| 11月議会の一般質問の報告です |
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小池市長の答弁 国勢調査の問題である。 今回の国勢調査は調査拒否世帯の増加とか、ニセ調査員による調査票の搾取あや調査員81人がいっせいに辞退するなどさまざまな事件がテレビや新聞で報道された。このようななか国勢調査見直し論や国勢調査不要論等が新聞の社説やコラムを賑わせている。政府も次回の国勢調査の見直しのための検討を開始したと報じられている。 国勢調査員がたいへん苦労して調査したデータは国民生活を豊かにするための貴重な基礎資料となり、今後の日本のさまざまな計画や施策に反映されていくわけであるので可能な限り正確なデータを把握する必要性があると私は考える。 今回の調査で明確となった問題点。かなりの調査分析が必要。先ほど、栗原議員は「抜本的に変えるよう」という話があったが、そのためにもやはり問題点を洗いざらし、調査分析が完了したあと、県で開催される担当者会議でそのことを申し上げていきたい。また、私としては県の市長会を通じてその問題点や課題等を国・県に問題提起するなどしていきたいと考えている。 今後実施される国勢調査がすべての国民に理解され、より協力を得られやすい形で実施されるものとなるよう働きかけていきたいと考えている。 |
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大石参事の答弁 国勢調査の困難性と課題、封入提出・聞き取り調査の状況についてお答えします。 今回の国勢調査では全国各地でさまざまなトラブルが発生した。調査期間中、テレビや新聞でほとんど毎日といってよいほど、報道がなされ当市での発生しないか心配した。国勢調査はすべての世帯を訪問し調査する「対面方式」。今回の調査は現在の世相を反映し、個人情報保護意識の高まりのなかで実施された。今回の調査で気のついた点を列記するならば@プライバシーの保護や詐欺行為を警戒した調査拒否世帯や、部屋に居るにもかかわらず出て来ない居留守世帯などの増加。A封入世帯に伴う調査票未記入世帯の発生。Bマンションセキュリティーが強化されオートロックマンションの増加による調査煩雑世帯の増加。 マンスリーマンション、ウィークリーマンション等居住確認が困難な世帯の増加。C24時間営業をはじめとする長時間営業の店舗や深夜稼動の事業所への勤務者の増加による調査員が訪問しても逢えない不在世帯の増加。D調査員が世帯の人と遭えてもささいな感情の行き違いでトラブルとなってしまったり双方いやな思いをするケース。 このように調査員をとりまく調査環境は厳しさを増している。 次に、調査に関してマスコミ関係で報道されたものを拾ってみると仙台市では国勢調査員1800人のうち主に高齢の81名の方が体調不良やケガを理由に次々と辞退し国勢調査の現場が混乱したと報じられている。また、茨城県では回収済みの調査票をノイローゼぎみになった国勢調査員が自ら火をつけて燃やすという事件。ニセ国勢調査員が調査票をだましとった記事やニセ国勢調査員に現金を奪い取られた事件。一方、国勢調査員自身が被害を受けたものとして長崎県で26歳のトラック運転手に体を触られ運転手が逮捕されるという事件もあった。今回の国勢調査ではこのような事件が数多く発生し対面式調査方法の多くの課題が浮き彫りになっている。今後、国勢調査を実施するうえで実働部隊となる調査員を確保することも大きな課題となることと思われる。今回の国勢調査で必要とされた調査員は759人。調査は基本的には民間の方にお願いするため広報みしまやケーブルテレビ、三島駅前のアストロビジョン等を活用して調査員募集の広報活動を行なった。しかし、前回の平成12年国勢調査では350人集まった民間の調査員も、前回協力いただいたみなさまにお願いしたのですが、今回は252人しか集まらなかった。断られた理由としては、調査拒否世帯や不在世帯の対応、実働日数にあわない報酬の額、また、前回のたいへんさやいやな経験等をあげている。このようなことから、今回不足する調査員507人については、保育園、幼稚園、小学校・中学校に勤務する職員や消防職員等も含めて正規、嘱託、臨時職員の協力を得て実施することができた。 また、調査員の調査活動をフォローし指導するための指導員が82名。必要に応じて調査員との同行調査や調査員から提出された調査票の点検、封入調査票は調査員が開封できないので指導員が開封し調査票の未記入箇所を照会したりと、指導員はひとりで11人の調査員を指導することとなるので指導員の負担も確実に増えている。なお、今回の国勢調査では個人情報保護の観点から封入提出の封筒が本格的に導入されたが、この封筒を利用しての封入提出は市内全世帯43,000世帯中、8,101世帯であった。調査票を市の実施本部に直接郵送された方が110世帯。持参が30世帯であった。なお、いま報告したそれぞれの世帯数は確定数値ではない。今後数値が変わる場合もあることを承知してほしい。 世相を反映して調査方法も煩雑になっており、次回以降調査方法、調査項目等の見直しを国が実施しないかぎり調査員や指導員の確保、統計調査の結果が正確な実態把握から乖離するのではないかと懸念している。 次に、「2010年、次回の国勢調査は対面式で従来通り実施できるか」についてであるが、従来からも「対面式調査の困難性」については指摘されたとおりである。今後、個人情報保護の意識はさらに高まってくると予測されるので、次回平成22年の国勢調査はさらにたいへんになるものと思われる。特に、次回の国勢調査は10年に一度の大規模調査の年であり、所得や学歴等、今回よりも多くのプライバシー性の高い情報が調査項目に含まれてくる。政府では記入方法を簡便にするなどの検討を開始したようであるが調査方法、調査項目等の抜本的な見直しが必要であると思われる。調査現場に目を転じると、先ほど報告したがアパート、マンションでの世帯の把握はますます困難になるし、管理人や事業所も個人情報の提供に関してはさらに敏感になってくるものと思われる。また、単身世帯、女性や独居高齢者の増加は、見知らぬ者が呼鈴を押しても返事をしない、国政調査員であることを信用しない、居留守を使う等の状況が増えるものと思われる。24時間営業の事業所をはじめ長時間稼動の事業所の増加、遠隔地通勤の増加は従来の常識的な時間帯に世帯を訪問しても面接できない世帯を増加させるものと思われる。今回、国勢調査に関するさまざまな事件が連日報道された。調査内容含め、国民の意識は変化しておりその変化は調査対象世帯だけではなく、調査員にも及ぶものと思われる。次回の国勢調査では調査員の確保も大きな課題になる。また民間調査員のなり手はさらに減るでしょうし、市職員においても協力者を確保することは難しくなってくる。議員の指摘のとおり、「対面式」の調査方法は転換期にきていると思われる。国勢調査は地方自治法第2条第9項第1号の法定受諾事務にあたる。人口センサスの統計調査は各種計画の基本となる重要な調査なので国の見直し動向も踏まえ、国民の理解と協力が得られる方向に改善されるよう、市長の答弁のように問題提起するため国勢調査実施報告書や県内担当者会議の席上でも発言をしてきたいと考えている。 |
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栗原の質問 今回の調査の報告をいただいた。 今後については、「調査内容や方法、抜本的見直しが必要」という認識が示された。 さきほど封入された調査票の状況などについての報告があった。封入は、言うならば「苦肉の策」というか、出すほうも出しやすいという配慮から本格導入された経緯もある。同時に心配されていたのが、封入調査票は未記入の覧が多いのではないかということ。すでに前回調査からこの傾向があったので、今回についても懸念があった。このことを含め、調査票が未完成のまま県に提出される。この数はおおよそどれくらいあるか。この点、加えて報告願いたい。 |
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大石参事の答弁 封入された調査票の未記入、未完成であるが、前回国勢調査では世帯が希望すれば封入提出も可であった。今回の国勢調査では個人情報保護に配慮し封入提出が本格的に導入された。 未記入の項目についてはプライバシー性の高い項目が多い。前回調査でも同様であったが、前回は大規模調査にあたり、学歴や職業、収入など未記入が多かった。今回は簡易調査で、収入や学歴は調査内容には無かったが、職業や勤め先名については未記入が多かったように見受けられる。多様な生活形態があるが、一人暮らし世帯の増加、特に女性の一人住まいの場合には知られたくないとか、氏名や性別を書くことも躊躇したり場合によっては調査を拒否したり、その旨を調査員に伝えたり、「書きたくない」とはっきりおっしゃられた場合もあった。 未記入項目の分析ついては市が勝手に記載されたデータを利用・分析することはできないので国の分析結果や報告書の発行を待ってほしい。 今後、調査拒否者や未記入者は増加するものと思われる。現在、調査票は点検作業を行なっているが、その現場や指導員からの報告書等を勘案すると、封入された調査票8101世帯のうち約4割程度が未記入や記入漏れがあったのではないかと考える。 |
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栗原の質問 これから、抜本的に内容を変えていくべきであるということのなかで、私は特に2つの問題について考えねばならないと思う。そのことを問題提起したい。 ひとつは調査結果の精度への評価という問題。この点、私の見解を先に述べる。 この精度の問題は非常に重要である。いま、報告いただいたように「封入8100のうちの4割が何等か未記入」。3200世帯くらいが未完成の状況。それでおさまればよいが。全数調査でありながら、把握できない数が100や200ではない。3000、4000、あるいは5000かもしれない。これで、全数調査をすることの意義をなしているだろうか。全数調査は全数を把握できる、あるいはそれに近い、ということをもって全数調査としての意義が発揮できる。現状は、全数調査であることの根底が大きく崩れてはいまいか。 もうひとつ。いろんな困難が言われている。その困難の根本にあるものは一体何か。先ほど答弁にもあったが、たとえば女性の一人暮らしの方が、そのことを自分以外の誰かに知られたくない。個人の立ち入ったことについて他人に知られるのがいやだ。こういうことを始めとして、答えない側にも一定の理由があって、言うならば道理がある。この道理というものと、調査員や指導員が面と向き合わなければならない。ここに、困難の根本があるだろうと考える。これは、今の方法を続けている限り解決されることは無い。 オートロックマンションの問題は物理的な問題でもあるので、ある意味では方法を考えることによって対応ができるかもしれないが、この問題は解決できない問題であり、続けていくに従がってどんどん拡大していくだろう。 個人の自由や道理というものと向き合わねばならないという形。ここに根本的な問題がある。大石参事の見解を求む。 |
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大石参事の答弁 国勢調査は精度管理が重要と認識している。封入の状況については県内状況や全国の結果を踏まえ検討すべき内容と思う。人口センサス部分と学歴や収入などの社会調査部分の内容含めて検討が必要と考える。 困難性の根本にあるものということだが現段階では一人世帯が増えているという状況のなかで明らかにプライバシーの問題を含めて価値観が多様化しているということが言える。この価値観の多様化にあわせた調査内容に切り替えていくことも含め検討が必要と考える。 |
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栗原の質問
調査票は国の考え方を受けてできているのであるが、プライバシー性の高い部分と、そうでもないという語弊があるが、これらが一体となって調査が行なわれている。ぜひ検討してほしいのが、これから三島市は県・国に意見を示していくことになるが、人口センサスの部分と社会調査の部分にきちんと分けるべきではないかと。社会調査という部分については既に多くの分野で行なわれている。これで足りる場合もあるだろうし、手法としてはサンプル調査で行なうとか、任意調査として行なうとか、人口調査という部分と社会調査という部分に分けて行なうということについて、国に意見を示してもらえないか。小池市長のいまのところの認識としていかがか。 |
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小池市長の答弁 この国勢調査については栗原議員の指摘もいただき大石参事からも答弁をしたが、今回明らかになったいろんな問題点がある。これがはたして5年後に続けることができるだろうかという危惧を私はもっている。 そういうことの中で問題点を洗いざらいして課題も整理し、県の市長会にも申し上げて国にもっていきたい。 いま指摘があったように、「人口調査と社会調査に分けるべきではないか」というご意見。私も実は今後の方向としてはそういう方向にいくべきではなかろうかと。人口調査ならば、国民も啓発活動を行なう上のなかで賛同し協力してくれるのではないか。社会調査となると個人的要素が入ってくるので外に出したくないプライバシーの問題もある。これは確かに、ご指摘のように人口調査と社会調査を分ける方向も大きな検討課題のひとつと考える。 |
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栗原のまとめ これについては自治体の動きが国に対し影響力がもてると考える。そういう方向でぜひ進めていってほしい。 |
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三輪経済部長の答弁 間伐等、モデル的な形態での整備、施行の全体計画についての質問であるが、三島市における間伐などの管理作業が必要な森林面積、「人工林」の面積になるが、これは1651ヘクタール。このなかで、県が管理すべき県営林182ヘクタールを除くと1469ヘクタールが三島市で管理すべき森林面積ということになる。現状における間伐の実施済みの面積が912ヘクタール。今後、実施しなければならない森林面積が557ヘクタールとなる。現在、年間の間伐実施面積が42ヘクタール(平成17年度計画)なので未実施の森林整備に今後13年間を要することになる。実施済みの森林についても継続的に整備を実施しなければならない状況が続くことになる。 地球温暖化を抑止するために決議された京都議定書により、日本が削減する二酸化炭素の削減目標は6%ということになっている。森林が担う二酸化炭素の吸収量の目標は3.9%にのぼる。三島市における森林整備については環境への配慮はもちろんであるが、将来に向かっては経済林としても三島市に経済効果をもたらす森林として整備を推進していく必要があると考えている。このために森林の循環サイクルの長期化によって災害に強く、二酸化炭素吸収量が望め、水源涵養機能が発揮できる森林づくりなど本来あるべき森林の循環サイクルを取り戻すことが可能な施行方法の確立が重要と考えている。 具体的な取り組みとしては、林業の専門家に意見を求めるなか、林地に合った施行方法を模索する必要があるが、主伐の林齢を通常の伐期齢のおおむね2倍以上とする森林施業、長伐期施行や復相状態、循環状態の森林に誘導する長期育成循環施行など、モデル林づくりにむけ、森林所有者等との合意形成に取り組む必要があると考えている。施行の全体計画の樹立についてはモデル林づくりを通じて森林所有者等関係者との合意形成を図っていくことが必要であると考えている。 |
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栗原の質問 箱根の森を育てていくことについて、公益的な評価の問題、モデル林の必要性、将来は経済林としてもと部長から答弁があった。 考え方は示されるが、端的に伺うのであれば、それをどう進めるのか。それを進めるための組織、財源の確保、これらをどうするのか。 |
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三輪部長の答弁 森林整備を進めるにあたっての組織、財源については、指摘のとおりそれを担う組織づくりが欠かすことのできない要件と考える。現状、森林整備の担い手は皆無と言っても過言ではない状況である。モデル林の整備についても現在では森林ボランティアのみなさんの協力が不可欠である。しかしながらすべての施行をボランティアのみなさんに担っていただくこともまた不可能である。森林所有者が主体的にかかわる森林整備を進めるために施行の共同化、協業化を推進し、森林所有者とボランティアによる協業体の育成などの組織づくりが重要と考えている。 また、財源の確保については現在非常に厳しい財政状況であるが森林が環境に貢献する評価が高いことなど、市民にもたらす恩恵を考慮して現在の年間40ヘクタールの規模の事業費についてはぜひ確保していきたいと考えている。県が新たに導入することになっている森林税を財源とする森林整備の事業にも期待していきたいと考えている。 |
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栗原の質問 全国的に森林ボランティアの活躍はめざましいものがある。三島市においても同様であろう。行政、箱根山組合、森林ボランティアのみなさん、森林所有者など関係者がひとつのテーブルを囲むと言うか、そうしたことをここで考えていけないかと。その中で、モデル林づくりの施行の共同化や、もっと言うなら箱根の森林政策について広く議論をしていく、そういう場としてたとえば「森づくり委員会」のような名称はいずれにしても、場をつくっていく必要性があるのではないか。いかがお考えか。 |
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三輪部長の答弁 森林整備計画は従来からの林業という世界をベースとして考えられてきた経緯がある。現状のなかで森林管理を森林所有者の責務としているだけでは森林の荒廃は防げないと考える。森林のもつ多面的機能ということからすれば行政が参画することは当然であるし、県の森林税もそういう発想から生まれている。三島市としてもできるだけの対策は講じていきたい。その際、市としての財政的負担を伴うもになるので、そのことが三島市民にとってどのような利益として還元されるのか、そういう観点が重要であると考えるし、森林整備についてのボランティアや意欲のある市民がそういう議論に参画できるような会議の場を検討していきたいと考える。 |
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栗原の質問 ぜひ、早い段階で場の設定を実現してほしい。 私の質問は森林整備計画をいかに血の通ったものにしていくかというところから来ているのであるが、森林整備計画は言うまでもなく「5年ごとの10年を一期」としたスパンである。その延長線上に、どのような箱根の森をイメージするのか。このことについて、現段階で「こうだ」というまとまったものは無いと思う。10年毎の計画はある。しかし将来を考えたときにどうなのか、このことの議論がされる必要性がある。 先ほどの「森づくり委員会」にも期待をするが、小池市長は、箱根の将来についてはどのように考えるか。財源について、一般財源の確保は最終的には市長の判断となるが、どう考えるか。 |
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小池市長の答弁 箱根山のもつ多面的な機能は言うまでもない。荒廃する森林を蘇らせ、経済的にも、公的にも価値あるものにしていきたい。そのためには伐期を迎えている森林ももう少し延ばして100年生、200年生、300年生と。できることなら300年の森という長期循環型の施行が箱根には向いている。混交林化も必要と考える。 |