(NIRA特定研究助成B類:「NIRA政策研究」(月刊)Vol.13 No. 8)
女性が起こす事業型市民活動の可能性 新たな価値創造へのステップ

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ケースにみる活動の特性

   今回、取り上げた2つのタイプの活動事例は、それぞれ異なる方向性を持っているように見える。農山村地域振興型は経済性をより指向し、生活相互扶助タイプは社会性をより指向するという点である。しかし、動機づけや活動のプロセスの中に以下に述べるような共通する特性がある。

   山村地域振興型の活動では、地域の基幹産業である農林業が衰退する中で、家庭に閉じ込められていた女性たちが自分たちの働く場をつりたいという動機があった。また、生活相互扶助型の活動では、自分自身が援助を必要とした経験がきっかけになっていた。

   それらの活動に用いられた資源は、毎日、1時間程度の掃除や料理ならできるといったものや、完全なビジネスとしてではなく、時間的にも、精神的にもゆとりのある介護、あるいは、市場に出せないような少量あるいは見た目の悪い農作物など、これまで市場経済社会では積極的に経済的価値が認められてこなかった、あるいは見逃されていたものだった。いわば地域に埋もれていた身近な資源が自ら光を発し価値を高めたのだといえる。

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