Books Story
1悼む人(1) 2悼む人(2) 3輝く夜 4せんせい
5季節風 夏 6佐賀北の夏 7風の中のマリア 8季節風 秋
9鏡の法則 10シアター! 11シアター!2 12邂逅の森
13NASAより宇宙・・・ 14卒業ホームラン 15まゆみのマーチ 16夕映え天使
17探偵はバーにいる 18ちょいな人々 19がんばれば幸せになれるよ 20オリンピックの身代金(1)


Books Old Story


悼む人(1)('11.07.18)★★★☆☆
 タイトル:「悼む人(上)」
 サブタイトル:「第140回直木賞受賞作」
 著者:「天童 荒太」

 不慮の死を遂げた人々を“悼(いた)む”ため、全国を放浪する坂築静人。
 静人の行為に疑問を抱き、彼の身辺を調べ始める雑誌記者・蒔野。
 末期がんに冒された静人の母・巡子。
 そして、自らが手にかけた夫の亡霊に取りつかれた女・倖世。
 静人と彼を巡る人々が織りなす生と死、愛と僧しみ、罪と許しのドラマ。

 上巻は淡々と進んでいきます。
 「誰に愛され、誰を愛し、誰に感謝されたか」
 自分が死んだとき、自分が誰に愛され、誰を愛し、誰に感謝されたか?
 悼んでもらえるだろうか?

悼む人(2)('11.07.21)★★★★☆
 タイトル:「悼む人(下)」
 サブタイトル:「第140回直木賞受賞作」
 著者:「天童 荒太」

 「この方は生前、誰を愛し、誰に愛されたでしょうか?どんなことで感謝されたことがあったでしょうか?」。
 静人の問いかけは彼を巡る人々を変えていく。
 家族との確執、死別の葛藤、自らを縛りつける“亡霊”との対決、思いがけぬ愛。
 そして死の枕辺で、新たな命が…。
 静かな感動が心に満ちるラスト。

 後半からラストへ、どんどん気持ちが昂っていく。
 静人の母・巡子がガンと闘い、生きようとする姿勢に感銘する。
 「悼む」「拝む」「祈る」・・・宗教とは?
 死が身近になってきた中高年には、考えさせられる作品であった。

輝く夜('11.07.26)★★★☆☆
 タイトル:「輝く夜」
 サブタイトル:「5人に起こった5つの奇蹟」
 著者:「百田 尚樹」

 幸せな空気溢れるクリスマスイブ。
 恵子は、7年間働いた会社からリストラされた。
 さらに倒産の危機に瀕する弟になけなしの貯金まで渡してしまう。
 「高望みなんてしない。平凡な幸せが欲しいだけなのに」。
 それでも困っている人を放っておけない恵子は、一人の男性を助けようとするが―。
 5編の泣ける奇蹟。

 願いが叶うエンピツだったり、タクシーの運転手になり恋人を探し5年目で再会したり、ベタなファンタジーだったり、ベタな偶然だったり。
 それでも涙腺のゆるい人は壷に入るんじゃないだろうか。
 「永遠の0」のような感動はないが、読後さわやかな気持ちになれる本です。

せんせい('11.07.29)★★★★☆
 タイトル:「せんせい。」
 サブタイトル:「ほろ苦い六つの物語」
 著者:「重松 清」

 先生、あのときは、すみませんでした―。
 授業そっちのけで夢を追いかけた先生。
 一人の生徒を好きになれなかった先生。
 厳しくすることでしか教え子に向き合えなかった先生。
 そして、そんな彼らに反発した生徒たち。
 けれど、オトナになればきっとわかる、あのとき、先生が教えてくれたこと。
 ほろ苦さとともに深く胸に染みいる、教師と生徒をめぐる六つの物語。

 「白髪のニール」:生徒にギターを教わるロックな先生、ロールが大事なんじゃ。
 「ドロップスは神さまの涙」:保健室の先生、いじめから保健室に逃げ込んだ生徒にドロップを。
 「泣くな赤鬼」:野球部監督、元教え子がガンに。
 「にんじん」:一人の生徒を生贄にした先生。
 「気をつけ、礼」:借金から金を騙し取り逃げた先生。
 「マティスのビンタ」:私は画家だ。と言い切る美術教師。

季節風 夏('11.08.03)★★★☆☆
 タイトル:「季節風 夏」
 サブタイトル:「季節風シリーズ第3弾」
 著者:「重松 清」

 転校が決まった“相棒”と自転車で海へ向かう少年たちの冒険「僕たちのミシシッピ・リバー」、野球部最後の試合でラストバッターになった輝夫と、引退後も練習に出続ける控え選手だった渡瀬、二人の夏「終わりの後の始まりの前に」など一瞬の鼓動を感じさせる「季節風」シリーズの「夏」物語。
 まぶしい季節に人を想う12篇を収録。

 いいことはいい。
 けれど、「春」のほうがいいです。

佐賀北の夏('11.08.06)★★★☆☆
 タイトル:「佐賀北の夏」
 サブタイトル:「真夏の大逆転劇」
 著者:「中村 計」

 真夏の大逆転劇は、起こるべくして起こった!
 2007年、夏の甲子園、決勝戦。
 7回までわずか1安打に抑えられながら、8回、まさかの満塁本塁打でひっくり返し、全国優勝を果たした佐賀県立佐賀北高校。
 前年夏、県大会1勝もできなかった「無名の公立校」が、なぜ強豪私立に連続して勝利し、日本一になれたのか?
 巨大な象をも倒す「最強のアリ軍団」と化したチームの、知られざる秘密。

 リアルタイムでテレビで見てました。
 「そんな事のあるか?」と独り言を言っていたと思う。
 野球マンガでも、なかなかそこまで筋書き書けないよ。
 満塁HRの前に、「疑惑の判定」で押し出しがあり1−4、広陵高校の投手と佐賀北の選手が日米対抗野球で再会したとき、「あれはストライクだ」と投手は言っていたそうだ。
 本を読んでも「どうして優勝」できたのかはわからない。
 選手たちは「なんとなく負ける気がしなかった」と語っている。
 そんなもんなんだろうなぁ。

風の中のマリア('11.08.10)★★★☆☆
 タイトル:「風の中のマリア」
 サブタイトル:「オオスズメバチ」
 著者:「百田 尚樹」

 「女だけの帝国」が誇る最強のハンター。
 その名はマリア。
 彼女の身体はそのすべてが戦いのために作られた。
 堅固な鎧をまとい、疾風のように飛ぶ。
 無尽蔵のスタミナを誇り、鋭い牙であらゆる虫を噛み砕く。
 恋もせず、母となる喜びにも背を向け、妹たちのためにひたすら狩りを続ける自然界最強のハタラキバチ。
 切ないまでに短く激しい命が尽きるとき、マリアはなにを見るのか。

 オオスズメバチの話です。
 ストーリーはおいといて、オオスズメバチのことが良くわかり勉強になりました。
 ・巣にはメスしかいない。
 ・集団で狩をする。
  しかし、ニホンミツバチはもっと集団(蜂球)になり、オオスズメバチを退治する。
 ・秋の終わりに新たな女王バチを生む。
 ・生んだ後、元女王バチは仲間(娘)に殺される。
 ・ハタラキバチは1ヶ月の命。
 ・幼虫は肉食だが、成虫は樹液。
 あらゆる生物は自分の子孫を残すために行動しているのに、ハチは妹の世話を生涯の仕事とする。
 原因は、そのほうが自分と同じ遺伝子を残せるから。

季節風 秋('11.08.15)★★★☆☆
 タイトル:「季節風 秋」
 サブタイトル:「季節風シリーズ第4弾」
 著者:「重松 清」

 静かな、静かな、ひとりぼっちの月。
 ぼくたちは明日から、もう家族じゃない。
 澄んだ光に満ちた秋が、かけがえのない時間を連れてくるものがたりの歳時記―「秋」の巻、12編。

 秋だからか、少し感傷的な話が多かったかな。
 オニババと三人の盗賊:文房具店のオニババと花火を万引きしようとした小学生。
 サンマの煙:転校続きの少女が母になり、転校後の娘へ。
 風速四十米:台風が心配で田舎へ帰る息子。
 ヨコズナ大ちゃん:まわしが恥ずかしくなった、小学生相撲チャンピオン。
 キンモクセイ:住み慣れた家から引越しをする老夫婦。
 よーい。どん:
 秘密基地に午後七時:昔を懐かしみ40男が秘密基地を作る。
 ・・・

鏡の法則('11.08.17)★★★☆☆
 タイトル:「鏡の法則」
 サブタイトル:「人生のどんな問題も解決する魔法のルール」
 著者:「野口 嘉則」

 読んだ人の9割が涙した!
 インターネットで爆発的にひろがっている、愛と感動の真実のストーリー。
 この短い物語には、あなたの悩みを解消し、運を開くヒントがあります。

 いじめを受けている小学生のお母さんが、知り合いに相談をし、その相談者から助言を受けたことで、全てが良いほうに回転し始める。という話です。
 いじめの原因は、「お母さんにあるのではないですか?」
 「誰かを恨んだりしていませんか?」
 世の中で起きていることは、自分自身に問題があって起きていること。
 その問題は、そのことに気づかせてくれる鏡なんだよ。

 だから本の中では、今まで恨んでいた父親と和解することで、子供のイジメも解決してしまう。
 父は涙しませんでした。
 以前に読んだ喜多川 泰さんの「手紙屋」に似てますね。

シアター!('11.08.23)★★★★☆
 タイトル:「シアター!」
 サブタイトル:「小劇団「シアターフラッグ」」
 著者:「有川 浩」

 小劇団「シアターフラッグ」―ファンも多いが、解散の危機が迫っていた…
 そう、お金がないのだ!!
 その負債額なんと300万円!
 悩んだ主宰の春川巧は兄の司に泣きつく。
 司は巧にお金を貸す代わりに「2年間で劇団の収益からこの300万を返せ。
 できない場合は劇団を潰せ」と厳しい条件を出した。
 新星プロ声優・羽田千歳が加わり一癖も二癖もある劇団員は十名に。
 そして鉄血宰相・春川司も迎え入れ、新たな「シアターフラッグ」は旗揚げされるのだが…。

 劇団というと貧乏というイメージが定着している。
 だが、情熱は熱い。みたいな。
 演じることの魅力というのは、分からないが、舞台に立ち、万来の拍手とかされたら麻薬みたいに嵌っちゃうのかな?
 この本では、2年後どうなるのかまでは書かれていない、2巻目がすでにある。

シアター!2('11.08.28)★★★★☆
 タイトル:「シアター!2」
 サブタイトル:「小劇団「シアターフラッグ」」
 著者:「有川 浩」

 「2年間で、劇団の収益から300万を返せ。できない場合は劇団を潰せ」―
 鉄血宰相・春川司が出した厳しい条件に向け、新メンバーで走り出した『シアターフラッグ』。
 社会的には駄目な人間の集まりだが、協力することで辛うじて乗り切る日々が続いていた。
 しかし、借金返済のため団結しかけていたメンバーにまさかの亀裂が!
 それぞれの悩みを発端として数々の問題が勃発。
 旧メンバーとの確執も加わり、新たな危機に直面する。
 そんな中、主宰・春川巧にも問題が…。
 どうなる『シアターフラッグ』!?書き下ろし。

 結論から書くと、まだ完結しなかった、Part3があるようです。
 やっと借金が半分くらい目処が立った。
 今回はメンバ間での恋愛話が多かった。
 その分、間延びしてPart3突入してしまった。
 路線を戻して欲しいなぁ。

邂逅の森('11.09.05)★★★★☆
 タイトル:「邂逅の森」
 サブタイトル:「出あいの森」
 著者:「熊谷 達也」

 「家に帰って、妻の手を握りたい」熊に足を喰われ、朦朧とする意識の中で富治はそのことだけを考えた。
 奔放に生きてきた富治を巨大熊に向かわせたものは何か。
 俊英がおくる感動の物語。

 大正年間、身分違いの恋から故郷を追われたマタギの青年、松橋富治の波乱の人生を描く。
 マタギとは、東北地方・北海道で古い方法を用いて集団で狩猟を行う狩猟者集団。
 邂逅(かいこう)とは、思いがけなく出あうこと。偶然の出あい。めぐりあい。
 自然と共存していたころの人々の掟とかルールを再認識できる。
 いつから共存できなくなったのだろう、獣がいなくなり、森や林がなくなり、川は氾濫し、空気は悪くなり、気温は上昇している。
 少しの便利のため、大きな代償を払っていることに気がつかないのだろうか。

NASAより宇宙に近い町工場('11.09.05)★★★☆☆
 タイトル:「NASAより宇宙に近い町工場」
 サブタイトル:「ロケット開発」
 著者:「植松 努」

 「日本一感動する講演会」と呼ばれている講演が本になりました。
 北海道赤平市という小さな町で小さな工場を営みつつ、宇宙ロケット開発に情熱を注ぐ著者が、本業もロケット開発も成功させている自らの体験を通して「みんなが夢を持ち、工夫をして『よりよく』を求める社会をつくること」を提唱します。
 感動と勇気を与えてくれる一冊です。

 「夢を諦めるな」「どうせ無理は言わない」「成功するまで続ける」・・・
 ロケット開発を営利目的でなく、自費で何億も借金し行っているそうです。
 実際にロケットを打ち上げたり、世界に3つしかない無重力実験棟を作ったり。
 決して諦めることなく、すばらしい人間のようです。
 ただ、よこしまな父は無邪気に「すごいなぁ」「俺も頑張ろう」とはなりません。
 凄い方なのだろうが、どうも文章が幼稚だし、「どうだ凄いだろう僕って」「君達には無理だろうけど」みたいな上から目線の文章が鼻につく。
 素直な我が家の子供達が、どう評価するか聞いてみたい。

卒業ホームラン('11.09.08)★★★★☆
 タイトル:「卒業ホームラン」
 サブタイトル:「自選短編集・男子編」
 著者:「重松 清」

 少年野球チームに所属する智は、こつこつ努力しているのにいつも補欠の六年生。
 がんばれば必ず報われるそう教えてきた智の父親で、チームの監督でもある徹夫は、息子を卒業試合に使うべきかどうか悩むが―答えの出ない問いを投げかける表題作のほか、忘れられない転校生との友情を描く「エビスくん」などを含む、自身が選んだ重松清入門の一冊。
 新作「また次の春へ」を特別収録。

 最後の「また次の春へ」以外は、すでに「日曜日の夕刊」などに発表されている作品だった。
 知らないで買った。
 「あれ?この話、読んだことあるぞ」
 詐欺じゃないのか、こんなことしていいのか重松氏。と思い読むのをやめようかと思ったが・・・。
 「あれっ?この話、どうなるんだっけ」思い出せず、引き込まれて読んでしまった。
 怒っていいやら、情けないやら。
 最後に後書きに「震災で被害にあった方々に、元気が出るよう作品を選びました。印税は全てあしなが募金へ寄付します」。
 さすがじゃないですか、重松氏!
 女子編:まゆみのマーチもあります。

まゆみのマーチ('11.09.08)★★★★☆
 タイトル:「まゆみのマーチ」
 サブタイトル:「自選短編集・女子編」
 著者:「重松 清」

 まゆみは、歌が大好きな女の子だった。
 小学校の授業中も歌を口ずさむ娘を、母は決して叱らなかった。
 だが、担任教師の指導がきっかけで、まゆみは学校に通えなくなってしまう。
 そのとき母が伝えたことは―表題作のほか、いじめに巻き込まれた少女の孤独な闘いを描く「ワニとハブとひょうたん池で」などを含む著者自身が選んだ重松清入門の一冊。
 新作「また次の春へ」を特別収録。

 「セッちゃん」とか「ワニとハブとひょうたん池で」とか、女の子がイジメに合う話しが多く、元気がでるというか、落ち込む。
 自分がイジメに会うより、子供がイジメにあうことのほうが100倍苦しい。
 「セッちゃん」はビタミンFに収められていて、10年も昔に読んだのだが、衝撃が大きかったので10年たっても内容を全て覚えていた。
 運動会の場面では、読んでいて苦しくなった、自分がその立場になったら、自分の愚かさに発狂してしまうかもしれない。
 子供達をよく、見ていこうと思う。

夕映え天使('11.09.13)★★★☆☆
 タイトル:「夕映え天使」
 サブタイトル:「浅田文学・短編集」
 著者:「浅田 次郎」

 東京の片隅で、中年店主が老いた父親を抱えながらほそぼそとやっている中華料理屋「昭和軒」。
 そこへ、住み込みで働きたいと、わけありげな女性があらわれ…「夕映え天使」。
 定年を目前に控え、三陸へひとり旅に出た警官。
 漁師町で寒さしのぎと喫茶店へ入るが、目の前で珈琲を淹れている男は、交番の手配書で見慣れたあの…「琥珀」。
 人生の喜怒哀楽が、心に沁みいる六篇。

 お腹召しませ以来の浅田さんの作品でした。
 「特別な一日」は驚かせてくれた。
 それまでは、「昭和軒」「夕映え天使」など、昭和の時代のほのぼのとした、どこにでもあるような話だったのに・・・
 いきなり、そこから地球滅亡の落ちに持っていくとは、やっちゃいましたね。

探偵はバーにいる('11.09.15)★★☆☆☆
 タイトル:「探偵はバーにいる」
 サブタイトル:「新感覚ハードボイルド」
 著者:「東 直己」

 札幌の歓楽街ススキノで便利屋をなりわいにする「俺」は、いつものようにバーの扉をあけたが…今夜待っていたのは大学の後輩。
 同棲している彼女が戻ってこないという。
 どうせ大したことあるまいと思いながら引き受けた相談事は、いつのまにか怪しげな殺人事件に発展して…
 ヤクザに脅されても見栄をはり、女に騙されても愛想は忘れない。
 真相を求め「俺」は街を走り回る。
 面白さがクセになる新感覚ハードボイルド登場。

 作風としては、伊坂幸太郎氏の作品に似ています。
 ハードボイルド路線ではあるが、軽快な会話のやり取りの中に、笑いも散りばめてある。
 悪くは無いが、話が分かりずらい、特に会話の部分で、「誰の台詞?」と素直に理解できない場面が多く集中力が低下してしまう。
 残念である。

ちょいな人々('11.09.22)★★★★☆
 タイトル:「ちょいな人々」
 サブタイトル:「ユーモア短篇集」
 著者:「荻原 浩」

 「カジュアル・フライデー」に翻弄される課長の悲喜劇を描く表題作。
 奇矯な発明で世の中を混乱させるおもちゃ会社の顛末「犬猫語完全翻訳機」
 感情を読み取り本文を作成してくれる「正直メール」
 阪神ファンが結婚の挨拶に行くと、彼女の父は巨人ファンだった…「くたばれ、タイガース」
 ブームに翻弄される人々を描くユーモア短篇集。

 「犬猫語完全翻訳機」とか「正直メール」とか、シチュエーション小説っていうの?
 読み手としてもパターンを考え、落ちを考え楽しいものです。
 そのパターンを著者が超えているのか否か?
 「やられた、そうきたか」なのか「えぇ、俺なら・・」そういう楽しみもあります。
 また、最後の「くたばれ、タイガース」、楽しかった。父も相手がタイガースファンなら娘はやらねぇ。

がんばれば、幸せになれるよ('11.09.25)★★★★★
 タイトル:「がんばれば、幸せになれるよ」
 サブタイトル:「小児がんと闘った9歳の息子が遺した言葉」
 著者:「山崎 敏子」

 ユーイング肉腫という小児がんと闘って亡くなった愛息・直也くんが、病床で語り続けた言葉を中心に母・敏子さんが綴る壮絶闘病記。
 病魔と正面から向き合いながらも、家族への思いやりを忘れず、懸命に生き抜いた9年。
 小児がんの中で、10万人にひとりといわれるユーイング肉腫を5歳で発病、その後5度の再発、4度の手術を経て、9歳という短い生涯を閉じた山崎直也くん。
 つらい治療や苦痛に耐えながら、病床で母・敏子さんに様々な言葉を語り続けました。
 本書は、敏子さんが綴った、それらの言葉の数々を中心にした壮絶な闘病記です。
 亡くなる直前まで決して諦めなかった生への執念、最期まで忘れることのなかった両親や弟への思いやりに溢れています。おかあさんをして、「わが子に生きる勇気を教えられた」と言わしめた、それらの言葉の数々は感動を与えてくれます。
 直也くんのことを伝えた新聞でも話題を呼び、また月刊文藝春秋に寄せた著者の手記は、「第63回文藝春秋読者賞」を受賞しています。

 直也くんが残した、「身は滅びても魂は永遠だよ」なんて、9歳の男の子の言葉じゃないでしょう。
 もう、達観してる、俗事を超越し、さとりの境地だね、神様だよ。
 だらだら生きる47年よりも、凝縮した9年をこの世で壮絶な困難・絶望を何度も何度も経験することで、彼は生きた神になったんだろうね。
 自分の子供達が、成績が悪いとか、テニスで勝てないとか、バレーボールで選手になれないとか、髪の毛がクルクルとか、反抗期で生意気だとか・・・
 そんなこたぁ、どうでもいいことだ。
 家族4人が健康で生活できていることが奇跡なんだ。と感謝し、そのことを忘れないで生きていこう。

オリンピックの身代金(1)('11.09.29)★★★★☆
 タイトル:「オリンピックの身代金(上)」
 サブタイトル:「高度成長まっしぐら」
 著者:「奥田 英朗」

 昭和39年夏、東京はアジア初のオリンピック開催を目前に控えて熱狂に包まれていた。
 そんな中、警察幹部宅と警察学校を狙った連続爆破事件が発生。
 前後して、五輪開催を妨害するとの脅迫状が届く。
 敗戦国から一等国に駆け上がろうとする国家の名誉と警察の威信をかけた大捜査が極秘のうちに進められ、わずかな手掛かりから捜査線上に一人の容疑者が浮かぶ。
 圧倒的スケールと緻密なディテールで描く犯罪サスペンス大作。

 昭和39年、東京オリンピック・東海道新幹線・首都高速・羽田モノレール・・・凄い年だよね。
 今の中国みたいなもんだろう。
 あとひとつ、なんたって私とママが生まれたのもこの年です。
 ヤ○ザさんだって、この期間中は申し合わせて抗争は中止したり、全国民が東京オリンピックの成功を期待し、敗戦からここまで復興した日本を誇りに思っていたのだろう。
 そこに爆弾騒動。
 犯人の狙いは?
 上巻では、限りなく怪しい学生がいるが、まだどんでん返しがあるような気がする。