第143号:2008年7月22日(火)

6月議会報告 私の一般質問


今回の質問は
1.土地開発公社の長期保有地対策について
2・JR三島駅南口の「再開発計画」について
の2つのテーマで行いました。

この2つのテーマはそれぞれ関連しあっています。
(参照:拙ページ「課題多い三島市(函南町)土地開発公社」について)
土地開発公社の長期保有土地の解決のためには三島駅南口の再開発事業が不可決です。
また、逆に三島駅南口の再開発事業のためには土地開発公社の長期保有土地の半分を占めるこの土地の解消が求められます。


答弁では、三島市は私の主張を基本的に認め、
@開発公社長期保有土地の解消に向けた具体的方針を定めること
A一定の段階での南口の再開発事業の再開に向けた庁内検討会と有識者や市民参加による懇話会の設置
が示されました。特に、Aについては小池市長からの答弁であり、このことの意義は大きいのです。
以下、主なやりとりです。再開発事業の財政的な意義についての私の質問と
それに対する財政部長の答弁にご注目頂けたらと思います。
*特に沼津市の再開発事業との比較は圧巻!



土地開発公社の長期保有土地への対応について
栗原の質問
【趣旨】
土地開発公社の長期保有土地の三島市における状況は県内でも最悪であり、早期に対応しないと、損失が大きくなり市民負担は高まる。個々の土地についての具体的方針などを定め、対応してく必要があると考えるがどうか。


福田財政部長の答弁

これまで、地域の秩序ある整備と公共の福祉の増進に資するため三島市函南町土地開発公社による公共用地等の確保を図ってきた。土地開発公社が保有している土地は、本市の依頼に基づき土地開発公社が先行取得したものでその中には景気低迷による財政状況の悪化等を背景として、設立団体である三島市の事業計画の見直し、進捗の遅れ等により原因があると思いますが、買い戻しが進まないことが大きな要因となり、保有期間の長期化が進んでいる。
H19年度末の保有土地は、41513.42u。帳簿価格が、45億75159円。5年以上保有している土地の面積は、38483.95u。帳簿価格は、43億32029901円となっている。
H20年度になって土地開発公社が土地を取得し5年を経過した土地についての調査を行い、事業の再検証を行ったうえで、当初の事業目的どおり再取得する予定のものなのか、当初の事業目的が失われていることなどにより、他の用途で再取得する予定なのか等についての調査を行ったところである。
また、公共用地活用検討部会においても土地開発公社土地のうち、代替用地を中心に検討をお願いしているところである。
これらの取り組みにより、H20年度中に長期保有土地の処分の判断と方法を見極めるとともに、今後においても各事業関係課と協議を行い事務の適性化を進め、各事業用地の目的・処分等の方針を決定していく考えである。
JR三島駅南口の「再開発計画」について
栗原の質問
【趣旨】
上記1と関係して、この長期保有土地の半分以上は三島駅南口の再開発事業用地(種地)であり、現在は駐車場として活用されている。この土地は、駐車場機能も活かしながら高度利用すべき土地であり、市街地再開発を慎重にかつ着実に進めるべきで、このことによって開発公社の長期保有の問題も解消する。このため、庁内検討会など設けるべきではないか。


小池市長の答弁

現在三島駅南口の再開発計画になっています約9,300uの土地は、三島市の委託を受けた土地開発公社、現在の三島市函南町土地開発公社が日本国有鉄道精算事業団から平成9年10月1日に取得したもである。
その取得の目的は、平成5年度に策定した中心市街地整備基本計画に基づく三島駅南口周辺の再整備・再開発事業の計画があったので、その種地として先行取得したもの。この土地を核として土地区画整理や市街地再開発など、事業化へ向け地権者の皆様にも参加いただいた「一番町街づくり推進協議会」を設置し、検討・協議してまいったが、経済状況の低迷など先行き不透明なことから民間企業の参画が厳しく、また、駅前の東西道路である小山三軒家線の4車線化の問題もあり、関係住民の合意形成を図ることが困難な状況でありました。
 一方、三島駅北口周辺地区では、平成18年3月に従来の約7,300uから10,700uに拡幅され機能的な駅前広場の整備が完了し来年4月には放送大学を併設した東部地域新構想高校の「県立長稜高校」の開校、5月には「日商三島ビル」の完成。6月にはJR三島駅舎内に「三島アスティ」がオープン活性化が図られている。また現在は「東急イン」や「増進会出版社ビル」が建設に着工しさらに日本大学が複合ビルの基本設計が終了し実施設計に着手すると聞いている。北口は急速に様変わりする。
このような状況のなか、三島駅は県東部地域の交通の結節点機能、富士・箱根・伊豆への観光面と北駿に広がる企業群の玄関口として整備充実が求められている。三島駅北口周辺整備が平成22年には概ね終了するので、いよいよ三島駅南口周辺地区の再開発事業について具体的に、地域活性化を主眼として、事業採算性のシュミレーションを検討しながら地権者の皆様と開発エリアの設定を行いたいと考えている。
今後の予定としては、三島駅南口東駐車場に隣接する地権者の皆様に本年5月に記名式のアンケート調査を行ったところ反対する方が1名おりますが、他の方については事業化への協力が得られる状況となってきた。
経済状況の低迷、地価水準の停滞や工事資材の高騰など事業に与える影響は厳しいものがあるが、今後、事業の採算性の目途がたてられる状況になったら庁内関係各課による検討部会と、市民や外部有識者などで構成する「(仮称)三島駅南口活性化高次都市機能検討懇話会」を発足し南口開発構想案を検討していきたいと考える。
なお、東街区のこの土地は土地開発公社により駐車場が運営されており、この純益は年間で1億4千万円に及ぶ。この純益が買い戻しに活用されれば、栗原議員の指摘のような「簿価の拡大」はしないと考える。

・・・・・ここから自席での再質問を展開・・・・・
栗原の質問【土地開発公社の長期保有土地】

財政部長より答弁いただいた。今年度中に土地の目的、方針を決定していくとのこと。きちんと進められていくのいであればこの問題の多くの部分は解消していくであろうと考える。そこで重ねて伺う。
「方針」の中身が問題。具体的にはどのようなことが示されるのか。重要なのことが少なくとも2つある。ひとつは土地一件ずつ処分の時期を明らかにすること。もうひとつは土地一件ずつ処分の方法が示されるということ。「方法」とは、市が買い戻すのか、公社保有のまま売却するのか、一旦市が買い戻して、市が売却するとか。いろんな形があり得るが、こうした具体的な方法が示される必要性があると考えるが、いかがか。
さらに伺う。公開性の問題。土地開発公社の問題は財政上重要な問題でありながら、直接市民の目にふれることはまず無い。HPなどでこうした情報を公開するなどの取り組みを期待したいがどうか。
福田財政部長の答弁

「方針の具体的内容」という点であるが、可能な限り一件ずつそうした時期と方法について明示していきたいと考える。その内容については開発公社の理事会に諮ることとなるが、できるだけ具体的に考えたい。
情報公開のことであるが、この情報公開の時代、そして三島市は情報公開日本一を目指しているので可能な限り「塩漬け土地」を含む情報公開が必要を考えている。
栗原の質問

ぜひそのように期待したい。
壇上でも発言してきたが「含み損」に対する対応について伺う。資料によれば、簿価と鑑定額との差額は「8億2千万円」となっている。谷田幸原線事業用地、三島駅南口再開発事業用地、向山古墳群などが多くを占めている。こうした「含み損」については、これが市民の負担になることについては極力避ける形で対応される必要性がある。具体的な対策は考えているか。
さきほど市長答弁では南口の問題について「(駐車場の収益があるので)簿価としては増えない」とおっしゃったが、簿価としては増える筈。その趣旨はわかるが。
含み損対策はどのように考えるのか。特に南口の東街区については次のテーマの市街地再開発とも関連するので、これを例に挙げて対応策を説明願えないか。
福田財政部長の答弁

資料に基づいて答弁申し上げる。
東街区の土地については鑑定額は坪80万円。一件ずつ鑑定評価をとった訳ではなく固定資産税の路線価をもとにした推定。ちなみに西街区は坪49万5千円である。
仮に公社がこれらの土地を売却したとすると、そのとき発生する「含み損」については東街区駐車場の収益、純益は毎年1億4千万であるが、その累積したものを含み損に充てることができ、経理上、公社の損失という処理がされることとなる。
三島市がこれを買い戻した場合は、「簿価で買い戻す」という約束なので、「含み損」を含めて市税を投入して買う、市民からすると市民にとっての損失となる。
平成12年4月21日の出された国の通知において、「売買差益や土地開発公社自身の経営努力等により利益が発生した場合には原則としてこれを内部留保し再投資に充てる方法があること。ただし、設立団体に還元できるものとする」旨、示されている。したがって土地開発公社に内部留保された資金のうちから、理事会でのご承認をいただくことができるならば寄付等により三島市に還元していただくこともひとつの方策になると考える。
栗原の質問

当然、開発公社での意志決定の問題。あまり立ち入ったことについてはこれ以上は触れない。駐車場の収益は非常に貴重。最大限活かしていただく形を追究していただければと考える。しかしながら、駐車場の現在の収益が、どこまで将来まで安定的なものと考えてよいのか、また、谷田幸原線、向山古墳群、などの大きな「含み損」を考えるとやはり早い時期での一定の解決を目指すべきである。その意味で今回の答弁は前進している。経過についてさらに注目していくつもりである。
栗原の質問【市街地再開発事業】

小池市長より答弁頂いた。私はこのことについて庁内検討会を設けたらどうか、ということに対し「検討会と市民や有識者による懇話会を設置したい」と。「シュミレーションなどにより採算性が見込めるという状況での話し。この問題について、止まっていたものが少し動き出した。ようやく動きだしたと受け止めている。この最大級の課題について、私はまず財政的な見地からさらに伺っていきたい。
この事業について、財政的に見た場合の意義。このことについては少なくとも私はふたつの意義があると考える。
ひとつは先ほどの質問のテーマであった「土地開発公社の長期保有土地の解消」という意義。ここに大きな意義がある。もうひとつは、三島市として税財源の取得という意義。
本町タワーを例に出してよいか躊躇がある。というのも私は「公益床」の取得に批判的であったからだが、本町タワーが完成をしてその後の状況ではそれ相当の税収が得られているとの報告を受けている。固定資産税、法人市民税、個人市民税。相当の税額となっている、こういう状況がある。この市街地再開発事業は、企業誘致などによる税収確保の取り組みと同様に、あるいはそれ以上に税源の確保という意義があると考える。交付税が来ないという現状。先ほどの学校等の耐震化についての議論の中でも、やはり三島市の財政は厳しい。支出も抑えると同時に新たな税財源を得ていくことは、最大の課題である筈。
そういう意味での2つの意義。このことについて財政部長は財政部長としてどのように考えるか。
福田財政部長の答弁

まず1点目の土地開発公社の長期保有土地の解消という点。東街区だけで簿価に占める割合は全体の50%を越える。ですので東街区の整備が進めばこの問題の半分は解消することになる。土地開発公社に対する三島市の債務補償額の現状は約57億円。この金額も半分で済むことになる。
次に市のとっての財源の確保という点。現在、東街区の駐車場ではシルバー人材センターの方合計6人の方が働いている。この用地は13700uでその面積はイトーヨーカドーの建物面積にほぼ等しい。イトーヨーカドーには何百人もの方々が働き雇用が生まれている。それ以前の日清製菓の工場であったときも同様に多くの雇用があった。同じ東街区の面積でもっと多くの方が働くことができる場があり得、若者や女性、高齢者、障害をもつ人、いろんな方々が働ける、そこから税収が見込める。
それから建物の立体化により、高いほうが良いのであるが、ここに住む人からの税収が得られることになる。現状の駐車場であることよりも再開発したほうが税収はより多くが見込めると考える。
本町タワーについては、総事業費が56億円のうち、三島市は補助金約3億2千万円を支出した。税収として得られている額は住民税や固定資産税で1億円を超える額と試算されている。そうすると、支出した補助金3億2千万円は3年間で解消してしまったということになる。東街区は駅前の一等地でもあり、サラ地で置くよりも何らかの開発を急いだほうが市の税収確保につながると考える。
栗原の質問

2つの意義についてはお認めいただいた。しかしながら、とは言え、ではその事業を三島市の自ら事業(市施行)として取り組めるだろうか。かつての計画は市施行であった。事業化をするということは当然採算性が確保できるのが前提だが。市街地再開発であるから必要な支出これは建設工事費・補償費などに対し、これを保留床の売却益をもって収支を均衡させる仕組みである。この仕組みに採算性があるとしても、三島市がこれを取り組むとなると一定のスパンで莫大な借金をすることになる。これは自ずから不可能な話し。18年度決算によれば一般会計での起債残高は約350億円に達している。もうキャパいっぱいのところにきている。ですので市として施行するのは不可能。と判断せざるを得ない。したがって何らか市施行ではない形で取り組みをしなければならないと考える。財政部長はどのように考えるか。
福田財政部長の答弁

財政面から答えるのは苦しいところもあるが、仮に市施行で取り組むということで財源を工面してくださいと言われても、できない。と考える。
沼津市の南口に「イイラ」という建物ができたが、あれを聞くと市の一般財源で21億円。基金は10億円以上崩したようでありその他の財源手当はわからないが、そのような真似はできない。あの建物は85億円くらいだそうだが、三島市においてはどのくらいの規模かは別として、そういう財源は無いので、三島としては違う形で取り組むことしかできないと考える。
栗原の質問

そこで建設部長に伺う。「市施行ではなく違う方法で」とすると、現状ではどのような形での取り組みが想定できるか。法定再開発であるからその手法は「第一種」「第二種」とあるが、問題は施行者。組合施行などあるが。いかがか。
さらに伺う。キーワードは採算性。私はさきほどから「高度利用してよい地域」「高度利用すべき地域」と言ってきた。採算性を考えるとき、高度利用は有利なのか不利なのか。この点を含め「採算性」についての説明を願いたい。
大石建設部長の答弁

再開発の手法。県内の状況をみると、法定第一種再開発事業で取り組まれた進行中含め36地区。組合施行が26地区。他市施行2。個人施行8となている。基本的には開発公社や市が事業主体となることではなく、地権者の方と一体となった組合施行方式が妥当と考える。事業手法には「優良建築物等整備事業」もある。両手法の検討が必要と考える。
高度利用の関係だが、31名の地権者、全体で13700uに約30棟の建物が建っている。権利補償、物権補償等の補償関係が生じる。それを見込みながら、権利床を新しい建物の中に満たしていく。さらに、建物全体の建設費用を満たすために保留床を積み重ねていくことになる。その意味ではやはり高度利用を図ることが必要で、マンション分譲など事業採算ベースにのせる必要があると考える。
栗原のまとめ

時間のため最後になるが、すべてはこれからである。いま答弁されたが、地権者のみなさんと一丸となって、三島市は三島市としての責任性をきちんと果たすべき。今後の取り組みに期待するが、ひとつ検討をお願いしたい。三島駅の南北自由通路を、この市街地再開発事業と有機的に連携させる形で取り組めないか。このことによって事業の意義は倍加する筈である。その再検討を含め、着実に進められていくことを求めながら質問を終わる。