようとしない。これはやはり今後国をたよることはできない。経済状況も「右肩下がり」。これは長く続くだろう。 いままでは、国の補助金、地方交付税、計算とおりきていたが、ここ2〜3年の傾向では地方交付税も下がっていく。これから補助金も負担金も減っていくと。こうなるとやはり地方分権の時代の中で、これまでの行政サービスを維持し向上させていくためには、やはり足腰を強くしていかねばならない。 同時に唐突ではない。なぜかというと、今まで市民のみなさまに一年間にわたり広域行政についてのキャンペーンをはってきた。広報みしまでは昨年の7月、そして12月から合併のメリット・デメリットをはじめいろんな合併パターンについて12回にわたって広報みしまでやってきた。合併に関する講演会も行政サイドでやった。地域の懇談会を4回、2000名を対象とするアンケート調査もやった。 しかし、5月ころの市政座談会の席上「そういうことやってるが市民は静か」という言葉がでてきた。 これだけやっているにもかかわらず「深海のように静か」というのはどういうことなんだろうか。と思った。その対策として、議会からも「市長はリーダーシップをとって意思を明確にすべきだ」と委員長報告で述べられたし、やはり市長としてこの合併問題について態度を明確にすることによって市民の関心をよぶことができるのではなかろうか。一石を投じることができるのではと考えた。唐突ではないということをご理願いたい。 |
落合総務部長の答弁 |
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国の指定要件について。 地方自治法第252条の19代1項で「政令で指定する人口50万人以上の市」と規定されている。実質的要件としては、これまでの指定要件をみると @人口80万以上100万程度が期待できる都市。 A都市機能や行財政能力において他の政令指定都市と遜色ない都市。 「都市機能や行財政能力におい遜色ない」いう要件は曖昧であるが、先進市の状況などから判断するに、人口100万が将来見込める。人口密度2000人/平方キロ程度、第一次産業就業者数10%以下、都市的形態機能を備えている。委譲事務の処理能力があること。行政区の設置及び事務処理体制が整っていること。政令指定都市移管に関して県と市の意見が一致していること。などが推察できる。 静岡市が平成17年4月から政令指定都市になる予定だが、静岡市の人口は70万6513人(平成12年度国勢調査・旧清水市とあわせ)、この状況からして人口要件は70万人に指定要件が緩和されてきている。 4市7町1村が政令指定都市としての形態を備えているのかという議員の質問だが、静岡市と4市7町1村を比較してみると人口は静岡市が人口は70万。人口密度が616人であるのに対し、4市7町1村では人口63万5240人。人口密度は695人。第一次産業就業者比率は静岡市が3.6%。4市7町1村が3.4%。工業出荷額が静岡市が1兆5600億円。4市7町1村2兆4700億円。小売店舗数については静岡市が8918店舗。4市7町1村が6939店舗。 人口一人あたり都市公園面積では静岡市4.81平方メートル。4市7町1村が4.67平方メートルなど都市的形態についても静岡市とそれほど差がない。 尚、指定要件のひとつに「県と市の意見が一致していること」があるが静岡県知事は東部・中部・西部にそれぞれ核となる政令指定都市をつくり政令市でない市町村は高い自治機能を発揮できるように広域連合を設立したらどうかという構想をもっておられるので、県東部の政令指定都市づくりについてもご理解をいただいていると考える。 人口規模適用が法律と運用とがことなっているということがあるので今後、国の地方制度調査会などに対し政令指定都市のあり方や人口要件などについて検討してもらえるよう東部広域都市づくり研究会として要請をしていきたい。 |
栗原の質問 |
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「合意」についての市長の考え方は示されたが、市民の意思をどのように反映しているのかという点については答えが無かった。市民の意思を反映しているとは言えない。しかし、その一方で準備が進められつつある。 政令市がほんとに市民に利益になるのかどうか。よく考えなければならないという立場からいくつか伺う。 まず、なぜ政令市なのか。市長は「足腰を強める」という。政令市になると足腰が強まるのか?どうもはっきりしない。これまで、いろんな説明がされてきた。そのひとつに「経費削減効果」が言われる。6月議会、金子議員に対する市長の答弁。「政令市しかない」と前提し、「経費削減効果」について述べている。職員〜、特別職〜、議員〜、削減効果期待。」と。善し悪しは別としてインパクトのある話だった。しかし、職員540人、112億8千万円(10年間で)の「削減効果」については疑わしいと思っていたところ、8月に総務課が議会に出した資料では「政令市は区の設置により人件費の削減効果は期待できない」とされている。一方では540人の削減効果があるとし、また一方では削減効果は期待できないと。大きく食い違っている。これはどういうことか。まず、この点についての説明を求めたい。 |
落合総務部長の答弁 |
金子議員に対する答弁内容としては4市4町での答弁だった。比較の対象が政令指定都市ではなくて同規模の類似都市と比較した。その結果であった。政令指定都市ととの比較ではない。 |
栗原の質問 |
会議録、あらためて読むと、政令市のこととしてやりとりがされている。そこに中核市の削減効果を説明したということ。これでは、よくわからない。誤解を招くのではないか。 |
小池市長の答弁 |
たしかに議員の言うこともっともだ。4市4町は政令市に発展すると考えていたので、だから政令市として比較した。資料は事務局に作成させた。その後、精査した結果、8月の資料が作成されている。あの時(6月議会での)の金額は再検討しなければならない、こういうことはありえると思っている。 |
栗原の質問 |
「政令市としての認識であれだけの削減効果あり」という認識が改まったということなのか。6月に「合意」がなされた。誤った認識で合意したのか。 |
小池市長の答弁 |
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率直に言って、そういう考えをもった。事務局から最近この書類をもらい「なんだ!削減効果は無いのか」と思った。「こんなに削減効果があると言ったのに、どうしてこれが無いのか」と言ったら「研究した結果こういうことになった」と。政令市では各区に区役所を設ける。三島においては三島区役所。沼津では沼津区役所。など、そこに人を配置するので、そんなに削減できないという結果であった。 政令指定都市の場合は税源も委譲される。人員削減効果はあまり無いと。区役所を置かれることで、住民サービスが身近に出来、また、その土地固有の伝統・文化が保持発展できるので区役所と言う存在は必要。 |
栗原の質問 |
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「政令市であるが故に人件費の削減効果はあまり期待できない」ということ。このことについては一旦脇において置く。 そもそも、「合意」に際して、政令市になったら一体どういう財政の状況になるかという財政のシュミレーション無くして一定の考え方をもつということは不可能。そもそも財政シュミレーションどの程度されているか? |
落合総務部長の答弁 |
え〜、これから合併するにあたっての財政のシュミレーションだが、栗原議員が壇上で述べた三位一体改革、交付税の問題、これからどのように変わっていくかわからない。そういうなかで、一応、2〜3年の見通しはしている。これは三島市単独だ。よその市まで含めての財政シュミレーションはこれから事務調査会の中でやっていく。 |
栗原の質問 |
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だったら財政力が高まるかどうか、財政基盤がしっかりするかどうかは、わからない筈だ。いま、メリットとして述べられているそうしたことはあくまでも希望的なものであり、その思いを言ってるに過ぎないのだ。そのように前置きしたい。 いま手元にさいたま市のデータあるので紹介したい。一番新しい政令市。2001年に大宮・与野・浦和が合併した。そしてこの4月に政令市に移行している。このデータは交付税の動向についてである。H14年度、合併後約30億、15年度39億。でも、これらは合併による交付税の算定替えの結果として、30億、39億が交付されているのだ。もし、この算定替えの措置が無いとするならば、不交付団体。交付されない。大宮市はもともと不交付団体だったが、これ以外の浦和・与野市は交付団体で交付税は交付されていた。いまは、「特例措置」で交付されているのであり、真の姿は不交付団体なので、もらっていた交付税が無くなっているということだ。こういう状況がある。 話をもっと単純にして言うならば、合併と交付税の関係であるが、原理的に言って「1+1=2」ではない。「1+1=1.4とか1.5」ということだ。合併することによって普通交付税の金額は減る。とりわけ、財政力の豊かな町とそうでない町が合併した場合、ますますその傾向が強い。この地域において4市7町1村、この合併については、どのようなことが想定できるか。 |
落合総務部長の答弁 |
4市7町1村では交付税はH15の算定が終わった。この中で不交付団体・財政力の豊かな団体は、裾野・御殿場・長泉・小山の2市2町。沼津も調整の後に不交付団体。これを含めると3市2町。単純に交付団体を合算すると、H15年度の普通交付税額は交付額62億3千万。不交付団体を合わせて合算すると11億4千万円と想定される。正確ではないが。 |
栗原の質問 |
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数字は正確性を欠いていると受け止めるが、大枠の話、現在62億円の交付税が合併することによって11億円に減ってしまう。この問題はひとつおいて置く。 「なぜ合併なのか」のキーワード、「効率化」ということだが、これも疑問がある。人口規模と効率性の関係だ。同じ金額の税金を使にしても、それが効率的に使える場合とそうでない場合がある。これ人口規模によって違う。逆にいえば、人口規模の違いによって、同じサービスを提供するうえで、少ないお金で済む場合と、多くのお金が必要になる場合がある。一般に「スケールメリット」と言われている。人口規模と効率性との関係、いろいろと研究されている。 静岡県でもこの問題について統計調査がされいる。そこで伺うが、どういう規模の人口規模が最も効率が良いとされているか。また、4市7町1村が合併し、政令市となった場合、効率性についてどのような変化をきたすことが考えられるか。 |
落合総務部長の答弁 |
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人口規模と効率性の関係について、県が資料をだしている。経常的経緯費については、全国的に見ると、一番、経常的経費の総額が少なくて済むという人口規模は15万人〜20万人。これがもっとも効率的と言われている。それから40万人規模以上では、これにくらべやや効率性は低下すると言われている。 先ほど、栗原議員がさいたま市の例をあげられたが私たちの資料では、昨年は不交付団体であったが、15年度に政令市になったが、この年度は「一本算定」であり、特例措置が加えられていない。その状態で交付税42億円が交付されている。 |
栗原の質問 |
15人〜20万人が一番効率的と。その意味で、合併をすることにより経常経費の効率性は、むしろ落ちる。経常経費というのは、建設事業費以外のすべての経費であり、行政サービスに要する費用などはここに含まれる。これを構成する市町村は同じ結果を招く。今後も続く議論だと思うので指摘に留めておきたい。 |
栗原のまとめ |
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まとめてみると、交付税が減るということから、財源は現状よりも厳しくなる。同時に、最初の答弁のように、人件費の「削減効果」が政令市ではあまり見込めない。ということは、他の行政サービス分野で削るしかないのではないか。あるいは投資的経費(建設事業など)で削っていく。シンプルに言えば、こう考えざるを得ない。 そして、人口規模が大きくなることによって経常経費の効率が悪くなる。その結果としてもたらされるもの、これは現状よりもむしろいろんな側面において悪くなるのではないか。私はこのように、この政令市構想に大きな疑問をもっている。小池市長は、進めていくということだが、どう考えているのか。 政令市構想は、実は三島市民にとって利益が無い。あるいは指定要件からして不可能だ。こう判断せざるを得ないことがありえるのではないか。市長、どうか。 |
小池市長の答弁 |
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指定要件だが、静岡市の例と比較しても遜色ない、法的には50万人以上がだ、70万に落ちてくると考えている。4市7町1村の最新の人口推定では70万より1万3千人少ないにすぎない。各市の総合計画の推測では将来70万人を超える。 これから、事務調査会を進めていく。プラス面、マイナス面ある。三島市民にとってのマイナス面も公表していき、市民の批判を仰ぎたいと考えている。 |