(課題テーマ:清水市における政策課題とその具体的解決方策)
「日本一のサッカーフレンドシティ」 をめざして

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第1章   サッカー振興に対する疑問

   第1節   エスパルス存続問題にみるサッカー振興に対する疑問

   昨年末、エスパルスの運営会社の経営危機が深刻化した。しかし、エスパルスの存続に向けて何とかしようという気運が清水市民の間に広まり、30万という署名が集められた。それに押されるように地元財界や行政が努力した結果、地元企業がエスパルスをバックアップすることとなった。

   署名が集まる一方で、スタジアムには空席が目立っていた。Jリーグバブルはとっくの昔に去っていた。当初の「エスパルスの試合なら何がなんでも観に行く」という状態は異常だったとしても、昨年の観客数は少なすぎた。

   今シーズンは、存続に対する危機感やフランスW杯開催などの追い風を受けて、観客数が若干上向きつつある(表1)。しかし、満席になった試合は、ジュビロ磐田との静岡ダービー1試合だけである。

   そのような状況下でのエスパルスに対する市の支援は、本当に市民の支持を受けているのだろうか。支持者が少なからずいることは確かだから、支援すること自体には疑うべき余地はないかもしれない。では、どの程度の支援が求められているのだろうか。

   行政が自信を持って支援策を選択するためには、現在持っているデータだけではあまりにも貧し過ぎる。存続にあたっての署名が約30万人、今年に入ってからの入場者数の平均が約1万2千人、サッカー協会への登録人数が約7千人(注1)、信頼できる数字はこの3つくらいしかない。この3つのデータから導き出される答えは、と尋ねられても、たいしたことは思いつかない。

   一方、サッカー振興に対する批判の声はさまざまだ。いくつか挙げてみると

他にもあるが、主なものはこの程度だと思われる。どれも一理ある批判だ。これらの声に対して明確に答えた例はないが、強いて考えるとすれば「地域のシンボルだから」「地域の活性化に役立つから」「経済波及効果があるから」というような説明が頭に浮かぶのではないだろうか。どの答えも間違いではないが説得力に欠けることは確かだ。

   シンボルだとか、活性化だとかいう表現は、抽象的すぎて具体的な説得力がない。まして経済波及効果にいたっては、Jリーグバブルが弾けた今、なんの意味もない。誰もが納得がいくほどの経済波及効果があるならば存続問題自体起こりようがない。

   このように考えると、なぜ支援しなければならないのか?と首を傾げたくなるのも無理はない。しかし、現に支援しているし、今回スポンサーになってくださった企業を含め、おおよその市民は一応支持していると考えていい。これは多くの人がエスパルスが持つ意味を直感的に理解しているからにほかならない。スポンサー企業のトップやサッカー関係者を含め、誰ひとりとして説明できないことをみんなで応援しているのだ。

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