水商売にボーナスはない。
しかしボーナスというものをもらってみたいものだ。飲み屋「一心」のおやじさんもそうだった。
「……な、ピアノさんよ、公務員さんがボーナス・ボーナスとさわいじゃいるけどさ、おりゃこの店25年やってるけどボーナスなんか一度たりとももらったことなんかないさ。ところでよ、疲れた公務員さんが来るだろ、まあしょぼくれたサラリーマンでもいいやな、俺やさ、だれがどんなにぼやいたとしてもはげましてやるだよ。『がんばれよ』と。『だいじょうぶだ、なんとかなるよ』と。そうするとなんとかなっちまうだな、これが。これまでどんなにたくさんの人達を救ってきてやったか知れねえ。そんじょそこらの医者なんかよりゃはるかにたくさんの人達を救ってやっているんだぜ。そろそろちっとはだれかにほめられたっていいやな。公務員さん達だってたくさん救ってやっているんだから、市長さんくらいからちょっとくらいボーナス出してくれたってちっともおかしくないやな。しかし世の中ってのはまったく冷ってえやな。ピアノさんよお。」
おやじさんの台詞は格好良すぎた。あたたかかった。「一心」が伝わってきた。
傷害事件 1998・12・21
6月の雨の日。
江崎ホールでJAZZライブを見た。いつものようにいきつけの居酒屋をでると、時間はAM3時をまわっていた。私は酒のせいでふらふらで、タクシーを探しに江川町に出るところだった。どしゃぶりだった。
「傘かせよう。」
「おい、傘かせっていってるだよう。お前。」
「しかとするんじゃねえよ。ばかやろう。小林さん、なまいきですぜこいつ。」
二人めがあらわれた。男はいきなり私の胸ぐらにつかみかかり、シャツのボタンを引き千切った。20歳前後か。
「ふざけるんじゃねえよ。傘かせっていってるんだこのやろう。」男は私の傘を奪い取りそのまま殴りかかってきた。酒のせいでふらふらの私は自分の身を守るのが精一杯だった。いきなり傘の先端が私の右手を襲い鮮血が飛びっ散った。私のシャツとズボンは鮮血で血まみれとなった。どしゃぶりの雨の中、男と私は決死の乱闘となった。取っ組みあいになった時、向かえのホテルのガードマンが入り口にあらわれた。私は男をふりはらい、ホテルのロビーへとにげた。男はロビーの中まで追って来た。
「このやろ−。」
男は狂った目で私を見つめた。しかし数秒のにらみあいのあと、男はその場から退散して行った。ホテルのロビーのじゅうたんにはしたたり落ちた血の痕が残り、私はガードマンがくれたバンソウコウで止血に必死になった。
翌日、医者へ行き、警察に被害届けを済ませた。しかしその時傷を負った私の右手中指はまだ完治せず、痛みが残っている。犯人はまだつかまっていない。静岡の夜も安全ではない。自分の身はしっかり自分で守る必要がある。
みちのくプロレスがやってきた。
かれらの舞台はなんせ東北地方に限られるため、観戦するのは初めてだ。私は、4台目タイガーの実力が本物であることも、サスケやスペル・デルフィンの空中殺法が一流であることも良く知っている。しかし、私が語りたいのは、新崎人生、彼をおいて他にいない。
プロレスの世界には、オリエンタルなイメージが売り物のレスラーは昔から数多くいる。ザ・グレート・カブキ、ケンドー・ナガサキ、ムタ・・・しかし新崎は彼らパフォーマーたちと明らかに一線を画する。みち・プロにはショウ・マンも多く、観客も和やかだが、彼のテーマソング「般若心経」が鳴り響き、虚無僧姿の新崎が姿を現すと、会場に緊張感が走る。ゴーン。鐘をつく音。エプロンサイドで瞑想にふける。なにを想うか、新崎。彼は、「リングは修行の場だ。」と言うが、彼の見せた背中には、その言葉が単なるパフォーマンスに聞こえない迫力と説得力を感じる。
試合運びも一流だ。若手の技を受けては、徐々に相手を封じ込めていく。最後は、オリジナル・ホールド「極楽がため」でフィニッシュだ。試合後もリング上での読経を忘れない。短い間に私は完全に彼の術中にはまってしまった。
休憩時間には、般若心経いりの人生Tシャツを購入、サインまでしてもらったりして。ありゃりゃ回りのカメラ小僧たちとなにもかわらないじゃないか・・・。
バーガーショップ
1998・12・25
「いらっしゃいませ。お待ちのお客様、こちらへどうぞ。」
「んー。BBライトセット、下さい。」
「かしこまりました。」
BBライトセットって、どんなんだろう。
「プラス30円でポテトがMサイズになりますが、いかがでしょうか。」
「そうして。」
あっさり値上げの話するなよ。
「お待たせしました。510円になります。」
私は1,010円を差し出した。カウンターの女性は差し出された私の手をとり、代金を受け取る。彼女の手のぬくもりが私に伝わる。彼女はロボットではなかった。
「500円お返しです。お確かめください。」
おつりの500円玉一枚を確かめろと言う。一応手にとって裏表を確かめた。ふざけたつもりだったが、彼女は意に介さなかった。
「ごゆっくりどうぞ。」
新聞をじっくり読むには、せわしない空間だった。
人間ははじめは女である、とある女性が教えてくれた。それは精神的な意味ではなく、遺伝子レベルでの話だ。もともと人間の遺伝子はすべてがXXで、どこかでそれがXYになると男が生まれるという。つまり女から男が誕生するのだ。へーえそういうものなんだ。面白いねえ。
ところがその女性の話はそれで終わらなかった。人間は誕生してから、もう一度それと同じ過程を通るのではないかと言う。つまりおぎゃーと生まれた時はみんな女で、男になるべき者はどこかで宿命的な試練を体験して男になるのだ。男になる瞬間が必ずあるのだ・・・これが彼女の主張だった。
・・・私は6つの時のある出来事を今でもはっきりと憶えている。当時、TV番組「帰って来たウルトラマン」が大ヒット中だった。その中で、地球防衛軍をMATと呼んでいたが、ある少年誌でそのMATの隊員を大募集していた。MATの隊員になるとあこがれのMATのバッチと隊員証がもらえる。ウルトラマンにいかれていた6つの私はのどから手が出るほどこのバッチが欲しかった。しかし、その広告には次の一文が書かれてあった。
「地球に怪獣があらわれたとき、MATの隊員のしょくんは力をあわせて怪獣たちをたおさなければならない。」
MATのバッチを持つということは、ウルトラマンといっしょに怪獣を倒して、地球を守らなければならないんだ。私はMATに入隊することをためらった。だっておとうさんやおかあさんと離れて、一人で戦わなければならないのだから。怪獣に殺されるのかもしれないのだから。私は恐くなった。本当に恐くなって親父に相談した。
「怪獣なんてこないよね。」
「怪獣はくるぞ。おまえはウルトラマンといっしょに地球を守らないといけないぞ。できるかい。」 親父は突き放した。私はこの時、きっと生まれてはじめて決断に迫られたのだろうと思う。ここで答えを出さなきゃ男じゃない。
「MATの隊員になるよ。ぼくが死んでもお父さん悲しまないでね。」 親父は笑っていた。
この時、私は少し男になったのではないだろうか。地球を守るために。 みなさまのご意見
bar〇ッシュの〇チ山氏が、「やっぱり自分の店をだしたいねえ。」と言い出したので智恵をだしてあげることにした。実は私には暖めていた企画があるのだ。
bar 防空壕
店は地下にオープンする。八畳ほどの狭さ、中は真っ暗の中に裸電球が二・三個所、たまに消えたりする。天井にはB29爆撃機の模型をかけておく。酒はトリスとREDにはラベルがあるが、その他のものは適当な瓶に適当につめられている。透明なものは値段が安く、琥珀色のものは値段が高いぐらいの価格設定がいい。たまに、いいぶつが入りましたぜとばかりにジョニーウオーカーでもだしてみるか。音楽は古い美空ひばり、カーメン、モンロー、グレン・ミラーあたりだが、サブトラックに遠鳴りするサイレンの音、焼夷弾で燃える木の音、機銃掃射の音と悲鳴を混ぜておく。お通しにはカンパンとコンペイトウ、お代わりはしてはいけない。配給チケットも用意・・・・・・。
「いいけどさ、まあ採算ベースにはのらんでしょう。それにうちのおやじきいたら怒りますぜ、それ。」
そのとおりだね。やめとこ。
元旦、実家には電車で帰った。もっと早く帰る方法もあったのだが、昔使っていたこのローカル線に乗って今日は帰ってみたかった。冷たい伊吹おろし、瞬く星、だれもいない駅、変わらない風景。…ん?カップルだ。男は電車に乗る、女はホームにたたずむ。この駅で二人はしばしの別れか。停車中、二人の話声が聞こえてくる。
「まったくよーおめーよー、しょーこのいうとおりしたんだぜおれよー。おめーが悪りーんだよーあやまれよーまあいいけどよー。今度あえるかどーかわからんぜーかわいいけどよーおめーこんにゃろー。」
「しんちゃんがさーいけないんだがー、どーしてよー。いっつもいっつもさーどーしてよー。もーほんとにさーもー。」
おい、もうちっと頭のいい会話してくれよ。星空が泣いてるぜ。
駅のブザーがなる。車掌が笛を吹く。扉が閉まろうとする。
「ばいばい。」
「いや!」
ガシャン。
胸を突く一言だった。
At Ryougai street.
Black '' Hey! guys! we'll have a party tonight, Do you wanna see our Live party , no expensive
yasuiyo yasuiyo.''
Cool ''No.thanks. I'm not interested in Live party sorry. And I have to work tonight.
Black ''Oh! You speak'in English so good ! ''
こういう時なのだ。この時、左手を頭に持っていき、「どもども。」などとやってしまったら終わりだ。英語がうまいね、なんて言われて喜んでるうちはハナタレのガキと同じだ。相手はブロークン、イングリッシュのメリケン野郎だ。お前ら六本木じゃそこそこもてるかしらんが、両替町の歩き方を俺が教えてやる。
Black ''Oh! You speak'in English so good ! ''
Cool ''You too.'' (君もな。)
よっしゃ。キマッタゼ。
写真はイメージです。本編と関係はありません。
実家に帰省した。いつものように栄町の居酒屋で騒いでいると、隣に座ったのは目を疑わんばかりの美しい女性、21歳、風俗嬢だった。
「…サービスって大切でしょう。私の店にいるとよくわかるの。かわいい子いっぱいいるから。サービスが下手な子っていくらかわいくてもお客さん付かないじゃない。だから私、めいいっぱいサービスするようにしてるの。その方が、お互い楽しいじゃない。」
なんだ、わかってるじゃねえか。こいつ。
「…でもね、いつまでもこの仕事はしないつもり。今ね、福祉に興味があるんだ。この前ね、キロロの曲を手話で演ってる番組見たんだ。感動しちゃってさあ、即福祉学校に入学申し込んじゃった。老人ホームとか行ってみたいの、私。」
見上げたやつだな。しかし、性根は座っているのかな。
「彼氏いるの。」
「男なんかまったく興味がないの。束縛ばっかでもう大変て感じ。前の彼氏なんか『ミニスカートはくな』なんて言うのよ。年頃なんだから好きにさせてよ、て感じ。今しかできないことってあるんだから!男はほんとにいらないの。だってめんどくさいだけだもの。うちの犬がかわいいから今はそれでいいの。」
やはりその程度だったか。よし、私の出番だ。
「あのね、あんた男を愛することじゃなくて、付き合うことにしか興味がないから男の意見を拒絶するんだよ。『ミニスカートはくな』というのはなにより男の愛の表現だ。受けいれないのは男を愛していなかった証拠だよ。だいたい一人の男すら愛せないハンパな女がなんで福祉なんかできるんだよ。福祉というのは言い換えりゃ老人や障害者に対する愛だぜ。男なんかよりはるかに難しくて愛にあふれているんだよ。興味本位で首突っ込もうとするなよ。だいたいな……」
「ごめん、友達来ちゃった。またね、お店にも来てね。」
お、おい。途中で終わりかい。そりゃないぜ。最後までいか…いや言わせてくれよ。 皆様のご意見
数年前、私はセールスマンだった。毎日の仕事の中でも、T社の並列コンピュータを静岡で普及させることにかなり情熱を注いでいた。なぜなら面白いと思っていたからだ。
民間中心の営業だったが、ある日、○県庁へ営業に行くことになった。情報システム課だったか、課長さんが現れた。私はいつものように話しはじめた。
「世の中ダウン・サイジングと騒いでいますが、我々はこれからの情報ネットワークは本当にクライアント・サーバーシステムの実現だけでよいのだろうか、という疑問を持つ必要があります。例えば本当に高速なサーバーが存在すればC/Sの構築は必要ないのではないだろうか、というところに弊社は目をつけております。」
「はい。」
「弊社が推薦します、T社のサーバー、○シリーズは、ディスクアクセスを並列に行うことを独自OSにより可能としました。よって従来のものより10倍はやい。また、メモリーからCPUへデータを転送する仕組みを大幅に改善することにより、更に10倍のスピードが得られるため、最高で10×10で100倍の処理能力が得られることになりました。サーバーの処理能力がこのように100倍にもなれば、従来一辺倒だったC/Sシステム構築主導の考えかたも変わってくるのではないでしょうか。」
「はあ・・・」
「現在、民間企業においても、イントラネット構築が急速に進んでいます。イントラネットの本質は、サーバー上にシステム、データのすべてを置いてしまい、クライアントにはブラウザーのみというシステムを作るところにあります。すべてのメンテナンスはサーバーのみ、これほど合理的なシステムが他にあるでしょうか。超高速なサーバーがあってこそ、はじめて可能なことなのです。」
「わかりました。」 ・・・え?
「だからわかりました。以上ですか。」
「以上ですかって、あなたは私の考えをどう思うのですか。」
「いいと思います。」
「?!・・・いいと思いますって、それじゃ買ってくれるんですか。」
「私の仕事は、民間の方々からたくさんの意見を聞いて、その中からいいものを選ぶことです。私には特に考えはありません。民間の方々は素晴らしいアイデアをお持ちですから、いろいろと意見を出し合っていただき、教えていただき、その中から我々はじっくりと選んでいこうと思います。今日はいろいろとありがとうございました・・・・・・。」
これはもう数年前の話だ。今はもう変わっていると思いたい。営業中にショックを受けることは少なからずあったが、これも忘れられないもののひとつだ。○県の情報システムの課長が、『私は得に考えはない。』と言う。つまり彼は情報システムなどどうでもよいのだ。民間からでてきた意見からあたりさわりのないものを一つ選べばそれでよいのだ。考えはないだと・・・お前情報で飯食ってるプロだろ、なにも考えてないならいったい毎日何をやってるんだ。私はこうしたい、とか、こうするにはどうすればいい、とか、こういうことはお宅ならできるのか、とかそういう聞き方はできないのか。なんも考えずに金だけもらって、お前この御殿でお前毎日なにをしているんだ?お前誰の金で給料もらって、誰の金でシステム作る気なんだ。民間の情報の課長なんかたいへんなんだぞ。がんばってんだぞ、わかってんのか・・・。
「ありがとうございました。」
「ああ、ありがとうございました。また来ますよ。必ず。」
その後私は飲み屋の主人となった。しかしコンピュータの営業マンも面白かった。それなりに・・・だが。
「うおー・・・やべー・・・!!」と駅のトイレにかけこんだところ、トイレに神なし。救われない思いにうな垂れた時あなたはどうするだろうか。
こんな時、少しもあわててはいけない。いたって普通に用をたせばいいのである。その後どうやってふくのかって?ふくなんて考えるからいけない。一度洗い流せば便器の中にはきれいな水があるではないか。手ですくっておしりをきれいに洗い流せばよい。手がよごれたら一度水洗をしてもう一度ふく。おしりがきれいになったら後は思い切り自由時間だ。乾くまで物思いにフケるもよいし、文庫本でも読んでいればよい。紙でふくよりよっぽど衛生的だ。
もともと便の中にはたいして大腸菌など含まれていないのだ。人間の便なんかきれいなもので、日常手にこべりついている菌がもっとも食中毒の原因になりやすいと衛生管理者講習会で教えられた。便より手の方が汚いなら、触るのをためらうのは本末転倒というところだ。まあ一度やってみてください。自信がつくと思うよ。
しかし、かけこんだ駅のトイレに紙がないのを発見して、ネタを発見した喜びに、用をたすより先にデジカメを構えトイレの写真をとっている自分が最近とてもいやになるし、問題であるとも思う。
COOLは女をベットにほおり投げた。
「やさしくしてね。」
しかしCOOLはそれを聞き入れる様子もなく、女のパンティーをはがし、抱きしめると同時に一気に挿入した。
「こ、この人・・・・・・。」
前戯のない挿入に女はなれていなかった。あまりの急展開に呆然とした女だったが、その後のCOOLの肉体の弄び方は執拗なまでにいやらしかった。耳から口へ、そして胸へ。いわば挿入されたままの前戯の快感を女ははじめて味わった。それは羽根をもがれた小鳥が猫にいたぶられる様にも似て、貫かれたまま逃げ場をうしなった自分がいいように転がされている事実に奇妙な興奮を覚えたのだった・・・・・・。
・・・・・・いやいや、エロ小説を書こうと思ったわけではない。今日言いたいのは、SEXのマニュアル化だ。前戯で女性をよろこばせ、フェラチオで気持ちいい思いをして、最後に挿入、出たら終わり。一体このSEXのパターン、誰が考えついたのだろう。ちょっと皆さん、胸に手をあてて考えていただきたい。性行為までマニュアルにならって行っているとすれば、これは重大な問題だ。
前戯〜フェラチオ〜挿入〜終了。このパターンがここまで広まっているにはアダルト・ビデオの影響が大きいのではないかと思う。あんなもん見て、SEXはこうやるんだなんて理解しているやつが結構多いんじゃなかろうか。若いやつに冒頭のようなやり方を説明したら、「それはレイプ・プレイだ。」なんて言われてしまった。彼にとってはノーマルなAVビデオと違うコーナーにあるやつなのだ。すべて型にはめて納得しようとする。まあいいけどさ、知らないうちにあんたの好きなSEXまで、いよいよマニュアル化されてきているんだぜ。
いやいや反論!そうだ賛成!私はもっといいぞ。 ん、ちょっと今回過激かな。 皆様の意見