「おおっりゃゃあああ〜〜〜〜」
変な掛け声とともにラルドが強盗団のしたっぱ
を蹴飛ばし、本人だけはカッコよく思って登場した。
「おんどれらっ!!ケティアを…」
「はっ、あの女は、リリア・シュラーじゃないか?
ノコノコと来てくれるとは、手間が省けたじゃねーの。」
「シカトすんなや〜〜お前らケティアをどうした〜〜!
わいのツレ(関西弁で親友ってコレで良いんですか?)をぉ!」
ドゴーン!!
洞窟の奥から爆発がおきた。
「僕がどうしたって、ラルドっ。」
煙の中から、ケティアが登場。
浮巾で寝そべって飛ぶ、いつものケティアだ。分身ではなさそうだ。
「あらっ、みんなきちゃったの。」
ラルド達を見回す。
「こっちの方の悪人みんな伸びちゃったから、もう来ても出番ないよぉ〜〜。」
笑って、ケティア。
「…ぉお前、分身パシッておいて人呼んどいたくせに〜。」
「ありゃ、ひょっとして、怒っている?」ケティア。
「も〜〜。二人とも、仲が良いのはわかったから、漫才はやめてよ。
どうやら、ボスのお出ましのようよ。」リリア。
二人が漫才をして、リリアがまとめる、これって、パターン??
「ふっっ」
洞窟の奥より、低い声でつぶやいて登場したのは紫色の眼をした長髪の男だ。(なかなかの美形。)
(はっ、長髪、美形のキャラだ。)セイ。
(と思ったら、15cmはあるシークレットブーツはいてるじゃない。)リリア。
(それはえ〜けんど、何であないなアホなチョーカーつけているんや。)ラルド。
(ハートのチョーカーって、ださ〜〜、)リア。
(って、誰がそれをつっこむの!!。)ケティア。
………一同沈黙………
「ふっっ、貴様ら…そっちの女を渡せば、お前らは逃がしてやるぞ。どうだ!」
低い声で話す。
「えっ、私っっ、!!」リア。
「駄目だね。渡せと言われて、渡す馬鹿いると思うの。」
一歩踏み込んでウェル。
「一つ聞きたいけど、お前、レイオウって、知ってる?」
「ふっっ 知らんな。」
「それなら、雑魚っっぽく
名前も言えなくて死んじゃえっ!」
ウェルは飛び掛かった。
「甘い!!」
ガキィ―――ン…
ウェルの振りかざした2本の小剣は、相手にはじかれる。
「げ!?意外に強い…!?」
ウェルは素早く体勢を立て直して、その男を睨み付ける。
「当たり前だ!雑魚っぽく死ねだぁ〜?ふざけんなっ!俺様の名前はディネ!
どうだ、名乗ってやったぞ、ディネ様だ、覚えとけ!!」
ディネと名乗ったその男は、得意げにはっはっはと笑う。
「……」
再び一同沈黙。
「何こいつ、確かに強いらしいけど…」
「頭は弱いな」
リリアの呟きにカーレテシーが即答する。
「バカみたいな格好しとるもんな〜」
「な…!?何だ、お前等!このチョーカーはなぁ、先祖代々…」
「僕はバカは大っ嫌いなんだよ!!」
ドゴォォォォォォォン!!
ディネの言葉をさえぎった叫びと共に、ケティアが爆発系呪文を飛ばす。
どうやら先程からずっと詠唱していたらしく、かなり大きな威力だった。
「バカは嫌いだってさ」
「な!?何でわいの方見るんや、ちょお、ウェル!!」ラルドとウェルのやりとりを無視し、カーレテシーは煙の中を凝視する。
「綺麗に決まったなー、名乗ったはいいが結局雑魚っぽく死んだか?」
カーレテシーの言葉をじっと聞いていたセイが呟く。
「……いえ、生きています」
「はーっはっはっはっは!!」
煙幕の中から大笑いが響き、煙の晴れたその場所には、服が多少焦げただけのディネの姿が現れる。
「ばけもの…ι」
リリアは呆然と言う。
「俺様の打たれ強さは並じゃないぜ!?お前等全員覚悟しやがれ!!」
「くっ…!こういう雑魚ばっかの集団ならボスも雑魚と相場が決まっているのに…!」
ウェルが半歩ほどたじろぐ。と、同時にリリアが1歩足を踏み出した。
「おい、リリア何する気だよ」
「あたし、あんなふざけた奴に倒されるなんで死んでもいや。だから…」
リリアはすぅっ…っと気を落ちつけて長刀をかまえると…
「やられる前にやってやるわ!」
ディネに向かって走り出した!
「おいウェルっ!お前の幼なじみ
ちょぉ無茶しすぎやでっ!」
「リリアは、ウルトラ負けず嫌いだからなぁ……」
「覚悟ぉっ!」
ギィィィィンッ……!
リリアの長刀とディネの曲刀の刃がこすりあって嫌な金属音が響く
「そっちから来るとは好都合だな。これで賞金はいただきだ!」
ディネが腕の力を弱めると、リリアは力の行き先を失い、床に倒れこんだ
「リリアッ!」
「きゃぁぁぁぁっ!」
ウェルの声にリアの叫び声が上がる。
ディネの手がリリアの首にかかろうとしたその時!
「ぐっ……っ!」
ディネの手がすれすれのところで止まり、そのまま横に倒れこんだ。
「…?…!!!」
リリアが体を起こし、ディネを見ると、ディネの背中部分に深々と弓矢が刺さっていた。
「間一髪だな……」
ウェル達の後ろから声がした。
全員が一斉に声のほうに視線を向ける…そこにはリリアと全くの同じ顔…そう。
あの手配書の張本人”弓使いのレイオウ”がそこに立っていた…
「ぐぬぅぅぅっ、まだまだぁ!」
うめきながらも起きあがるディネ。
本当に素晴らしい打たれ強さである。
「五月蝿いですよ」
しかしセイの放った無詠唱呪文で吹っ飛び、壁にぶつかって…
壁が崩れ、瓦礫の下敷きになる。
何か…蛙が潰れた時のような声が聞こえたが……不運だな、ディネ。
セイは何事も無かったように微笑みながら、レイオウに向き直る。
「さて…それでは、ゆっくりとお話を聞きましょうか」
にっこりと笑顔で、セイが言う。
「あ…ああ」
少々引きつった顔でレイオウが頷き、言葉を発する。
……ん?
「あ…あら?」
「もしかして…」
「お前…」
「男ー!?」
リア、ケティア、ウェル、そしてリリアが言葉を繋げる。
「ああ、オレは男だよ、だからなんだよ…って…」
そこで、レイオウは初めてリリアの姿を目に止めた。
「……」
二人はしばらくお互いをも呆然と見つめている。
先に口を開いたのはレイオウだった。
「げーっ!?何だお前、気持ち悪ぃーっっ!!」
「それはこっちの台詞よぉー!!あんたのおかげでこっちは大迷惑だったんだからね!」
他のメンバーはただ事の成り行きを見守るしか出来ず、
…二人の言い争いは長引きそうだった…。
「んっっと、とにかく、お馬鹿な話なんかしている暇ないよな。」
言い争いの後、レイオウが、ゆっくりと話す。
「別に、自分そっくりな女の子がいても良いしな、でも、
できれば、胸があったほうが…オレとしては…」
ヒュン、 ヒョイ
リリアの長刀の突っ込みを、簡単にかわすレイオウ。
「なにそれ、自分のタッパよりも長い長刀なんてっ、
あっ、あんたっ、それっっ、ドリムテルゥーじゃないか?」
レイオウは、
ドリィをみて、びっくりして叫ぶ。
「えっ、知ってるの。ドリィって言うのよ。可愛いでしょ。」リリア。
「知ってるも、何も。ほれっ これっ」
と言って、レイオウの背中の
マントから、またもや、ドリムテルゥーが出てくる。
「プル…プル…」恥ずかしそうに?顔をマントから少し出す。
「あらっ、貴方も、ドリムテルゥー繁殖ボランティアの人なの?」
チョットだけびっくりして、慌ててニコニコするリリア。
「なっ、あんた、知らないのか?
今、世界中で、ドリムテルゥーと
その飼育者が誘拐されていること。」レイオウ。
「フッフッフッそういう事か。」
なんと、がれきから、たんこぶを作って
ディネが復活してきた。
「つまり、こっちのペタンコ胸の女は、手配書のではないが、こっちの
同じ顔のが本物か。
だが、どうでも良い。お前を捕まえ、そして、もう一匹
鳥と、飼育者を連れて行けば、
俺は、間違いなく、幹部になれるぜ!!」
復活してくるディネ。
だが、シークレットブーツがとれたため、リリアを
見上げるようになる。
それを、炎のオーラをまとって、にらみあげるリリア。
リリアの逆鱗に触れたディネの未来はあるのか?
「五月蝿いです」
リリアが攻撃する間もなく、またセイによって吹っ飛ばされるディネ。
そして瓦礫の山につっこんで…
瓦礫の山から出ている足がしばらくピクピクと動いて…止まった。
「…」
一同(セイ除く)沈黙。
リリアの怒りは何処へゆく?
「まったく…これだからアタマの悪い奴ってキライなのよネ。」
「そう言う言い方はよくありませんわよ。あれでも精一杯なんですもの。」
突然、背後から声がした。
と、思うまもなく、何か――鎖のような物――が近くを凄まじいスピードで通り過ぎる。
「!!誰だ!!」
叫ぶウェルの視界に2つの人影。
「アタシ?アタシはヒカゲ。」
そのうちの1人、金髪碧眼の女が言う。
「私はミカゲと申します。」
もう一方の黒髪紅眼の女も言う。
「もう分っていらっしゃると思いますが…」
「その鳥…ドリムテルゥーを渡してもらうわ、嫌でもね。」
そう言うヒカゲの手にはチェーンウィップ(鎖鞭)が握られていた。
「それは力ずくってことかしら。」
リリアが言う。
この際、八つ当たりができれば何でも良いらしい。
その台詞にミカゲが笑った。
「まさか。そんな野蛮な事など致しませんわ。もっと良く御覧になったらいかが?」
「なんやてぇ!」
ミカゲの慇懃無礼な物言いに神経を逆なでされたらしく、ラルドが叫ぶ。
今にも飛びかからん勢いだ。
…しかし…
「!!待てっ!!」
不意にカーレテシーが叫んだ。
その視線はリアのほうへ向いている。
『一体何だ』と言いたげな一同に、もっとよく見る様、促す。
「「!!」」
なんとリアの首に何かが巻き付いているではないか。
そしてその『何か』はヒカゲの手元へと続いている。
つまり、その『何か』とは……
ヒカゲの武器―――チェーンウィップだ。
この状態では、ヒカゲがほんの少し腕を引き寄せるだけで、
簡単にリアの首は締まってしまう。
「さあ、どうなさいます?」
ミカゲの声が、静かに、その場に響いた――――――
「あわわわっ、ちょいまって〜〜や!降参や、降参。」
そう言って、両手を挙げるラルド。
ガシャン!
魔鉱石の剣を放り出すカーレテシー。
「あらあら、素直で良いこと。貴方、愛されて育っていますわね。だから、こうして、足手纏いになるん……」
その言葉が終わるか、終わらないか、リアが、涙を我慢するかしないかのうちに、
いきなり、空中に、ギロチンが現れる。
グワチャン!!
大ギロチンが、チェーンウィップを両断したのとほとんど同時に、セイが早口で呪文を唱える。
「〜〜ゥゥゥ
すべてをなぎ倒す大竜巻よ。我が敵を呑み込み吹き飛ばせ!!」
セイの風系の魔法で、ヒカゲ、ミカゲの姉妹は、洞窟の外まで吹き飛ばされる。
ケティアとセイが目くばせをする。
魔法コンビの絶妙なコンビネーションだ。
「ラルドさん。―グズッ― あのっ あのっ」
ラルドに、泣きながら走り寄り、手にしがみつくリア。
ラルド、ラッキーか?
「おいっ、とっととこんな所から出ようぜっ」
カーレテシーが叫んで洞窟からみんなそろって出た。
その時!……
皆が洞窟からでた時目撃したのは…
銀髪と瑠璃色の瞳の女性…そして、十数人の男達だった。
女性が口を開く。
「お前か?私の部下を吹き飛ばしたのは」
ケティアに向けてそう言った。
「僕じゃないけど」とケティアが言う。
「ならお前か?」
セイに視線を移す。
何故か深くフードをかぶっているセイ。いつのまに?
「そうですよ」
そして肯定する。
セイの肯定の言葉と共に、その場の空気が緊迫した物になる。
「お…おいおい、これはヤバいんじゃないのか?」
「って言うか、何であの人いきなり絶好調なのかしらι」
「馬鹿な事いってないで今から言う事をよく聞け」
レイオウとリリアがヒソヒソ声で話す横から、カーレテシーがささやいた。
「狙われてるのはドリムテルゥーを連れた、リアとお前だ」
「あぁ、わかってる」
神妙な顔で頷くレイオウ。
何やら女性と辛辣な言葉を交わしているセイ以外は、カーレテシーの周りに集まってきた。
「ここはおれ達が何とかする。
リリアとウェルはレイオウに、ラルドはリアについて、奴らの目から逃れろ」
「そんな……!」
講義の声をあげるリリアの声を、ケティアの言葉がさえぎる。
「解らない?あの女は今までの奴らとは違う。
僕達にドリムテルゥーを守りながら戦う余裕はないんだよ」
「……また…別れちゃうのね…」
心細げな声で呟いたのはリアだった。
その呟きを聞きつけたカーレテシーは言葉の代わりに小さく微笑んでリアの頭にポンと手を置く。
そしてラルドに向き直り、一言言い放った。
「妹を、頼んだぞ」
ラルドは一瞬ぽかんとした後、しかし自信ありげに、にっと笑った。
「よし…行けっ!」
カーレテシーの言葉を合図にウェル、リリア、レイオウの3人と、
リア、ラルドの2人はそれぞれ別方向へ走り出す。
「あ…待て!」
「君達の相手は…こっちだよっ!!」
追おうとする男達を、ケティアの魔法が一掃。
派手な爆発に乗じて、セイがカーレテシー達の方に戻ってくる。
「よぉ、おしゃべりご苦労だったな」
「次からはもっと効率の良い時間稼ぎの方法を考えてくださいね。
性格の悪い女性の相手ほど精神的にキツイものはありません」
「……セイの相手する方がよっぽど辛いと思うね、僕は…」
かくして、戦いの火蓋は切っておとされた……
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