生物実験室1.
普通、緑色植物は光合成の材料としてCO2を、昼間に葉の表皮の気孔を開いて取り込む。その際気孔から水が蒸散して出てゆくのでその分、水が失われる。 CAM植物は気温の低い夜間に気孔を開いてCO2を取り込み、これをリンゴ酸に化学変化させて貯えておく。昼間は気孔を閉じ(これにより蒸散による水の損失を防ぐ)貯えたリンゴ酸を順次もとのCO2にもどし、これを使って光合成を行う。 乾燥地には、茎や葉などに多量の水を貯えて肥厚している多肉植物がよく見られるが、この多肉植物にはCAM植物が多い。 |
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CAM植物の葉の組織内では、朝はリンゴ酸の存在によりpHの値は低く、リンゴ酸がCO2に変わるにつれてpHの値は高くなるはずである。そこで、CAM植物と思われる多肉植物3種類と、多肉植物ではない3種類の植物の葉について1日の各時間の葉の組織内のpHを調べた。
<材料>
・多肉植物………オボロヅキ、セイロンベンケイソウ、キダチロカイ(通称アロエ)
・その他の植物…ツユクサ、オシロイバナ、アサガオ
<方法>
点滴板上で、葉の組織をガラス棒でつぶし、出てきた液を万能pH試験紙(東洋ろ紙)にしみこませて比色により、
pHを測る。
<結果>(1993年8月31日 各時刻のpH)
時刻 | オボロヅキ | セイロンベンケイソウ | キダチロカイ | ツ ユ ク サ | オシロイバナ | ア サ ガ オ |
9:30
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12:30 |
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15:30 |
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<考察>
多肉植物3種のうちセイロンベンケイソウとキダチロカイは、下記の文献1)にCAM植物として記されていた。これらは、やはり時間の経過とともにpHの値が上昇した。また、オボロヅキも同じ結果になったことからこれもCAM植物と思われる。
このサイト内の、セイロンベンケイソウ関係のページ
生物実験室3(セイロンベンケイソウの不定芽形成に対する諸条件の影響) 生物実験室15(セイロンベンケイソウの不定芽形成とその後の生育)
<参考文献>
1)CAM植物の光合成(大日本図書 )−高校理科研究 1993年 6月号−岡崎恵視
2)魅惑の花サボテン(朝日新聞社)
3)サボテン&多肉植物(日本放送出版協会) 小島生安・小林浩
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