7月25日 本の紹介。 「ライトノベル完全読本」日経BP社 最近オタク商売に強い関心を示している日経が、満を持して放ったライトノベルの解説書です。 ここにはライトノベルの過去があり、現在があり、未来があります。 過去とは即ち、 作家数十人の「私はこうしてデビューした!」 懐かしい作品名続出の「ライトノベル30年史」。 現在とは即ち、 「ライトノベルランキング」。 マリみてが1位という衝撃的な集計結果です。 そして未来とは即ち、 「冲方丁×古橋秀之対談」。 そして各レーベル編集者の熱い語り。 ほかにも富野監督、平井和正氏など、ライトノベルの源流をつくりだした先覚者たちが、「勝手に博物館送りにするな! 俺は現役だ!」とばかりに咆哮しています。 これは入門書ではありません。 「ライトノベルってなあに?」という人がこの本を読んでも、「??」で終わるでしょう。 しかしすでにライトノベル趣味をもっている人が読めば「こんなに奥深い世界だったのか! 未来だって無限だ!」と感動できるでしょう。 特定の作家や作品だけでなく、ライトノベルという娯楽そのものが好きだ、ひたりたい、という人に、力いっぱいおすすめします。 古橋ファンにはとくにお勧めです。「ソリッドファイター2」が読めるんですよ! るりあ046さんの漫画なんかも絶妙に毒が効いてて大変良いです。 「ライトノベルって何ですか?」「角川書店の商売のことだろ?」あわわ。 「おかゆまさきに書かせる『無敵鉄姫スピンちゃん』ノベライズってどうよ?」読みたいですー! 最後に。 この本で、もっとも心に残った言葉を引用しておきます。 「フルメタ」作者、賀東招二さんの言葉です。 「最近は洗練されたスタイルの作品も多くなり、批評のような動きも盛んになってきているようです。こういうコアな層の動きが活発になってくると、自分たちのかかわるジャンルが高尚なものだと勘違いする人が増えてきて、ジャンル全体の思考が硬直化して、あとは白色惑星のように燃えつきて……なんていうパターンがものすごく多かったりするので、最前線でドンパチやってる身としては、あまり手放しで喜べません」 冷水をぶっかけているようですが、誰かがいわねばならなかった言葉です。 |
7月21日 「暑い」でヤフー検索かけてうちに来た方、こんにちわ。 まさかそんな検索でうちが7番目にひっかかるとは思いもしませんでした。 さらに暑さはパワーアップ、日本史上の最高記録を塗り替えかねない勢いですね。 「これをポジティブに利用できないか……せめて利用でもしないとやってられん。そうだ、次の小説では主人公が灼熱地獄で死にそうになるのだ。小説に生かせば良いわけだ。……って納得できるか!」ってな感じですね。 「かってに改蔵」が終わるとはきいてましたが、「きっとそれ自体ネタだろう。終わったりしない」と楽観視してました。 どんな事件も人物もいじり回してきたあの漫画の絶対的なバイタリティを信じていた、といえます。 ところが本当におわりました。 ……な、なんですかこりゃー!? 反則すぎるー。うそー! としかいいようがないです。 いままでの内容とこの最終回を並べると、なんていうか、究極の悪趣味ともいえますが……なんとも恐ろしいことに、私は少しだけ感動しました。自分が信じられません。感動というには、喪失感が強すぎますが。 あまりのインパクトに、「美鳥の日々」最終回の印象がすっかり薄くなってしまいました。 美鳥も、基本に忠実な、すがすがしい終わり方だったんですが。 サンデーにまた一つ伝説が誕生したって感じです。 ギャグをこんな形で終わらせるなんて…… 今夜、夢に見ませんように。 |
7月19日 こないだ神田神保町で友人と飲みました。カレー食べてビール飲んで。 増田「営業努力って重要ですよね」 某「うん。小さなことからコツコツと」 増田「でも目標はでかくもちましょう!」 某「ライトノベルとSFの間にはグレーゾーンが生まれつつある。少なくとも年寄りのライトノベル読みはグレーゾーンを認識している」 増田「自分の得手不得手を認識することですね、今の課題は。いままでのぼくには欠けていた視点ですから。書きたいもの、読者が求めるものだけで、書けるものについて考えてなかった」 某「まあ、君の場合はルサンチマンをどうやってエンターテインメントさせるかだね」 増田「天才じゃないから、ぶちまけると娯楽にならんのですよね」 某「あとスピードも重要だよ」 増田「集中力ですよね。スピードって」 某「まあデビューしてすぐ消えちゃう人にならないために、モチベーションをどこに持つかってことだよ」 増田「私のイルジオンってアレに似てるんですよね」 某「まあテーマが同じなのはしょうがないよ。テーマなんて大したバリエーションない。その先だね」 増田「そういえば、トリニティ・ブラッドの作者が亡くなりましたね」 某「ライトベル作家では初めてじゃないかな?」 増田「好きな作品でした。とても残念です。私だって長生きできるとは限らない、もっとがんばらなきゃ」 とかそういう話をしていたのですが、最後はこうなりました。 某「ほんとうの眼鏡っ娘萌え作家ってどこにいるんだろう?」 増田「富永浩史さんは? 架空戦記まで眼鏡っ娘と軍人のラブですよ? あれは本物です」 某「どうかなあ? 俺の勘が違うと告げている」 増田「じゃあ、××××さんは? あの人はですね……」 某「む、それは素晴らしい!」 増田「ガウガウわー太の委員長って萌えますよねー」 某「あれは萌えますにゃー」 うーむ、おかしいなあ。 |
7月13日 ああもう、暑い暑い暑い暑い暑い暑いです。 東京、ところにより摂氏37度。 バイクで信号待ちしてる時の体感温度は40度。 こんな暑い中を、上下黒服で、黒いバイクで、とどめに黒い箱までつけて走り回るのは、ほとんど拷問です。しかしそれもまた私のお仕事。 なんか涼しいことでも考えて、せめて気持ちだけでも涼しくなりましょう。 北極→シロクマ→フカフカの毛皮→暑い 南極→氷が溶ける→地球温暖化→暑い 北海道→犬ぞり→犬→体温高い→暑い クーラー→石油消費→地球温暖化→暑い 冷麺→韓国→シルミド→焼け火ばし→熱い アイスクリーム→ブギーポップ→炎上→熱い ヒマラヤ→ネパール→冲方丁→熱い ヒイ。自分の連想能力が恨めしい限りです。まったく涼しくなりません。 ああ、どこか涼しいところに行く仕事はないでしょうか? そのとき同僚が「軽井沢行く仕事あるよ?」 それやる! やります! やらせてください! 「軽井沢の上の方だね」 上の方! 涼しそう!! 行ってきまーす! ……横浜市西区の北軽井沢でした。 ええ、確かに北軽井沢は坂の上です。 |
7月12日 七夕のネタをやろうやろうと思っていたのに、さすがにちょっと時間が経ちすぎですね。 しかし七夕というのは何に対して祈り願っているのでしょうか。 ヴェガとアルタイルを超光速で運動させる巨大なエネルギーに対して?(違う) いきつけのスーパー銭湯には笹が飾られ、お客さんが思い思いのことを書いて吊るしてました。 「金。とりあえず5万」 切羽詰まってますなあ。 「免停が無事おわりますように。でも雨の日にはこっそり乗ってます」 通報しますた。 「××といつまでも永遠にいられますように」 泣けます。 「妹にいじめられませんように」 またですか(去年の7月5日参照)。やっぱり好きなんですよ。 「時給アップ」 それって七夕の管轄なんでしょうか。 「牛丼復活」 だから、牛丼はなくなってなどおりません! 神戸らんぷ亭を知らんのですか。 「世界征服??」 疑問系で世界征服を企まないで下さい。 もちろん私は 「大作家」 と書いて吊るしました。 選挙について。 あれだけ自爆したはずの民主党が好調ですね。 もし自爆してなかったら歴史は大きく変わっていたかもしれないのに、もったいないですなあ。 又吉イエスはやっぱり最下位でした。しかし彼はまだあきらめないでしょう。 あの自信はカケラだけ欲しいです。全部もらったら大変なことになりますので。 |
7月6日 美少女ゲームメーカー「プリンセスソフト」でお仕事をしました。 「ショートストーリーの館」に置いてある「夏の終わりのイルジオン」という作品です。 小説家・増田淳の初仕事になります。 感想などいただけるとありがたいです。 さて追記。 これまで応援、叱咤、激励してくださったすべてのみなさんに感謝します。 ありがとうございました。 これからもいっそうがんばります。 早くも、 「なんだ、あのあとがきは! ヒロインに眼鏡かけさせるか悩んだが、結局かけさせなかったのか! この裏切り者め! この背教者め! あやまれ! 眼鏡にあやまれ!」 とかそういう応援メールがぞくぞくと……今のは応援じゃない気もしますが……。 |
7月3日 本の感想を。 坂本康宏 「シン・マシン」早川書房Jコレクション 知人の作家・坂本康宏さんが、ついに2冊目の本を出しました。 SFの牙城ハヤカワで。おめでとうございます。 帯にこう書いてあります。 「奇病のもたらしたグレートフルでデッドな世界を、戦いの嵐が駆け抜ける!」 グレートフルでデッド。 言葉の意味はわかりませんが、とにかくすごい気合いです。 読んでみると…… 人間たちの脳が機械化されてネットワークでつながるようになった時代。通信/娯楽/情報はみな、テレパシーじみたネットワークで伝えられる。そんな中、「ネットにつながることができない人間」である主人公は孤独と貧しさに苦しみながらも強く生きていた。 彼の武器は度胸と、バーベキューの鉄串だけ。 ある日、「超能力者」に襲われたことから彼の運命は動き出す。たった一人の肉親を守るために彼は決意する。次々に襲い来る超能力者たちとの、激しく熱いバトル。やがて世界の真相が明かされ…… とにかく勢いがあって、中盤まで一気に読ませます。 ネットにつなげない人間は差別されまともに電車にも乗れない、という暗い世界なのに、陰惨な残酷描写もあるのに、どこか登場人物たちが乾いたユーモアを帯びている、という点もよかったです。 問題は終盤。 なんだってー!! そんなの反則ー! と言いたくなる展開が待ち受けています。 賛否両論でしょうが、まあ、「こういう破壊の快感ってのも、あっていいかもしれない」と思いました。 SFならではの面白さ、なんでしょう。 ラストと、作品の主題を知った上でもう一度読み返すと、きっと新しい発見があるに違いありません。 登場人物の一人が眼鏡っ娘好きなのも高感度高し。(笑) |