はじめまして。月子です。このページを開いてくださってありがとうございます。
ここでは小さな頃から好きだった童話や図らずもクリスマスに因んだ物語を徒然なるままに書き連ねています。
覚え書きのつもりなので粗筋がほとんどですが皆さまの読書のご参考になれば幸いです。
作 品 イ ン デ ッ ク ス
ほんとうの空色
太陽の東・月の西
オーラのたび
ペールギュントのぼうけん
クリスマスものがたり
クリスマス・トムテン
賢者の贈り物 クラバート
講談社こどもの世界文学25 
「ほんとうの空色」より
バラージュ・ベラ 作
鈴木博 絵
ほんとうの空色
「ほんとうの空色」ってご存じですか?
ハンガリーの作家でもあり映画監督でもあるバラージュ・ベラ(姓・名)氏による子供向けの物語です。


絵を描くのが上手な貧しい少年フランツルは、ある日友達から借りた素敵な藍色絵の具を無くしてしまいました。
空の描けない絵はいつまでたっても仕上がりません。
困ったフランツルに学校の小使いのおじさんは、そっと教えてくれます。
辺り一面に咲く矢車草の花を指して、
「この花を摘んで、花びらを絞って出来た汁で描いてごらん。ほんとうの空色が描けるよ」と。

喜び勇んでフランツルは描きます。
画用紙の空が本物の空になります。太陽が昇って沈むと月が現れます。雨も降ります。雷もなります。
今度は屋根裏部屋で見つけた大きな箱の蓋の裏一面に空色を塗ってみました。
するとどうでしょう、箱を開けた瞬間に自分だけの空が広がったのです。
それからこの大きな箱の中はフランツルの幸せなもう一つの世界になりました。
 

私は、この箱のイメージが大好きなのです。
蓋を開けるとそこはもう別世界で静かな無限の空間が広がっている。
なんと胸ときめく瞬間ではないでしょうか。
夢も広がってゆきました。かつての小さな私に、なんとなくこの空色絵の具が自分にも見つかるのではない
かという淡い期待を抱かせたのです。
そしていつか見つけたら自分も部屋の扉に塗って自分だけの世界への入り口を作りたいと思いました。
そんな思いが長い間、胸の中にひっそり住み続けていたことが懐かしく想い出されます。
 

さて、フランツルは、その後大事な絵も箱も失ってしまいますが、
ズボンについた空色のかけらの青空から、ささやかな喜びを感じて大きくなってゆきます。
そしてある時好きな女の子の瞳の色にほんとうの空色を感じたとき彼は
ズボンの空色に頼らなくても生きて行ける大人になった自分を感じるのです。



作者バラージュ氏は、1884年ハンガリーのセゲドで生まれブダペストの大学で学び、その後パリとベルリンに留学しました。
第一次大戦後、亡命生活を送り第二次大戦終了後、戦災孤児達の映画「ヨーロッパのどこかで」を制作しました。
暖かい気持ちにさせてくれた珠玉の作品を書かれたバラージュ氏に心から感謝したいです。
この本は私の知る限りでは講談社子供の世界文学の25巻、同じく講談社青い鳥文庫に入っていました。
今、近くの書店を覗いても見あたらないのですが、どこかで手に入れたらお勧めです。読んでみませんか。


絶版になってましたが復刊コムで署名が集まりめでたく復刊することが出来ました。 
2001年


  北欧伝説
  カイ・ニールセン 絵
  新書館より


女性は月というものに多分何か神秘的な物を感じて好きですよね。
私のハンドルも単に好きで月子と名付けました。
このお話は北欧版美女と野獣のような物語です。
 

北の国に子沢山の貧しい農夫がいました。農夫の末娘はたいそう美しい娘でした。
あるときシロクマがたずねてきて、大金持ちにしてあげるから、末の娘さんを下さいというのです。
娘は、泣く泣くクマの嫁になりましたが、この生活が奇妙なものでした。
昼間はクマと暮らすのですが夜になるとどうやら人間がやってくるのです。
灯りを付けることを禁じられているので、娘はその人の姿を見ることができません。

ある日、里帰りをした娘はこのことを母親に言ってしまいます。
母親は知恵をつけます。「こっそりと一本だけロウソクを照らしてその人の顔を見るのだよ。」と。
母親に言われた通りそっとロウソクをともして見ると、このロウが寝ている男の胸に落ちてしまいました。
目を覚ました美しい男は、
「自分はトロルに魔法をかけられた王子、一年このまま待ってもらえば魔法が解けたものを。」と嘆きます。
そして、太陽の東・月の西にあるお城でトロルの醜い姫をめとらねばならないと、消えてゆきました。


手がかりはただ一つ「太陽の東・月の西」この言葉だけ。
そこから娘の王子探しの旅が始まります。
 

なんとなくロマンチックな響きでしょう?何度も何度も出てくるんですこの言葉。
地の果てよりもっと遠くオーロラのかなたをあの頃の私に想像させました。
雪の女王でなければ運べないところみたいな。
オーロラのカーテンを開けるとそこにはお城がそびえている・・そんなイメージでした。
もちろん最後は、ハッピーエンドで終わります。

そして、この本,岸田理生さんの訳ではこう締めくくられてます。

    
    『遠く彼の地は北の果て 太陽の東・月の西
      その城がどうなったかそれはだれも知らぬこと 
      これは古い物語
      語り継がれた王子と娘の一つの恋の物語 
      北風が語ってくれた 不思議な話
      さあさあ窓をしめますよ 風に乗ってはいけません 
      太陽の東・月の西 そこは寒い国 魔族の国
      坊ちゃま方 嬢さま方 トロルにみつからぬよう ご用心 ご用心
      トロルは子さらい 人さらい言うこと聞いてはいけませぬ
      連れ去られてはいけませぬ』


トロルといい、シロクマといいいかにも北欧らしいと思いませんか?


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