SHUFFLE! SS
ミスバーベナ学園コンテストの巻
震天 さん
「と、言うわけで、ミスバーベナ学園を決めようと思うのだが」
バーベナ学園にある教室の一室で、全世界の女性の敵、もとい、世界最強の色魔、
でもなく、歩くわいせつ物、いやいや、自称・バーベナ学園一の色男、緑葉樹と他数
人が机を合わせてなにやら話し合っている。
……紹介するのが非情に不愉快、なんだが、特別に紹介してやろう。
一人は神界の王女、シアちゃん突撃親衛隊「好き好きシアチャン(SSS)」の隊長。
一人は魔界の王女、リンちゃん親衛騎士団「ランランリンちゃん(RRR)」の団長。
一人はバーベナ学園初代プリンセス、楓ちゃん親衛隊「きっときっと楓ちゃん(KKK)」
の隊長。
一人は花の四姉妹の末っ子、プリムラ親衛浪士隊「プリムラぷりぷりちー(PPP)」の
隊長。
端から見ればただの怪しい集団の集まりだ。
「異議のある親衛隊はあるかな?」
「「「「異議なし!」」」」
「ではこれにて、第一回秘密会議を閉会する。各自、麻弓には十分警戒を」
1、2、3の掛け声と共にその場にいた全員が消えた。
……忍者?
ま、それはどうでもいいか。
(フッフッフッフッフ……)
……どっかで聞いた声がするけど、深くは考えまい。
で、数日後。
バーベナ学園体育館は異様な熱気に包まれていた。
「レディースアンドジェントルメーン! これより、皆が待ちに待ったミスバー
ベナ学園コンテストを行いまーす!」
「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」」」」
「なお、司会進行はこの私、麻弓=タイムでお送りしまーす!」
会場が一気にヒートアップする。
……ほんの極一部を除いて。
「何でこんな事になってるんだ?」
周りの状況に流されるまま来てしまい、この異様な状況に唖然としていた。
この一人だけ周りとまったく違う空気を持っているのが今回の犠牲……げふっ、げふっ、
失礼、バーベナ学園一不幸な幸せ者、土見稟なのです。
こんな事になった原因はほんの数時間前。
教室にいつも通り入って来た土見稟と土見ラバーズ。
今日も今日とていつも通りの一日が始まる、はずだった。
それをぶち壊したのが、麻弓の放送アナウンスだった。
『これより、体育館にてミスバーベナ学園コンテストを行いたいと思います』
「麻弓?」
「麻弓ちゃんの声ですよね?」
「なに? ミスバーベナ学園コンテストって?」
「よくはわからないけど、ミスコンだろ?」
土見稟と土見ラバーズは自分達には関係ないという感じで聞き流そうとしていた、
が。
『なお、ミスコンの出場者は自己申請ですが、土見ラバーズの皆さんには有無を
言わさず参加してもらいます♪』
「「「え、えぇぇぇぇぇっ!?」」」
「何であいつにそんな事決める権利があるんだ?」
そう聞くと、必ずこう返ってくるだろう。
「おもしろいから♪」
たったこれだけの理由でイベントを突発的に起こすとは、恐るべし、バーベナ学園
の生徒。
「麻弓の言う事なんか聞く必要ないさ。自己申請なんだし」
「で、でも……」
『あ、大事なこと言い忘れてた。優勝者には漏れなく、バーベナ学園生徒一人に
対する絶対命令権を進呈します!』
「絶対……?」
「命令権……?」
絶対命令権、要は、相手に何でも言う事を聞かせるものです。
デートをするもよし、キスをするもよし、ラブラブなムードを作るもよし、恋人同士
になるもよし、奴隷にするもよし、●●●をするもよし、なんでもございの便利なも
のです。
「デート……」
「キス……」
「恋人……」
「……あの、もしも〜し……みなさ〜ん?」
どうやら、なにやら魅力的な誘惑に引っ掛かったようです。
そして、そのまま物凄い勢いで教室から飛び出していった。
稟は唖然とするしかなかった。
一抹の不安を抱えて。
で、その不安の結果がこれというわけです。
「いやぁ、そうそうたるメンバーが出場してくれました。まず、神界のプリンセ
ス、シアちゃ〜ん!」
麻弓の紹介と共に舞台袖がスモークで覆われる。
その中から、ドレスに身を包んだシアが現れる。
「みんな〜! 応援、よろしくお願いするっす!」
「「「「うおぉぉぉぉっ!!」」」」
「続いて、魔界のプリンセス、ネリネちゃ〜ん!」
シアと反対の舞台袖から同じくドレス姿のネリネが現れる。
「皆さん、今日は、よろしくお願いします!」
礼儀正しくするネリネを見て、会場から感嘆の息が漏れる。
「さらに! 人間界を代表するプリンセス、芙蓉楓〜!」
登場方法は同じなのでここから省略。
「あの、ゆ、優勝目指して、頑張ります!」
「「「「頑張って〜、楓ちゃ〜ん!」」」」
「その料理の腕はプリンセス達の追随を許さない! 料理部のダブルエースの一
人、『驚愕の時雨』こと時雨亜沙さん!」
「おもしろそうだから参加しちゃった、えへ♪」
あ、ちなみに、亜沙のドレスはドレスでもチャイナドレスです。
しかも、スリットはかなり深く入っている。
「麻弓ちゃん、ちょっと良い?」
「え、あ、はい。どうぞ」
麻弓が亜沙にマイクを渡す。
「さて、ここで皆に問題です! ボクの下着のラインが見えないのは、なぜでし
ょう?」
小さな音も一斉にたてばうるさいもの。
男性陣が全員、生唾を飲んだのだ。
「A、紐パン B、前張り C、履いてない 答えは……ボクが優勝したあとに
ね♪」
「「「「うぉぉぉぉぉぉっ!?」」」」
男共の叫びは少しがっかりしたような、それでも楽しみなようなそんな叫びだった。
亜沙からマイクを取り戻すと、再び出場者の紹介に戻った。
「幼さ、それは最早究極の武器なのか!? 全世界の妹属性代表、リムちゃ〜ん!」
「私に一票いれてね、お兄ちゃん♪」
「ぬぅぅぅおぉぉぉぉっ!!」
……ま、この間違った集団の事は放って置こう。
「あれ? まだ出場者がいるの? なになに、神界最強の戦神ユーストマ、戦慄
の魔王フォーベシィ……」
会場には声が漏れないように小言で確認したが、最近の集音器はすごい。
ちゃんと拾ってしまうのだから。
それが会場の士気を一気に削ることだから始末に終えない。
「うぉっほん! これで出場者が出揃いました」
舞台裏でなにやらすすり泣く声が聞こえるが、とにかく、この場は無視しよう。
「それでは、ミスコンと言えば外せないのがこれ! 水着審査だー!」
「「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」」」」
会場のボルテージが一気に盛り上がる。
って言うか、単純すぎ。
「現金な奴らだな」
と呟いた稟をすぐさまその周辺に男連中が睨んだ。
しばらくは黙って静観するのが賢いと判断した稟は、終わるまで一切喋らないよう
にする。
そんな稟を尻目に、舞台の上の出場者達は水着に着替え終わっていた。
稟の両隣の家主が魔法でしてくれた事だ。
ただ、プリムラだけスクール水着と言うのはお約束。
「さて、どんどん行きますよー!」
……間は色々すっ飛ばして、投票の結果。
1、プリムラ 305票
2、楓 300票
3、シア 287票
4、ネリネ 279票
5、亜沙 226票
「あ〜あ、やっぱり花の四姉妹には敵わないわね」
「うぅ〜、リムちゃんの優勝っすね……」
「残念です……」
「フッフッフ、そこで終わったと諦めているあなた! ここでスペシャルボーナ
ス! 土見票!」
「俺!?」
こんなところで自分が関わると思っていなかった稟は誰かの魔法で舞台上までワ
ープさせられた。
「これから土見君がこの5人の中から誰かに投票します。見事、土見君から票を
もらえた方には、ボーナスとして1000票を進呈します!」
「って、それじゃあ今までの投票の全てが無駄じゃないか!」
「土見ラバーズの皆さんからすれば、土見君の票を貰えずに優勝することの方が
無駄なのですよ」
その言葉に頷く土見ラバーズの皆さん。
「では、土見君。誰に票を入れますか?」
「うっ……俺は……」
1、シアに入れる。
2、ネリネに入れる。
3、楓に入れる。
4、亜沙に入れる。
5、プリムラに入れる。
6、キキョウに入れる。
7、カレハに入れる。
8、麻弓に入れる。
9、誰か一人を決める事は出来ない。
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