大阪市長選挙で橋本元大阪府知事が圧勝、府知事選も大阪維新の会の公認候補が勝利した。テレビや新聞ではこの結果を受けて「大阪市(府)民は“大阪都構想”を支持した。」と報じているが、果たしてそうなのかと大きな疑問を持つ。そもそもどれだけの人が“大阪都構想”というものを十分に理解しているのか怪しげなのだ。
“大阪都構想”というのは大阪府と政令指定都市である大阪市の「二重行政」を問題視しての発案されたもの。例えば体育館や図書館など、同じような施設が近隣に建設されていることを橋本元大阪府知事が「無駄。」と称してスタートしたものだ。しかしながらこのことを橋本“府知事”が指摘したことがどうにも理解できない。大阪市がその市域に施設を建設するのは当たり前のこと。では府は何故、独自に大規模施設を建設する財政力を持つ大阪や堺の市域に施設を建設したのか? 大阪や堺はそれぞれの市に任せて、その財政力を持たない町村部(ただし公共交通機関がある程度整備されているところ)に建設すれば良かったのだ。二重の無駄をしているのは府側だ。それを考えずに、まるで二重行政の無駄は大阪市が悪いような話に持っていく手法はいかがなものか。大阪市に大規模な施設があれば、府はその施設を借りて、建設費用を使ってソフト事業に力を入れていれば凄いイベントができたよね。逆は不可。市は当然市民対象(あるいは中心)のイベントしか予算は組めない。市の施設を使って府が府民全体を対象とした事業を仕掛けていくのがあるべき姿だ。
これは静岡にも言えること。県営の施設が静岡市域に集中するのは不満が大きい。高度成長期以前に建設されたものは仕方がないとして、平成に入ってから建設されたものははっきり言って失敗だ。例えばグランシップ。国際的な会議に対応する施設という意味では県都にあってもいいかもしれないが、こけら落としが国際的な演劇イベントだったように、舞台芸術の場と捉えれば県東部エリア(新幹線停車の熱海か沼津、三島)に建設すれば首都圏からの観客も見込めたかもしれない。あるいは県西部エリアではやはり新幹線停車駅の掛川、交通結節点である旧天竜市西鹿島周辺(これは個人的願望(^o^))が理想的。舞台芸術にせよスポーツにせよ、本当に飢えているのは大都市以外の周辺住民なのだ。広域行政を担当する県は本来そこに目を向けなくてはならないのではないか。
ただ一つ。しばらく前に賑わせた草薙体育館建設問題は静岡市がおかしい、はっきり言って我儘。体育館を別の場所(東静岡駅周辺)に建てちゃったら“運動公園”という、そこに行けば何でもありという施設の根底が崩れる。そもそも同時期に既に県立美術館がありながら、市の美術館を新設するという“無駄”をやっておきながら言えたことじゃなかろう。どうしても東静岡駅周辺に建設して欲しければ、体育館だけではなく野球場、球技場、陸上競技場(サブトラック含む)を含めた、運動公園がそのまま移設する敷地を静岡市が責任を持って用意すべき。そうなれば草薙よりも交通の便が良くなるから県民全体が納得するんじゃない?
|