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 「火吹き山の魔法使い」「バルサスの要塞」などのタイトルで、かつて一世を風靡したゲームブック「ファイティングファンタジー」シリーズ。このルールを用いたRPGとしては同名の「ファイティングファンタジー」があった。しかし、当時の私はこのルールが多人数RPGキャンペーンをするためには少し物足りないように思えた。そこで、中学から高校、大学にかけて、何年にも渡り、何度となく追加・変更ルールを自作していたのだ。
 先頃、この当時のメモが見つかった。今となっては「アドバンスト・ファイティングファンタジー」も出版され、存在価値も失われてしまったのだが、懐かしいので加筆修正して公開する。

 目次
 1,重要な改正点
 2,能力格差の是正
 3,戦闘ルールの改正
 4,魔法の新ルール
 5,新しいチャート


1,重要な改正点

 ファイティングファンタジーのルールでキャンペーンプレーが困難な理由は2つある。1つは運試し、もう1つは冒険者の強さである。
 そこで、次の変更を薦める。

運試しの改良
 通常ルールでは運試しをするたびに運点が減り、回復するためには開運の薬か、幸運に見舞われたとゲームマスターが判断する必要がある。とはいうものの、幸運に見舞われたかどうかの指標ははっきりしない。また、幸運に見舞われるために運試しに成功する必要がある場合が少なくないため、一度運が尽き始めると回復しにくくなる傾向にもある。これでは戦闘などで自発的に運試しをすることもなくなってしまう。
 そこで、これまでのルールに次を追加したい。
「運試しに失敗した場合、運点はサイコロの出目または原運点のうちいずれか低い方と同じ値にまで回復する」
 このルールを用いることにより、運試しをする事もさせることも容易になるだろう。これまでほとんど活用されなかった「戦闘中の運試し」のルールも、にわかに色彩を帯びるはずだ。
 ルールにある「幸運はやがて尽きる」という概念に対しては、「不運もやがておさまる」と反論して渡りを付けよう。

能力値の改良
 ファイティングファンタジーの冒険者はおしなべて強い。できたての冒険者でも技術点は平均10.5点、最大12点、体力点に至っては平均が19点、最大は24点(!)となっており、赤龍(技14体23)や地獄魔人(技14体12)の能力と比較してもさして引けを取らない。一人で世界を救うべく戦うゲームブックならともかく、こんな人間が団体で行動するとなると地獄が何階層あっても足りないだろう。無論、オリジナルモンスターでの対応も容易なシステムではあるが、それでは「モンスター辞典」の活用の場が失われるだろう。
 そこで、冒険者は各能力につき1D6し、下表により作成する。

1D6
技術点
体力点 10 11 12
運 点 10 11 12

 この場合、技術点は平均6点となり、ゴブリン(技5体5)たちといい勝負だろう。また、当初の能力を下げることで、成長させやすくなるだろう。

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2,能力格差の是正

技能取得数の変更
 上の2つのルールをアドバンスト・ファイティングファンタジーに導入すれば、タイタンでの冒険はよりスリリングで、よりエキサイティングなものとなるだろう。
 しかし、実のところ、アドバンスト自体に内包された問題が1つ残っているのだ。これについては発売当初より様々に論議されてきたが、たとえ擁護派にあっても、それが問題点であることを否定はしないだろう。その問題とはつまり、特殊技能の導入によるキャラクター間の能力の格差の拡大である。技術点が高いほど技能が多くとれるとする現行ルールは高度に洗練されたプレーヤーを要求する。技術点が低いキャラクターのプレーを楽しむためには、多大な努力を強いられるだろう。しかし、ファイティングファンタジーは初心者に安心して薦められるRPGとなる要素を多く持っている。この一事でプレーヤーを選ぶRPGとするのは大変惜しい。
 そこで、やはり能力が低い者ほど特殊技能を多く持っているとしたほうが良いのではないだろうか。これは、技術点=「冒険慣れの度合い」という意味合いと解釈することで、特定の技術を学ぶのに忙しく冒険をあまりしなかった者は技術点が低く、冒険ばかりにかまけて何かの技術を真剣に学ぼうとしなかった者は技能が少ないと理解できるだろう。
 得られる技能点(得られる技能の総レベル数)は技術点により以下となる。

技術点
技能点 12 10

 さらに、体力や運が低いキャラクターも救われるべきである。体躯や幸運に恵まれない人間は、技術でそれを補おうとするだろう。体力点、運点それぞれに下表を参照し、幾ばくかの技能を得る。

体力・運 10 11 12
技能点

 魔法の技能を得ても技術点が減らないこととする。魔法を得られるほど技能点がある者は往々にしてもとの技術点が低いからだ。

 このようにして、冒険者間の格差を是正しようと試みたが、これだけでは十分とはいえない。なぜなら、技術点4のキャラクターは、すべての特殊技能を最高値(4)まで取ってようやく技術点8のキャラクターと比肩できるようになるのだ。しかも、技能によらない判定が生じることも考えればなお不利であることは変わりない。これでは公正さを欠くと指摘されても仕方ない。
 そこで、特殊技能の取得制限を無くしたいと考える。ただし、現在の技能が4の倍数を数える毎に、技能を1点取るために必要な技能数または経験点が+1される。つまり、技能を4から上にするには1点毎に2の技能数がいるし、8から上にするには3の技能数がいる。作成時に技能をある点にするために必要な技能数は下表の通りである。

技能レベル 10
必要技能点 10 12 15 18

 しかし、技能があるほうが技術点が高いことよりも有利にならなくては技能の有効性が表現できない。
そこで、技能を使った判定に失敗した場合、運試しに成功すれば1度だけサイコロを振り直すことができるようにする(望まなければやる必要はないが)。しかも、その運試しは運点に技能を加えて判定できるのだ。
 これにより技能を持っている者が有利となり、当初の格差がかなり是正されるだろう。

キャラクターの簡易作成
 このルールを用いると、前述のルールを一部使用しなくなる。
 このルールの目的はキャラクター作成の簡易化である。FFのキャラクター作成は非常に容易だが、AFFは少し煩雑だ。何故なら幾つもある技能の中から幾つかを選び、それぞれに何点かを振り分ける作業は、こと初心者にとっては意外に手間を取る作業だからだ。それを是正するためにこのルールを提唱する。
 技能は戦闘系、移動系、盗賊系、知識系に分野分けされている(ルールブックP174参照)。キャラクターは技術点に応じ、特技としてこの分野の技能を丸ごと取得する。以下の表を参照されたい。特技は重複してもよい。

技術点
特技数

 特技を1つ取得したら、さらにその分野に含まれる技能を1つ取得する。
 低い運・体力による能力是正はない。
 このルールを用いると、例えば剣による戦闘や魔法など、特定の分野で12点(技術点4、特技4、技能4)の技能を持つ者も出現するだろう。しかしこのキャラクターはそれ以外の分野はまるでダメ(技術点4のみ)なので、まあバランスがとれているといえるだろう。
 また、各分野ごとに含まれる技能数が異なるため、実際に計算したら有利不利があるようにも思えるが、各技能の利用頻度を考えればそれほど大きな差はないだろう。
 このルールのもう1つの利点は、どの技能に属すかわからない判定を、分野判定で行える点だ。手斧を投げるときに使う技能は、斧なのか、投げ槍・投げナイフなのか悩まずに、戦闘分野判定をすれば良いのだ。これは、シナリオ中、さまざまな場面で役に立つはずだ。

キャラクターの職業   <職業ルール
 職業のルールを作ってみた。これは「トーキョーN◎VA」というRPGのシステムを参考にしている(と言うかパクっている)。キャラクターの性格付けと分業化に重宝するかもしれない。少し長くなったので別に掲載する。

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3,戦闘ルールの改正

防具に関するルール
 ファイティングファンタジーの戦闘ルールは簡単だがエキサイティングなものだ。アドバンストでは武器によるダメージのルールも加わり、リアリティも増した。しかし、唯一防具に関するルールが貧弱なことが残念だ。
 ルールブックには全ての冒険者は狭い洞窟の中での冒険に適した鎧を着ていると書いてある。たしかに道理だが、キャラクターに特徴を持たせる小道具の一つとして、より詳細なルールがあっても良いと考えるむきもあろう。そのように考えるならば次のルールを用いたらどうだろうか。

鎧には以下の種類がある

防御率 耐久性 購入価格 修理価格 技術点
都市 田舎 辺境 都市 田舎 辺境
革よろい 10 20 25 55 1 1 3
鎖かたびら 20 55 80 175 2 2 6
板金よろい 30 120 150 325 2 4 8 −1

 鎧を着ている冒険者が戦闘で負傷した際、その回の戦闘で振ったサイコロの出目が鎧の防御率以下ならば、ダメージを1点減点することができる。減点されたダメージは鎧のダメージとして累積される。鎧のダメージは1点につき修理価格の金額で修理できるが、累積ダメージが耐久性の値に達した場合、その鎧は修復不可能なほどに壊れてしまう。こうなるともはや何の特典も得られない。
 罠や落下など戦闘以外の状況で鎧の効果が適用される場合は、サイコロを2つ振って防御率以下の目が出れば鎧の効果を適用できる。

 盾を持っている場合、技術点は1点下がってしまう。しかし、盾の使用者は盾による防御を宣言できる。その手順で防御を宣言した者は、戦闘で勝っても相手にダメージを与えることはできない。ただし、負けた場合でもサイコロの出目が技術点以下ならダメージを2点減らせる。
 戦闘以外の状況で盾の効果が適用される場合、技術点判定で使用の正否を確認する。

モンスターの攻撃の威力
 アドバンスト・ファイティングファンタジーでモンスターの攻撃の威力はその大きさによって決まることになった。しかし、どのモンスターが小型でどのモンスターが大型なのか明確ではない。さらにディレクター(ゲームマスター)は戦闘に際し無数のモンスターを操ることもままあり、いちいち表を参照するのも手間だろう。
 そこで、モンスターの攻撃はこれまで通り通常2点の威力としたい。ただし、サイコロを1つ振り、1が出たら−1、6が出たら+1、7以上なら+2とする。
 モンスター事典で特に威力が記してある際も、その値にサイコロによる修正を与える。

強打
 強打は恐ろしすぎる。36分の1の確率であらゆる力量の差を超越して瞬時に殺して(または気絶させて)しまうのは強引すぎるし、シナリオ崩壊に陥りやすい。おそらくこれは技能の導入で強くなりすぎたキャラクターたちを牽制するものだろう。しかし、前述のルールによって能力値を落とされたキャラクターには不要に思える。
 そこで、これまでのルールに変えて、「強打を与えた場合、威力は2倍になる」というルールを適用する。

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4,魔法の新ルール  <AFF魔法リスト>(このリストはAFFを持っている人しか見られない)

ソーサリー型の魔法   <カード>  <ソーサリー魔法リスト>(このリストはソーサリーを持っている人しか見られない)
 古くからのファンの間では有名な話だが、ファイティングファンタジーの始祖、スティーブ・ジャクソンとイアン・リビングストンが来日した折り、制作中のAFFの魔法のルールをバルサス型にするかソーサリー型にするか、集まったファン達に質問したそうである。結果は圧倒的多数でソーサリー型に決まったそうだが、できあがったルールは特にどちらというでもない無難なルールとなっているのはご存知のとおりだ。もちろんこのルールをそのまま使えば何の問題もないのだが、やはりソーサリーのルールも捨てがたいと思う向きもあるだろう。しかし、ソーサリーの魔法はプレーヤーの成長(呪文の記憶)がそのまま魔法使いの能力上昇になっているため、一度熟達した魔法使いをやったプレーヤーは二度と駆け出し魔法使いはできないだろう。そこで現行のルールに変えて以下のルールを提案する。これまでの魔法ルールと共存させるためには、これまでのものを「魔法」、このルールのものを「魔術」と呼んで用語を整理し、新たに「魔術]の特殊技能を設ければよいだろう。
 このルールを用いるには、魔法カードが必要である。上示を参考に作ってほしい。
 普通、カードの一番上には「呪文」が、その下には「必要体力点」が書いてある。さらにその下には「魔法の概略」と、もしあれば「媒体(必要なアイテム)」が書かれている。そして一番下にはアルファベットが1文字書かれている。
 ゲームを始める前に、ディレクターは魔法カードをランダムに3枚抜いて、プレーヤーに見えないように伏せて置く。次に、各魔法使いは魔法技能に等しい枚数だけ魔法カードを見ないで引く。残った魔法カードを山札にして置く。

 ゲーム中、次の場合カードを補充・交換できる。
1.シーンの変わり目と朝起きたときに、不要なカードを好きなだけ捨て(捨てなくてもよい)、その後、手札の枚数が魔法技能と等しくなるまで補充できる。
2.戦闘中などは、各ラウンドの最初に魔法の技能ロールをすることができる。これは、魔法を思い出そうとしていることを意味し、ロールをしたラウンドはあまり派手な行動は取れない。このロールに成功した場合、カードを1枚補充できるが、もしすでに手札が魔法技能以上ある場合は、先に1枚捨てなくてはならない。ロールに失敗したらカードを補充できない。もし自動的失敗(6のゾロ目)なら「おおっと!表」を参照する。
 山札がなくなったらただちに捨て札とディレクターの隠し札を混ぜてよく切り新たな山札とする。新たな山札からは先ずディレクターが3枚引いて隠し持つ。

 カードの使い方はいたって簡単だ。魔法使いが所持している呪文カードを提示すれば、その成否と効果をディレクターが発表する、それだけである。使用されたカードはただちに失われる。ディレクターはソーサリーの魔法リストの説明を読んで、今プレーヤーがかけようとしている呪文がどのように働くか考える。もちろん、いくつかの魔法はしっかりと数値を与えられておらず、自作する必要もあるだろう。必要とだ思ったら、上示の魔法リストの例を参考にしてみてはどうだろうか。
 もし、ディレクターが隠し持っているカードに示されたアルファベットが、魔法使いの使った呪文に含まれていた場合、ディレクターはそのカードを魔法使いに提示する。魔法使いはこれを受けて「おおっと!表」を参照する。ディレクターは提示したカードを捨て、山札から新たなカードを引く。
 技能が3以上の魔法使い(手札が3枚以上)は、カードの下のアルファベットを組み合わせて呪文をとなえることもできる。呪文をなす3枚のカードを順番にそろえてディレクターに提示すること。もしも呪文が間違っていたら、魔法は失敗し、ただカードのみ失われる。
 魔法はいつでもかけられる。ただし、自らが激しい戦闘などのさなかに在ってはならない。
 呪文以外の特殊な魔法カードが何枚かある。ほとんどは他の呪文カードと同時に使う。書かれている指示に従うこと。

 ディレクターはアルファベットを組み合わせて新しい呪文を作ってもよいだろう(3文字にこだわる必要もない)。また、間違えやすそうな綴り(ZIGとかGAMとか)に偽呪文・暴走呪文などの罠を仕掛けてもよい。
 プレーヤーは、記録用紙などに呪文をメモしてはいけない。

おおっと!表の追加   <新おおっと!表
 おおっと!表には想像するだに愉快な効果が満載されているが、しばらく使っていると同じ効果が出ることも多いだろう。ほとんどの魔法使いに青い髪と人目を引く尻尾が生えているというのはどんなものか。
 そこで「おおっと!表」を5つ(!)追加した。表を参照する必要があるときは、先ずサイコロを1つ振って、参照すべき表を決める。あとは普通にサイコロを3つ振り、示された表を参照して効果を得る。
 これら「おおっと!表」では、これまでのものも含めて、効果時間が新たに決められた。これは効果の性質に合わせて考えられたものだが、ディレクターは必要に応じてこの時間を自由に調整できる。

おおっと!表の効果時間
何か適当な解決策をとるまでずっと続く。
大抵はそのシナリオ中ずっと続く。
その戦闘や状況が終わるまで。
発動は一瞬だが、効果は普通に解決するまで続く。

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5,新しいチャート

新宝物表   <新宝物表
 モンスター事典には便利な宝物表がついていて、モンスターの種類ごとに得られる宝が分類してあり、シナリオ作りや偶発的な遭遇の際、とても重宝する。ここでは特殊な品として11個の例があげられている。そして、説明文には、この表は必要に応じて差し替えてよいという趣旨の文言がある。それではと言うわけで差し替え用のデータを用意した。これは「Bible of Games」で解説されている「ウォーハンマ・クエスト」という、いわばファイティング・ファンタジーの孫にあたるゲームからの流用である。いくつか未変換のデータもあるかもしれないので、不明な点はメールで知らせてほしい。

遭遇表   <遭遇表
 モンスター事典にはさらに便利な遭遇表がついているが、使いやすいようにモンスターの簡易データを併記した。さらに幾つかの表を追加しいる。必要に応じて使うとよいだろう。
 また、何か事件を起こしたくて遭遇表を振ったのに「なし」という結果はあんまりだ。そこで「なし」の部分を補う事件を作ってみた。事件の細かい内容はその場で考えてほしい。

ランダムダンジョン表   <ランダムダンジョン表
 無作為にダンジョンを作れたら便利ではないかと言う天啓を受け、試しに作ってみた。もう少しいじりたいが・・・。

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