お茶の話
このページでは、オーナーが今までに読んだ本やお茶に関する記事、講演会などで聞いたお話を基にお茶についてご紹介しています。場合により間違いや正確性に欠けることもあると思いますので、お気付きの点がありましたらお問い合わせフォームよりお知らせください。
農家のお茶(荒茶)と小売されているお茶の違い
農家が業者に卸すお茶は荒茶(あらちゃ)と言います。 これは、お茶の葉っぱが煎茶と呼べる状態になった最初のお茶です。この中には粉茶や棒茶・芽茶などや、緑茶ティーバック、ほうじ茶、玄米茶などの原料となるものが全て含まれているお茶です。お茶メーカーはこのお茶を仕入れていろんな機械で選別して、それぞれの用途に合わせて火入れやブレンドなどして品質をコントロールしています。
これらを仕上げ又は再生と言っています。
中村製茶ではこった仕上げは出来ませんが粉や棒などをある程度選別して、火入れは最低限にしています。
荒茶が出来るまで
山の畑で元気にのびているお茶の芽が美味しいお茶になるまでに7つの工程があります。畑で刈り取った葉っぱを生葉(なまは)と言います。これをなるべく早く加工します。できれば1〜2時間以内。でも、なか々そうはいきませんが。
1:ふかし
生葉を蒸気で蒸します。最初の工程ですがここで50パーセントくらいが決まってしまいます。蒸し過ぎると葉が粉々になってしまい形状の無いお茶になってしまいます。蒸しが浅いと味や色、香気が悪くなります。したがって、ある程度深く蒸しても粉にならず、特に芽の先端の葉っぱ(しん)を切らない様に蒸すのが非常に難しく、ふかし工程のポイントの一つです。 (1.5〜2分くらい)
2:粗柔
最初の乾燥工程になります。100度くらいの熱風で乾燥しながら練り上げていきます。水っぽさが無くなるくらいまで乾燥しますが柔らかい葉と硬い葉で乾燥具合に差が出ます。
(95度〜100度で40〜60分)
3:柔ねん
乾燥具合を一定に戻すためと葉の繊維を更に柔らかくして揉みやすくするため粘土をこねる様に練ります。 この時は熱を加えずに常温で行います。(30〜50分)
4:中柔
次の精柔で揉み易い乾燥状態になる様に調整します。乾燥し過ぎると次で形状を作りにくくなります。乾燥不足だと次で時間がかかり色が悪くなります。形状を作れるぎりぎりの水分量に調整するのがポイントです。(35〜40度 30分くらい)
5:精柔
形状を作る最終工程です。葉を横に転がす様に揉みます。なるべく細く丸く針の様になる様に揉みます。ここで上手く揉めると色も味も香りも良くなる様に思います。あまり乾燥し過ぎると艶が悪くなります。 艶が落ちないうちに揉み切ってしまう事がポイントです。(40〜60分)
6:乾燥
完全に乾燥します。
しかし、温度を上げ過ぎたり、時間を掛け過ぎると焦げ臭くなったり、香気が出過ぎて仕上げ工程での調整が出来なくなったりします。(20〜30分)
7: 合
1日に何ロットも生産しますがロットごとに品質がばらついています。これを均一になる様に混ぜ合わせます。その後サンプル(みほん)を取り、残りをだいかいと言う袋に詰め米俵の様な形に梱包します。 (一袋 30Kg に梱包する。)
お茶の種類
お茶屋さんで販売しているお茶の種類はいろいろありますがどんなお茶なのかご存知でしょうか。
大まかに説明してみたいと思います。
玉露
これは、お茶の栽培方法の言葉です。刈り取りの少し前から畑全体に遮光ネットを掛けて栽培したもの。新芽は光を浴びると渋みや苦味が増していきます。玉露は、光を浴びていない分渋みと苦味が少なくなります。栽培には非常に手間が掛かりますので生産量が少なく価格も高くなります。静岡県内では岡部町が産地として有名です。
深蒸し
これは、お茶の製造方法の言葉です。製茶の最初の工程のふかし工程を比較的多くしたものです。味は比較的まろやかで、独特の香りがします。最近は静岡ではこの手のお茶が多いと思います。これに対して浅い蒸し加減のお茶を普通煎茶と言います。しかし、深蒸しと普通煎茶の境目がどこなのか私には解りません。ごめんなさい。でも、あまり気にする必要もないと思います。ハィ!
番茶
番茶 その1
これは、お茶を刈る時期による言葉です。
新茶を刈り取るとき古い葉っぱや枝(赤棒)が入らない様に浅めに刈ります。しかし、この後、遅れ芽が伸びてきてまた茂ってきます。 これを刈り取る事を「番刈り(ばんがり)」と言います。
これをお茶にしたものが『番茶』です。
番茶 その2
上記のお茶以後(要するに新茶以外)のものは全て番茶という説。
番茶 その3
お茶は普通、最大で年に4回取れますが3番茶以後のお茶(夏のお茶)を番茶という説。
番茶 その4
日本各地に昔からその土地に合ったお茶の製造法や使用法があり、各地の文化と密接な関係があります。 この様に日常的に使われてきたお茶(庶民のお茶)を番茶という説。
(参考書庫「番茶と日本人」中村洋一郎著)