らうんじ8写真
食用としてはおなじみの植物でも、その花はあまり知られていない-そこここで出会った、そんな花の写真をいくつかご紹介します
1.アーモンド(バラ科)
アーモンドはモモと近縁の植物で、日本や中国では「扁桃(へんとう)」とよばれます。下の写真は左から順に花、実、実の中の核で、いずれもモモのそれによく似ていますが、「扁桃」という名のとおり、果実も核もモモのものに比べて扁平です。核の中の「仁(じん)」とよばれる種子がナッツとして食用にされるものです。この写真のそれは実りが悪く、食べられそうもないものでしたが。
写真はいずれも浜松市フルーツパーク(静岡県浜松市都田町)で撮影しました。花は2001年4月8日、果実はその前年2000年7月17日の撮影です。核は地面に落ちていたのを割ってみました。
2.レタス(キク科)
下の左端の写真は、2001年5月28日、静岡市手越原で耕作を放棄されたような状態の畑で見つけたレタスです。レタスといえばふつう結球していますが、茎が伸びて花が咲くと、このような姿になります。タンポポに似た小さな黄色い花をいっぱいつけていました。レタスにごく近縁の野草がアキノノゲシで、花茎が上部で分枝する様子はそっくりです。
キク科のタンポポ、ニガナ、アキノノゲシなどは、葉や茎を切ると切り口から白い汁が出てきます。右端の写真はタンポポの茎を折ったところです。レタスにもこの現象が見られます。中央の写真は、レタスの茎を切りなおしたしたところです。このように白い汁が、切り口の周辺部から出てきます。試してみてください。
上の右の写真-タンポポの茎を折って、切り口から出たその白い汁を指に付けたところ。 上の左の写真-レタスの茎を切りなおし、新しい切り口にしたところ。白い汁が、出てくる。 |
3.ブルーベリー(ツツジ科)
ジャム、アイスクリーム、菓子などに利用されるブルーベリーは果樹として栽培されている数種の植物の総称でクランベリー、コケモモなどと近縁です。近年著しく発展した果樹で、花はこのように白いかわいらしい釣鐘型をしています。
この写真は浜松市フルーツパーク(静岡県浜松市都田町)で2001年4月8日に撮影しました。
広いブルーベリー畑一面に真っ白な花盛りでした。
実の生育は早く、7月には収穫体験ができるとのことでした。
4.ウンシュウミカン、レモン(ともにミカン科)
ウンシュウミカン-普通の、いわゆるミカンです。下の左の写真を撮影したのはもう花の時期の終わり近くでした。さかりのころなら、ひとつの枝に白い花がいっぱいついているのですが。花の右側に小さな果実がみえます。直径1cmくらいでした。
右の写真はレモンです。開いたふたつの花の向こう側に紫色のつぼみが見えます。開くと内側はこのように白いのです。花にも葉にも特有の香りがあります。
ウンシュウミカンの花-2001年5月21日静岡市向敷地で | レモンの花-2001年5月6日静岡県藤枝市平島で |
5.オクラ(アオイ科)
オクラと同じアオイ科の植物にはフヨウ、ムクゲ、ハイビスカス、タチアオイ、ゼニアオイなどがあります。
木綿の原料であるワタもアオイ科の植物です。ワタの花の写真←ここをクリックしてください。
この写真のワタの花は全体がクリーム色ですが、ある種類のワタはオクラの花によく似て奥が濃いえんじ色をしているのがあります。
最近、製紙原料として注目されているケナフもアオイ科で、その花はやはりオクラに似てクリーム色の花びら、奥が濃いえんじ色です。
左のオクラの写真は2000年10月15日静岡県藤枝市平島で撮影しました。
オクラとワタは花が似ているだけでなく、実の形も相似形です。長いオクラの実をそのまま短くずんぐり丸くしたのがワタの実(いわゆるコットンボール)の形です。
オクラは明治時代に西洋野菜として導入されましたが、あまり普及せずに忘れられたのが、1970年代から人気が出て食用にされるようになりました。
6.アスパラガス(ユリ科)
食用にするアスパラガスは芽生えてから20〜30日の若い多肉質の茎です。
それに土をかぶせて日にあたらないようにして育てたのが、缶詰用のホワイト・アスパラガスです。
若い茎はそのまま成長すると多数枝分かれして、このような乳白色の小さな花をいっぱいつけます。
ふつう花期は春の終わりから夏にかけてですが、この写真を撮影したのは少しおそく、2001年9月7日でした。場所は静岡市向敷地です。畑ではなく、田にそった道にひとところ野草といっしょに一面に茂っていました。
花は釣鐘形に咲いているのを見かけることが多いのですが、この写真のはそれより大きく開いているものもあります。
7.サツマイモ(ヒルガオ科)
サツマイモの花はめったに咲きません。
サツマイモの花はこのようにアサガオにそっくりです。どちらもヒルガオ科に属する、互いに近縁の植物です。
そして、サツマイモもアサガオも日が短くなると花芽をつける短日植物ですが、サツマイモは温帯では晩秋にまれにしか開花しません。しかし、亜熱帯や熱帯ではよく開花します。日本では南九州以南です。
この写真は2000年10月8日静岡県磐田市で撮影しました。ハイキングの途中、通った畑で偶然みつけたのです。ほんとうに稀有な出会いにうれしくなりました。
サツマイモの芽をアサガオに接木すると温帯でもサツマイモの花を咲かせることができるそうです。花芽ができるのは、植物が自分でつくる花成ホルモンによります。サツマイモの芽をアサガオに接木すると、アサガオがつくった花成ホルモンがジャガイモに移るからだと考えられています。
【参考文献】
アーモンド
・週刊朝日百科植物の世界51 モモ、アーモンド、ウメ(朝日新聞社)
レタス
・週刊朝日百科植物の世界7 ガーベラ、タンポポ、チコリ(朝日新聞社) ・週刊花百科Fleurじゃがいもの花と野菜の花(講談社)
ブルーベリー
・週刊朝日百科植物の世界63 エリカ、アセビ、ホツツジ(朝日新聞社) ・「浜松市フルーツパーク」のパンフレット
ウンシュウミカン、レモン
・週刊朝日百科植物の世界31 ライム、レモン、オレンジ(朝日新聞社)
オクラ
・週刊朝日百科植物の世界75 フヨウ、ワタ、タチアオイ(朝日新聞社) ・はじめての綿づくり(大野泰雄・広田益久-編)木魂社
アスパラガス
・週刊朝日百科植物の世界112 エンレイソウ、オモト(朝日新聞社) ・週刊花百科Fleurじゃがいもの花と野菜の花(講談社)
サツマイモ
・週刊朝日百科植物の世界22 アサガオ、ヒルガオ、ミツガシワ(朝日新聞社) ・週刊花百科Fleurじゃがいもの花と野菜の花(講談社)
・アサガオのつぼみはどうしてできる(滝本敦)さ・え・ら書房
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