(課題テーマ:清水市における政策課題とその具体的解決方策)
「日本一のサッカーフレンドシティ」 をめざして

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第2章   エスパルス存続問題

   第1節   エスパルスは営利団体か?

   エスパルスは選手に多額の報酬を支払い、試合を興行する。商社や建設会社などと同じ株式会社、つまり営利を目的とした一企業である。営利を目的とした特定の企業に、行政が援助することは、通常ならばあり得ない。

   しかし、何をもって営利団体とするのかが問題である。収益をあげる事業は公益団体も行っている。 公益団体と営利団体の違いは、運営する人間が報酬を受けるか否かで決まるわけではない。活動の結果として得た収益を利益として出資者(株主)に配当するのか、それとも設立の趣旨に沿って公共的目的に使うのかというところに違いがある(注2)

   今では紙屑になってしまった市民持株会の株は、配当を受け取る権利ではなく、エスパルスの運営に参加する権利だったはずである(注3)。その精神を忘れたがために、出資金を返す返さないという泥試合を行うはめになってしまった。

   エスパルスは、すでに公共的存在である。公費を投入することの是非より、むしろ、その活動を市民がどれだけチェックできるかということが重要である。


   第2節   エスパルス存続に係る署名活動への評価

   エスパルスの存続が危ぶまれたとき、清水市の財界やサッカー関係者、市民団体が中心となって存続のための署名活動を行い、約30万人分の署名が集まった。

   この数字については、「同じ人が何回も署名した」とか「清水市民の血税にも関わることなのに、他市他県の人の署名に意味があるのか」などの批判もあった。しかし、結果的に地元企業を動かしたという意味では評価できるものだと思われる。

   他市他県の人々の署名が多数あったという点は、重要なポイントとなるだろう。署名運動は、W杯アジア第3代表決定戦会場であるジョホールバルでも展開されたと聞く。もし「香港やカナダに住んでいる人の署名は、清水とは何ら関係のない人の署名だから価値がない。その人たちのために清水市の税金を使うなんて論外だ」という人がいたら、その人は他人から期待を受けたことのない孤独な人だろう。

   広く市外から寄せられた署名の多くは、エスパルスに対する同情であるとか、ミーハーな応援の結果としてされたものではない。エスパルスを核とした清水のサッカーが目指している"地域社会によるスポーツ文化の確立"(注4)という理念への支持の表れである。特定企業の持ち物ではない、地域住民のものであるチームを所有できるということ、それを実現できるだけの土壌が清水にはあるということに対する羨望の表われである。

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