総統暦111年 紹介

 時に1943年。ドイツ第三帝国……ナチス・ドイツは戦争に勝ち、世界の覇者となった。
 ドイツはキリスト紀元を廃し、「総統暦」なる暦を使うようになる。
 それは初代総統アドルフ・ヒトラーの生まれた年を元年とする新暦であった。
 いまや総統の威光はキリストを凌ぐほどである、帝国は世界に向けてそう叫んだのだ。
 逆らえるものはいなかった。世界はナチスの論理、弱肉強食によって染め上げられていった。
 
 そして数十年の時が過ぎ、総統暦111年(西暦1999年)。
 ついに反逆の狼煙があがった。
 アルプス山中にある謎の館、ランツェスガーテンを訪れる総統。そこを襲撃するレジスタンス部隊。十五年の時を経て、敵味方として対面する二人の兄弟。
 すべては、絶対の闇に包まれて死んでいった一人の少女のために。
 
「あいつを必ず殺してやる。そのためなら、俺はなんだって」
「ドイツはより清潔な国に生まれ変わるでしょう」
「どれほどの罪を重ねても、俺にはやらなければいけないことがある」
「だとしたら、私にとって世界はないのね。だって私、なにも見えないし」
「ぼくはそばにいて、手をつないでるよ。それで一生が終わっても、ぼくはそれでいいから」
「妹をアインザッツし、忠誠の証とします。拳銃を貸してください」
「復讐してやる。そうさ復讐してやる。アルベルト・アズマ!」
「でも、でも、こんなに柔らかいじゃないか!」
「見たまえ、アズマ長官。これが第三帝国に勝利をもたらしたもの、『聖槍』だ」
「剣より金星。剣より金星。蛇により楽園は荒らされた。人形達が踊るうちに、我らは宴を済ませよう」
「エルンスト……きっと」
「行け。私は務めを果たす。君たちも」
「聖槍計画。人類に残された最後の希望」
「鏡の中の自分と出会った気分はいかがですか?」
「なぜ、お前は立ち上がれる?」
「さあ、撃て」

 衝撃のクライマックスが君を待ち受ける。
 構想3年執筆1年。ペンネームCが放つSFアクション長編。
 「総統暦111年」一挙掲載!!

 この作品は、日本SF新人賞に応募し、落選したものです。
 改良を加え、いずれは本に出来る作品に仕上げたいと思い、あえて再発表しました。
 厳しい批評・感想待ってます。

 序章
 第一章
 第二章
 第三章
 第四章
 第五章
 第六章
 第七章
 終章


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