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末摘花初編(3)



義経は  母をされたで  むすめをし

しりからは  いやと持参を  鼻にかけ

かたい下女  むしってやれと  男ども

浮気なら  いやさと下女は  ぬかしたり

小むすめを  頭ばかりと  口説くなり

ひきつけた  様な目付きで  下女よがり
でけいこから  嫌だと麦を  ふみちらし

これからは  何処ですべいと  麦をかり

不承知な  下女十本で  おっぷさぎ

けしからぬ  よがり隣で  いきどおり

足音の  たんびにこしを  つかい止め

婚礼は  おやもむすめも  痛いこと

はらんだで  下女は死物  狂いなり

鼻声で  仕逃げ仕逃げと  追いかける

小間物屋  すぽすぽさせて  一本売り

かたい奥  さてはりかたは  よく売れる

水牛で  したのは疵に  ならぬなり

させた乳母  互へ互へと  乳をのませ

わたくしは  子早い方と  下女おどし

百くれた  きりでのぞかぬ  下女の色

   
入婿は  聞かずにぬいて  しかられる

   
もうええに  しなは夜鷹  むごい奴

   
嫁入りの  一の道具を  手代わり

 
若後家を  すすめて和尚  法に入れ

玉だれの  内やをかしき  いろは茶屋

   
あら世帯  夜することを  昼間する

   
道鏡が  出るまで牛蒡  洗うよう

   
あくる晩  女房をしかる  旅づかれ

田舎医者  蛇を出したで  名が高し

くどい奴  辺り見い見い  そばに寄り

   
屁をひって  嫁は雪隠  出にくがり

   
為になる  間男だから  したといふ

   
七草を  たたいてしなと  女房いひ

見つかって  椎の実程に  して逃げる

悪知恵を  かひに妾の  母は来る

   
むらさきは  へのこにしても  至極也

   
小間物屋  よっきよっきと  出して見せ

   
声色で  されたをごぜは  無念がり

   
うら寝入り    していて母は  はじめさせ

女房の  またまで明ける  さるぐつわ

ふとどきな  女房へのこを  二本もち

   
よがり泣き  甚だしきは  はらんなり

   
早くして  仕舞いなと  下女ひんまくり

また倉を  四たびまくって  百になり

  
かかりける  所へてい主  もどりけり

そこをかいて  とはいやらしい  夫婦仲

   
花嫁は  ひだるい腹へ  乗せるなり

   
初々しく  またぐら  おっぱたげ

   
女房に  ちっとぬきゃれと  弐へんなで

   
てんば下女  寝床へまきを  一本もち