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末摘花初編(2)



   
蚊帳一重  でも夜ばいには  きつい邪魔

二人とも  帯をしやれと  大家いひ

誰が広く  したと女房  言ひ込める

眠い下女  されたのも夢中  作左衛門

お妾は  くわえて引くが  かくし芸

間男と  てい主抜き身と  抜き身なり

股倉を  すぼめて扶持を  ねだるなり

死にますの  声に末期の  水をのみ

木のように  させて女房は  ふてるなり

誰が来る  ものかと下女は  口説かれる

いもほりと  いったといろは  大口説

抜くときに  舌打ちをする  大年増

うしろから  しなとは余程  月っ迫し

里開き  までも済んでの  茶うすなり

宮まいり  時分願って  しかられる

出合茶屋  惚れた方から  払いする

猿ぐつわ  はめてと子守  泣いている

愛想に  するとはにくい  よがり泣き

   
女房の  すねたは足で  なはをなひ

きんたまの  用心をする  あさがえり

   
理不尽に  げいこのまたへ  手をいれる

   
ふんどしを  はずす処へ  てい主くる

   
はないきの  出るとき抜いて  喰つかれ

 
この頃は  途方もないと  たたくしり

夜そば売り  いつの間にやら  子をでかし

   
おめかけの  乙な病ひは  寝小便

   
茶うすとは  美食のうえの  道具なり

   
麦畑  ざわざわざわと  ふたり逃げ

入りむこの  かなしさ嫌な  晩もする

病み上がり  女房にまたを  引っかかれ

   
いろおとこ  何処でしょつたか  飛び虱

   
乳母ここは  何だと足で  毛をなでる

   
よしと云う  迄来まいぞと  乳母はさせ

恋のやみ  とは火を消して  するのなり

旅もどり  思いなしかは  ひろくなり

   
はりがたで  在すが如く  後家よがり

   
ねむかろう  寝なよと女房  させぬ也

   
欲得じゃ  ござりやませんと  下女させず

   
生かしておく  やつではないと  五両とり

間おとこを  切れろと亭主  惚れている

不承知な  下女沢庵で  くらはせる

   
後家の世話  しすぎて大家  うたがわれ

   
していたと  見たあさ姑  大怒り

またぐらへ  首ごとはひる  女医者