伊豆箱根鉄道沿線ぶらり歴史の旅
三島から韮山、修善寺にかけての土地は、頼朝による源氏の再興
と滅亡の史跡でいっぱいです。頼朝を助けて日本最初の武家政権
を成立させたのち、鎌倉幕府の実権を簒奪し、質実剛健の武士道
文化を確立した北條一族の史跡の宝庫でもあります。いたるところ
から望見できる秀麗の富士山と湧水、豊富な温泉。それが中伊豆
です。
富士山の恵み・千数百年前から栄えた三島市
源氏再興・北条一族の遺跡の宝庫−韮山から長岡まで
弘法大師が発見した温泉郷・源氏の悲劇を残す修善寺
ほのぼのとした小粋さが漂う小江戸「川越
川越は古くから開けた土地。「江戸の母」と言われるほどです。室町
時代末期に大田道真・道灌父子が川越城を築きました。そして文武
両道に通じた道灌は、その後川越より未開の地江戸に江戸城を築
き、頻繁に歌会を開くなど、川越の文化を移しました。豊臣秀吉の命
で国替えになった徳川家康が江戸に移り、やがて天下人となってか
らは、江戸が幕府の都となり、世界最大の中世都市に発展しました。
こうして川越は江戸の台所となり、農産物を供給し、代々の将軍は
川越藩主に幕府の重臣を封じました。そこで川越には江戸文化が直
接流入する小江戸として小粋な都市になり、いまもその伝統を色濃く
残しています。
日本を変えた明治維新の原点「萩」をゆく
日本を近代国家に生まれ変わらせた明治維新ののろしをあげた萩藩
の城下町をそのまま残す「萩市」は、日本海に注ぐ阿武川のデルタ地
帯に毛利元就の孫輝元が4年間の歳月をかけてゼロから築いた町で
す。それから250年後の幕末は、衰退した江戸幕府の開国、虎視眈々
と日本の動静をうかがう列強諸国の通商要求に、日本中が勤皇攘夷
派、開国派、公武合体派に分かれて血みどろの睨み合いをし、騒然
としていました。その中で35万石の長州藩(萩藩)は、約800万石の将
軍家を向こうにまわし、遂に明治維新を成功させる糸口をつくったので
す。吉田松陰、木戸孝允、高杉晋作、久坂玄瑞、伊藤博文、山縣有朋
大村益次郎、その他傑出した若い藩士が雲のように輩出しました。彼
らがそこここの路地からひょいと出てきそうな気がするのが萩市です。
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